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カタワレ
同じ学年に双子がいるから、双子テーマの1話完結書こうって思ったから作った!
一応言っておくと、悲しめの話かもしれないしそうじゃないかもしれない…?
(何を言いたかったんだろう)
私は、|紫宮《しみや》いと。
運動は得意だけど勉強が苦手な中学2年生。
兄弟は全くいない…と思ってたけれど…
保育園の頃の卒園アルバムを探していたら、ある写真を見つけてしまった。
「誰だろう、この子…」
そこに映っていたのは、赤ちゃんの頃の私と、両親と、私によく似た赤ちゃん。
編集ミスとは思えないし、両親もその赤ちゃんを1人ずつ抱きかかえている。
でもそれが誰かなんて全く興味は無かったから、写真は元の場所へ戻した。
それは、普通に暮らしていた私の人生を大きく変えるきっかけになる扉だった。
「また明日、バイバイ!」
「じゃあね、帆乃美。」
いつも私は放課後に図書館で少し勉強してから帰る。
勉強が苦手だから、いつもそこまで内容は進んでる感じがしないけど…
まぁ、今日の分は終わったからもう勉強のことは考えないとして。
学区ギリギリに住んでいるから自転車通学。
だから、友達の|宇田帆乃美《うだ ほのみ》とも長くは一緒に帰れない。
体育全般が得意で体力には自信のある私。
今日も帆乃美と別れた後、いつも通り早く帰ろうと坂を自転車で
登り始めた時のことだった。
同じくらいの年齢・似た顔、私と同じポニーテールでストレートの髪をした
女の子とすれ違った。
違うのは私と女の子の服装やバッグが違うところくらい。
私が女の子を見ていたら、その子と目と目が合った。
お互い驚いたように目を見開いた。
…でも何事もなかったかのように私たちはそのまま別れた。
「何だったんだろう、あの女の子…」
今のが…”ドッペルゲンガー”ってやつだったんだろうか。
この前写真を見たせいか、ドッペルゲンガーか全くの赤の他人か、
私に関係のある人なのか…気になってしまった。
ある休日。
今日は帆乃美とショッピングモールに買い物に行く予定がある。
「帆乃美!遅くなってごめん!」
「全然待ってないよ?私も遅れたかと思ったくらいだからw」
「それ遠回しに私が遅いって言ってない?」
「バレた?」
「「www」」
そうして雑貨屋、服屋、書店などに行った後、近くのファストフード店で
昼ごはんを食べることになった。
それからもショッピングモール内のいろんな店をめぐって、
気が付いたらもう夕方になってしまった。
「そろそろ門限も近くなっちゃうし、帰ろう。」
「うん、そうだね。」
「じゃあね、いと!」
「じゃあねー!」
帆乃美と反対方向に別れた時、視界に映ったのは。
この前見かけた、私のドッペルゲンガーみたいな子だった。
あの子も私に気が付いたみたいだったが、気まずそうに目をそらした。
「あ、あのっ!」
気になって、気付いたら声をかけていた。
「やっぱり声をかけてきましたか…」
反応をくれただけでもうれしい、かな?
「あなたは…誰ですか?」
「こっちに来てください」
「え、あ、」
女の子に腕を掴まれて、近くの広場のベンチに座って話すことになった。
「私たち、前にもあったよね…?」
「そうですね、会いました。」
「あなたは…誰?」
「そんな、関係ない人に名前を教えるなんて個人情報が…
なんで名前を言わなきゃいけないんですか?」
「もしかしたら…もしかしたらだよ?
私たち、顔もドッペルゲンガー並みに似てるし関係あるかもしれないじゃん!」
女の子は少し考えてから言った。
「分かりましたよ、名前だけです。
私の名前は、|紫宮《しみや》つむぎです。」
紫宮…⁉私と同じ苗字じゃん!
「どうしたんですか?そんなに驚いた顔をして。
もしかして本当に関係のありそうな名前だったりしたんですか?」
「あ、じゃあ私も名前を言うね…!
私の名前は、|紫宮《しみや》いとっていうんだ。」
「嘘…⁉そんな偶然ありえないでしょう⁉
あぁ、やっぱり名前なんて言わない方がよかったのかもしれません…
顔も整形すればいくらでも寄せれるし、名前だって偽かもしれないので…」
「そんなに信用してくれないの⁉…わかったよ、生徒証明書出すから待って。」
そして私はかばんから証明書を出して、つむぎに見せた。
「本物…ですね。じゃあ信じることにします。」
「よかったぁ…で、本題に戻るんだけど私たちって何か関係あるのかな?」
「さぁ…ただの他人かもしれません。」
その時、私は写真のことを思い出した。
「ね、ねぇつむぎちゃん。」
「ちゃん付けはやめて欲しいです。」
「あ、ならつむぎ。つむぎ何か重めの過去を持ってたりしない?」
「偶然ですね、あります。言った方がいいですか?」
「できたら言って欲しいかも。つらいなら言わないでいいから。」
「…分かりました。少し長くなりますが、いいですか?」
「もちろん。」
思ったより重そう?かも。
{紫宮つむぎの過去}
私は生まれてからすぐ、親に見放されました。
もともとは双子だったみたいで、かわいいと思った私の元母は
私たち双子の写真をインターネットに投稿しました。
それを見た跡継ぎのいない大企業の社長夫妻が、わざわざ家を訪ねました。
「その双子のうちの1人をうちの企業の跡継ぎにしたい。
顔もいいし、あなた達2人には2人の子供を育てるのなんて大変じゃないか?
そうだ、何も無しにただ貰うんじゃなくて、金との交換でどうだ?
700万円でどうだ?いいだろう?」
両親は最初、反対しました。
ですがそれは、大企業の社長の機嫌を悪くしてしまったようで。
「…それなら1000万円でどうだ?」
それにも親は反対した。
「それなら、あなた達2人を消して、子供を2人とも貰おう。
警備、銃を構えろ。」
銃口を向けられそうになった両親は慌ててこう言いました。
「それだけはやめてください!…もういいです!この双子のどっちでも
貰って行ってください!せめて命は…!」
「…警備、銃を下ろせ。じゃあ、この水色の服の子を貰って行こう。
名前はなんだ。」
「紫宮つむぎ、いや…つむぎです。」
「つむぎか。じゃあな、子供1人を丁寧に育てることだ。」
そうして私は悪くもない家族に捨てられて…
紫宮つむぎから、『|貴乃坂《きのさか》つむぎ』へと変わったのです。
それからは勉強・礼儀・芸の繰り返しでした。
ずっと何かを教えられて、他の同年齢の子たちとは関わるなと言われていました。
そして4歳になった時。
「お前はどうしてそんなに勉強ができないんだ!
あぁ、脅してまで跡継ぎを奪うんじゃなかったのか…?」
「何の話ですか?私、お父様とお母様の子供じゃないのですか?」
「…お前は勉強だけしてろ!跡継ぎとして困らないように!
って言いたいが…もう遅いから寝ろ。」
「…おやすみなさい」
次の日に目を覚ますと、そこはもう私の住んでいた家ではありませんでした。
「園長!5歳くらいの子供が門の前にいます!」
「え、何が起きたのかしら⁉」
そこは捨てられた子供の集まる小さな施設でした。
拾われた私は中学生になった今も施設で暮らしています。
捨てていった両親と偽の両親のことはもう放っておくつもりです。
{過去話終了}
「つむぎがそんな過去を持っていたなんて…
というか、これって結構双子説濃厚な感じなのかな?」
「…恐らくそうだと思います。生き別れた双子のいとさんと
こうやって話ができるのが夢みたいです…さっきは疑ってしまってすみません。」
「あ、ちなみに訊きたいんだけど…なんで今は紫宮の苗字を名乗ってるの?」
「赤ちゃんの頃に養子になったので元々の苗字は貴乃坂だと思っていました。
でも施設に行って私のことについていろいろ調べて貰ったところ、苗字が
紫宮ということが分かったんです。」
「じゃあ、なんで貴乃坂に戻らなかったの?」
「捨てられたのに戻るなんて御免です。
あの家にいた時と比べたら施設は何十倍も楽しいです。」
「それならよかったね。
今更なんだけど私さ…つむぎと双子なんて急なこと、信じられないんだ。
だって、小さい頃は両親と私…3人の写真しか残ってないから…って、あ!」
「え、どうかしましたか⁉」
「3人じゃない、4人の写真が…ある!」
「えっ⁉」
「あーでもなぁ…もう遅くなってきちゃったし…つむぎ、また今度会えないかな?」
「もちろんです!」
「じゃあ、またこの時間に…」
次会う計画を立てて、その日はつむぎと別れた。
夜、もう一度私はあの写真を探した。
「あった…やっぱり、2人の赤ちゃんが写ってる…!」
その写真を親にバレないように学校のバッグに入れて、とりあえずで
自分の部屋へ持っていった。
ちょうどいいタイミングでお母さんが私を呼んだ。
「いとー!お風呂入りなさいー!」
「はーい」
今日はもう一度つむぎと会う約束をしている。
中学校もつむぎと会うことでいろいろ考えてたせいで
あんまり聞いていない授業もあったくらいだ。
到着場所について5分ほど待つと、つむぎはやってきた。
「こんにちは、いとさん。遅くなってしまってすみません…!」
「全然大丈夫!じゃあ、今日も前のあのベンチに座って話さない?」
「あ…いいえ、私最近ちょうどいいカフェを見つけたんです。」
「施設に入ってるのに…お金とか大丈夫なの?」
「それは心配しないでください。捨てられたときに貴乃坂家にいた時の通帳も
一緒に置かれてて、その時のお金をお小遣いとして使ってるんです。」
「へぇ、そうだったんだ。じゃあ、私もお金持ってるし、道案内よろしく!」
「分かりました!」
着いたのは、茶色で統一された落ち着いた雰囲気のカフェだった。
「こんなところがあったんだ、知らなかった!」
「まぁ、普通はこんな路地に入ってくる人って少ないですよ。
目的地もなくただ歩いてたら見つけたんです。」
「…それにしてもいい場所だね、ここ。クラスメイトとかに知られたくないから
言わないで置こうかなw」
「ふふ、じゃあ…そろそろ本題に入りましょう。」
「そうだね。」
「で、これが前最後に言ってた写真。」
そう言って私は2人の赤ちゃんと両親の写った写真をつむぎに見せた。
「これが前言っていたあの…⁉」
「…やっぱりこうやって見ると驚くよね。
あのさ、ここを出たら…私、いや私たちの家に…行ってみようとは思わないかな?」
「それは…ちょっと気まずいかもしれません。」
「多分…申し訳ないと思ってるのは両親の方だと思うよ?
つむぎがそんなに気にすることないと思うんだけど…
あ、嫌なら会わなくても私は全然いいと思うよ?」
つむぎは少し考えてから言った。
「…やっぱり会ってみたいです。
実際今の施設の暮らしは充実しているので、紫宮家に戻るかは分かりませんが。
会ってみないと何も進まない気がします。」
「…!うん、分かった。それなら私はつむぎの意見を尊重するよ。」
「って言っても本当に私たちが双子かは分かりませんけどね。
ドッペルゲンガーで、偶然同じ苗字の可能性もないとは言い切れません。」
「でも、何かしないと進まないって言ったのはつむぎでしょ?w
そんなにその事実を確認するって…もしかして私のこと嫌いだった?」
「いえいえ!そんなことはないです!ただ、違ったら本当に怖くて…」
「心配する必要はないよ、多分ね!ほら、そのミルクティー飲み終わったら
早速行ってみるのはどう?」
「え、そんな…!心の準備出来てませんよ!」
「それなら、ミルクティーゆっくり飲めばいいじゃん。」
「…冷めるのは嫌なので早めに飲み切って店を出ましょう。」
「不機嫌になった?ツンデレ?」
「違いますよ!」
つむぎと会話をしている時間は、学校にいる時よりも楽しいと感じた。
カフェを出て、私とつむぎは…両親のいる家へと向かうことにした。
緊張してきているのか、つむぎはさっきよりも静かだ。
急に会話をしなくなって、お互いがそわそわしている感じ。
すると急に…
「うっ!」
つむぎが倒れた。
「っ…つむぎっ?つむぎ大丈夫…⁉」
顔が赤くて、額を触ってみると熱があった。
「つむぎ、しっかりして…!」
きっと、最近急に気温が下がったことで体調を崩していたんだと思う。
多分、風邪をひいてる。
家まであと少し…きっと同じくらいの体重のはずだから私でも運べるかな…⁉
いや、違う、運ばないと。
「つむぎ、おんぶするね!すぐに家に連れて行くから!」
「う、うん…ありがと、ございます…こんなときに…ごめんなさい…」
「いいから、じっとしてて!私、勉強はできないけど体力には自信があるの!」
「ありがとうございます…情け、ないですね…」
つむぎが静かに一筋の涙を流した。
家に着いた。
「どうしよう…つむぎを連れてきたはいいけど…どうやって家に入れれば…」
「ねぇ、家の前まで来たんだし、下ろして欲しいかも…」
完全につむぎを下ろすことを忘れてた。
つむぎを下ろしたはいいけど本当にどうしようかな…
「えぇい、もういいからとりあえず家に入っちゃえ!」
私はつむぎの手を引いて玄関に入った。
「ただいま!お父さん、お母さん!玄関に来て!」
私が両親を呼ぶと、少しして両親が玄関まで来た。
「おかえり、どうしたのって…この子は誰なの⁉」
「えっとその…最近仲良くしてるつむぎって子なんだけど、
急に風邪で倒れちゃって…家に連れて来ちゃった…」
「「…つむぎ?」」
両親が口を揃えて言った。
「まぁ、連れて来たことについては後で話しましょう。
まず親御さんに連絡しないと。つむぎさん、苗字と住所を教えてくれる?」
「紫宮つむぎ、”あさがお”という施設で暮らして、ます…」
「…親御さんの名前は?」
「親は、知りません…」
「ねぇ、お母さん、お父さん。この写真は何?」
私はバッグから写真を取り出した。
「っ…!」
「ねぇ、私に何か隠しているよね?」
お父さんが喋り出した。
「…ごめん、いと。この写真は、いとが生まれてすぐの時の写真なんだ。」
「やっぱり…そうだったんだ。」
私とつむぎはお父さんの話を聞いていた。
{写真の真実}
写真に写っているのは、生まれてすぐのいとと、いとの双子の妹。
双子の妹に付けた名前は、『つむぎ』。
幸せの|糸《いと》を|紡ぎ《つむぎ》、幸せに暮らして欲しいという意味を込めた。
でもつむぎは、大企業の跡取りとして取られてしまった。
いとに妹なんていなかった、いとを悲しませたくなったという想いで、
写真は棚の奥にしまっておいた。
「そうだったんだ…
それなら、お父さん。私とつむぎは、本当に双子なの?」
「あぁ、きっとそうだ。つむぎさん、合ってるかな?」
「はい…!全く同じです!」
「じゃあ、施設の人に連絡して、今日は泊まっていったらどう?」
「え、そんな迷惑になるだけですし…」
「でも、つむぎと私は双子なんでしょ?家族なんでしょ?」
「そうよ、是非泊まっていって。酷いことをしたお詫びに…
お詫びにもならないくらいだから。先のことはこれから考えましょう?」
「分かりました、それなら今日はここで泊まりま、す…」
「うわっ!」
急につむぎが倒れた。
「つむぎ、大丈夫⁉生きてる⁉」
私のそばに倒れ込んだつむぎの顔を覗き込むと、
目は閉じていて寝息を立てていた。
「お母さん、お父さん、つむぎ…風邪での負担と安心で寝ちゃったかも。」
家族で苦笑した。
それから家族と施設の人で話し合って、つむぎは紫宮家に来ることになった。
これは私とつむぎがあの公園でばったり会った時の話。
「まさか偶然会えるなんてね!」
「そうですね。」
「つむぎ、前に施設の暮らしが楽しかったって話してたよね?
なんで家に来てくれることになったの?」
「施設も楽しいです。
…でもどうせなら自分の家族と暮らしたいなって思ったんです。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃん。中学校はどうするか決まったの?」
「はい。中学校は自分のもともと行っていたところに通うことにしました。
急にいとさんに双子がいたって分かったら学校生活が苦しくなるし、
私も今の学校で仲がいい人っています。その人と急に離れるって…
私も悲しい気持ちになります。」
「いとって呼んでいいし、そのですます口調も外していいよ?」
「それなら、学校ではあまり口調は外していないけど、
家族の前ではですます口調はやめるね。」
「つむぎの判断なら私はいいと思うよ!」
「それと、呼び捨て?いとでいいの?」
「うん!なんかつむぎがそう呼んでくれるのって新鮮だなぁw」
「そう…かな?」
私たちの新しい生活は、これからだ。
投稿予定日よりも一週間くらい遅くなっちゃいました!
是非感想・アドバイスください!