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黄金数 曲解
銃弾、ひとつ飛んだ。
それは私の虚ろを体現したもの。
果てはあいつを骸に。
スマホの画面は真夜中を昼間に。
あいつにとっては、贈り主のいないおくりもの。
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不愉快な声だった。
勤勉な事だけが取り柄のくせに。
理性の塊のくせに、火をつければ逃げ出すような奴だった。
喋る死体のような奴だった。
でも、そいつは完全を計画した。
「ひとつ言葉を結んだら、手をつないで地獄まで。」
まきぞえを食らうのは最悪最低な気はした。
まずは実態無いモンスターをけしかけた。
それは嘘でもあったし、方便でもあった。
銃弾でもあった。
そしてあいつの下で腐乱した。
その後、喋る死体が|黄金数《ホシ》を指し示した。
今度は私が撃ち抜かれた。
中断。
とても機知に富んだ奴だった。
憎くてたまらない。
そいつは私達のこともよく知った上で、利用した。
もう一人は、そいつしか見ていない。
きっと利用されるだろう。
私は坩堝に入れられた。
溶けるまでは、このままだ。
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戻った時には事は済み、あいつは死んだ。
彼も生贄にされ、死んだ。
喋る死体だけが、言葉を発している。
気が済まなかった。
とても、とても気が済まなかった。
友人未満でも、関係なかった。
警報は歪み、耳鳴りをかき消した。
どうやら、あいつも同じらしい。
色んな声が聴こえた。
とてもうるさく冷たい声だった。
何故か不愉快ではなかった。
私、今はモンスター。
それは本当でもあったし、方便でもあった。
悪役でもあった。
きっと小さいナイフでも刺した。
友人未満の声が、|黄金数《アンサー》を指し示した。
銃弾、ひとつ飛んだ。
それは私の虚ろそのもの。
果てはあいつを骸に。
この世界を真夜中から昼間に。
あいつにとっては、贈り主のいないおくりもの…になるはずだった。
銃弾、私に飛んだ。
あいつにとってはまるでヒーロー。
それか、ともだちだったかもしれない。
私の真夜中は、まだ昼間にはなれない。
贈り主は、最後まで何も知らない。
原曲:黄金数 (いよわ)