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転生したら魔王軍の右腕だった 第2話
「報告します!勇者軍の先鋒部隊が、魔王城の外壁に到達しました!」
転生したことで、前世の記憶と「魔王軍司令官としての記憶」が混ざっているらしい。 ならば、やるしかない。
刹那は城壁の上から、勇者軍の動きを観察した。 彼らは整然と隊列を組み、魔王城へと進軍している。
「……妙だな。」
勇者軍の動きが、あまりにも統制されすぎている。 まるで、誰かに操られているかのような——。
「司令官、どうされました?」
参謀エリスが尋ねる。 刹那は視線を外さずに答えた。
「勇者軍の動きが妙に洗練されている。まるで、戦場の経験が豊富な軍隊のようだ。」
「ですが、勇者軍は本来、戦争を知らぬ者たちの集まりのはず……。」
「そうだ。だからこそ、違和感がある。」
刹那は考える。 この戦争は、ただの「魔王軍 vs 勇者軍」ではないのではないか? 背後に、何か別の存在がいる——そんな予感がした。
「弓兵、射撃開始!」
刹那の指示で、魔王軍の弓兵が一斉に矢を放つ。 勇者軍の前衛が崩れ、混乱が広がる。
「騎士団、突撃!」
魔王軍の騎士たちが正門から飛び出し、勇者軍と激突する。 刹那は戦場を見つめながら、確信した。
(この戦争……何かがおかしい。)
魔王軍はただの「世界を滅ぼす軍隊」ではない。 勇者軍もただの「世界を救う軍隊」ではない。
この戦争の裏には、何かがある——。
戦いは激しさを増し、魔王軍は徐々に勇者軍を押し返していった。 刹那の指揮によって、魔王軍は戦術的に優位に立ち、勇者軍の前衛を崩壊させることに成功する。
「撤退命令が出ました!勇者軍は退却します!」
兵士の報告に、刹那は静かに頷いた。
「……勝ったか。」
しかし、彼女の胸には、勝利の喜びよりも「疑念」が残っていた。
(この戦争の裏には、何かがある。)
魔王軍はただの「世界を滅ぼす軍隊」ではない。 勇者軍もただの「世界を救う軍隊」ではない。
この戦争は、誰かに操られている——。
刹那は、戦場の向こうに広がる暗闇を見つめながら、静かに息を吐いた。
「……調べる必要があるな。」
彼女の戦いは、まだ始まったばかりだった。
珍しく1日に2話かけた〜
やった