公開中
君との思い出についていく 1話ー1
みたらしだんご
ファンレターをくれた方、ありがとうございます!
めちゃくちゃ嬉しいですヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
今回もぜひ最後まで読んでください!
--- 1.12月 ---
告白された次の日。彼と連絡先を交換したものの、1度もやり取りをしていない。どちらかというと、向こうから来てほしくて待っているのだ。
自分から送ってもいいのだが、私にはそんな勇気もなく、送らずにいる。そもそも、何を送ればいいのか、わからない。
昼休み、私の唯一の親友、若宮双葉(わかみやふたば)とともに屋上のベンチに座る。屋上には、何人かいた。
弁当を開けて食べる。双葉は、売店で買ったパンと牛乳を食べていた。
「今日も美味しそうなお弁当だね」
「うん。今日も作ってくれてるの」
「柚、料理できないもんね〜」
「うるさいな〜。仕方ないじゃん。苦手なの〜」
「わかってるって。ははは」
私は、料理ができない。なんでできないのかは、よくわかっていないけど。でも、私が料理をすると、必ずと言っていいほど、焦げてしまう。
弁当を食べすすめていると、食べ終わった双葉が私の方向を見つめている。まるで、「一口ちょうだい」と言っているかのように。
「…欲しいの?」
「え、まぁ、どっちでもいいっていうかぁ」
「どうせ、欲しいんでしょ。はい、あーんして」
「あーん」
双葉の口の中に唐揚げを入れた。
「う〜ん、やっぱ、優子おばさんの唐揚げは最高だよ!」
「いつも食べてるくせに」
「てへ!」
双葉は、毎回唐揚げを食べている。私の唐揚げを。
優子おばさんというのは、私の母のことだ。
弁当を食べ終え、ゆったりしている頃、スマホが鳴った。見ると、彼からメールが届いていた。
「誰から?」
「彼氏」
「ふーん。…えっ!彼氏!?」
「うん。彼氏。言ってなかったっけ?」
「えー!嘘でしょ!?いつの間に…!?」
「昨日、告られたんだよね」
「え、じゃあホヤホヤじゃん」
「うん、そうなの」
メールの中身を見てみる。
【今日の放課後、空いてる?空いてたら、カフェに来てほしい
カフェのの場所⇩】
⇩の下には、URLがあった。そのURLを押すと、カフェのホームページが開いた。
「くま…のこ…カフェ…?」
「ん?」
「いや、くまのこカフェって知ってる?」
「あー、知ってるよ。看板猫がいてさ、最近話題になってるんだよ」
「へー」
放課後、双葉と別れ、くまのこカフェへ向かう。学校までは歩きで通っているため、カフェまでも歩きで向かう。今は、マップを見ながら進んでいる。
昨日の告白のときに言った条件、彼はすんなり受け入れてくれた。普通の人なら、戸惑いながらもOKするだろうけど、彼は戸惑うことなく、すぐ答えた。
くまのこカフェの前に着いた。くまのこカフェの外観は、温かみのある木で作られている建物だった。
入り口のドアを開けると、中から暖かい空気が体にあたった。
中に入って、あたりを見渡し彼を探す。すると、彼は端の椅子に座っていた。私は彼の前に座り、温かいカフェラテを頼んだ。
「ごめん、待った?」
「ううん、全然」
「めっちゃいいカフェだね」
「だろ?」
「うん」
今思ったが、私はなぜ呼ばれたのだろうか。これはもしやデートというものなのか?これが初デートなのは少し嫌なのだが…。
「なんで今日は会おうと思ったの?」
「お互いさ、何も知らないじゃん。だからさ、お互いのこと知ろうっていう感じでさ」
「なるほどね」
少しホッとした。これが初デートじゃなくて。だいぶ安心した。
まぁ、確かに彼のことは全く知らない。
「とりあえず、名前教えて」
「私は椎菜柚(しいなゆず)」
「俺は波風穂樹(なみかぜすすき)」
「なんて呼んだらいい?」
「んー、別になんでもいいよ」
「じゃあ、穂樹くんでいい?」
「いいよ。俺は椎菜って呼ぶよ」
「うん」
やっと名前を知ることができた。でも、1つだけ思ったことがある。それは、私は穂樹くんのことを、下の名前で呼ぶことにしたけど、穂樹くんは、私のことを上の名前で呼ぶこと。
まぁ、私は条件として、本気で好きになるな、なんて言っちゃたし、そりゃあそうかと、納得はしている。
それから、色々な話をして、分かったことがたくさんあった。私はそれらを、スマホのメモに残しておいた。
穂樹くんは隣のクラスで、駅に近くに家がある。弟と妹が1人ずついるらしい。
私は、4歳上の兄がいる。美人な彼女さんもいる。私は、兄の彼女に一度だけ会ったことがある。とっても優しくて可愛かった。
「他に話してないこととかある?」
「えっ…」
まだ話していないこと…。一応1つだけ言ってないことがある。でも、それは双葉と家族と学校しか知らない。
私は、誰にも言わない。そう決めていた。でも、穂樹くんは私の彼氏だ。言ったほうがいいのかもしれない。
だが、それを言って、引かれてしまったり、別れてほしいなんて言われたりしたらどうしようなどと考えてしまっている。
「特には無いよ」
私は結局言わなかった。
「そっか、ほんじゃあ、帰るか」
私と穂樹くんは途中まで一緒に帰った。その間ずっと沈黙が続いていた。でも、気まずさは全く無かった。
「じゃあ、俺こっちだから」
「あ、うん。じゃあね」
「じゃあ。また連絡する」
「うん」
そして、別れた。
帰るときには、夕日が出ていて、冷たい風が吹いていた。
* * *
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
本当はまだ、1話は終わってないのですが、1話を3つに区切って投稿していこうと思います。
次もまた読んでください!