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9.東の国
今回は会話文多め(物語の9割くらい)です。
--- ♢ No side ♢ ---
「わぁ‥!」
船を降りて広がる世界に思わず声が漏れる。
「なんか前より凄くなりました?」
「なんか派手になったよねぇ。」
木や花が沢山生え、整備された道や装飾された入口。自然が沢山の国で美しい。
「皆が観光したいと思うところで残念なお知らせ!今から王都に行ってお話し合いです!!」
「やだー!!」
「エフくん!嫌なのはめっちゃ共感だけど諦めて!!僕も凄く嫌だから!!」
「所長がそれでいいのか‥?」
オスカーがシェリアを呆れた様子で見る。エフは観光したい(遠くでやっているマジックを見たい)と騒いで、シェリアも何かを堪えるように共感しまくっている。
「子供みたいですねぇ〜‥」
「本当ですよね‥《《ラミィ》》さんみたいに少しはちゃんとしてくれれば‥」
「えへへ、私ちゃんとしてるかな〜?」
「してますよ!少なくてもシェリアさんよりは!」
「ちょっと全部聞こえてるからね!?」
騒ぎに騒いでいるが、ここはまだ国の入り口である。国の中にすら入っていない。それなのにこんなに騒げるのはある意味彼らの才能なのかもしれない。
「リュネットの皆様、体に違和感等ございませんでしょうか?」
ルミエール王子がリュネットの元に近づき、シェリアと会話をする。
「えぇ、特に問題ないです。いつも通り騒がしくてすみませんね!」
「主にシェリアさんのせいですよ。」
「まぁそういう事でもあるかもしれませんね。」
「あはは‥では、王都へご案内致します。何かあれば遠慮なく聞いてください。」
「‥わっ‥‥!!《《レン》》、さ‥あそこ、凄い、綺麗‥!」
「何処何処〜?‥わ、綺麗なお花〜!!」
「だよ、ね‥!」
「オスカーさん、せめてここでは禁酒してくださいね。」
「‥《《ネイ》》は厳しいな。」
「オスカーさんが前から禁酒するって言ってるのに禁酒してないからですよ。これは注意です。」
「__キラキラ‥__」
「あそこのイヤリングでも欲しいのですか、アレルくん。」
「わっ!?‥って、《《ルイシェ》》さんですか‥えぇ、あのイヤリング可愛いなぁと‥」
この人いろいろと謎多くて少し怖いんだよなぁ‥と、アレルは心の中で呟いた。
「見てラミィ〜!あそこにお化けの看板あるよ〜!!」
「やめて引っ張らないで《《ミオネ》》〜!!お化けとか嫌ァァァァァ!!」
「あっはははは!!」
「ふふっ、リュネットは賑やかで楽しそうですね。」
「いやお恥ずかしい‥皆ちょっと静かにして!!」
「静かにだとか気にしなくてもいいのですよ?この国はいつでも賑やかですし。」
「なんか気分的なやつなんですよねぇ〜自分達が一番騒いでそう。」
「成る程‥?僕にはよく分かりませんが、賑やかなのが僕は好きですよ。」
「その優しさがありがたいです‥ところで、《《あの方》》は何方に?」
「先に王都に向かっています。我々と共に行動しては疲れてしまうでしょうから‥あ、これは決して騒がしいからという訳ではなく、気を使ってしまうのではないかという事ですから!」
「訂正しなくても分かっていますよ!まぁあの方もこれから大変でしょうからねぇ‥」
「僕に出来ることは彼女の側にいること。《《聖祭》》の途中で何かしてあげられる事はありません。」
「まぁ僕らにもないですからねぇ〜‥」
「聖祭の前は仕事ありますからね?」
「考えたくないですねぇ〜」
「‥あの、シェリアさん、ルミエール王子。」
「?どうかしたのアレルくん。」
「えっと、王都ってどうやって行くんですか?」
「そりゃもう‥」
「僕の《《精霊》》に乗って王都まで飛んでいきます。」
「せ、精霊‥?」
「えぇ、空の精霊や風の精霊を使って移動していきます。座り心地はいいので安心してくださいね。」
聞きたいのは|そこ《座り心地》じゃないんだよなぁ、と一同。
「‥ですが乗る場所に気を付けなければいけないので少し歩きます。」
「そうなんですね、ありがとうございます‥では、もう一つシェリアさんに質問です。」
「ん?」
「レルヴィさんは何処ですか。」
「‥レルヴィかい?」
「船に乗る時から見かけないのですが、一体何処へ?」
「彼女は先に行ってる。日中は僕らと一緒に行動してはいけないんだ‥理由はわかるね?」
「‥レルヴィさんは納得してるのですか。」
「してるに決まってるだろう。無理強いするほど、僕は酷な人間じゃないからね。」
「‥なら、いいんですけど。」
「アレルちゃん、大丈夫‥?」
「リュオルさん‥大丈夫です!普段と違う環境でちょっと‥不安になっちゃってるみたい。」
「なんか困ったらいつでも頼ってね!他の皆も嫌々ながら手伝ってくれるよ!」
「ありがとう、リュオルさん。」
「‥へへ、やっぱ“ごめん”より“ありがとう”の方が好きだな!」
晴れた空を仰ぎながらリュオルは笑った。
♢
のほほんとした雰囲気のまま歩き続ける事約十五分。ルミエールの足が止まった。
「‥皆様、沢山歩いて疲れたでしょう。これからは飛んで移動するので、飛びやすそうな装飾品は飛ばないように気を付けてください。」
「リボンって飛ぶかな‥?」
「飛びますね、間違いなく飛んでます。」
「ルイシェさん、まさかですけど未来見てます‥?」
「それは‥ご想像にお任せします。」
「あれ」
なんやかんやあって全員が精霊‥龍に乗った後ルミエールも精霊の上に乗り、呪文を唱える。
「“ 𝒮𝓅𝒾𝓇𝒾𝓉 ” !」
空高く龍が舞い、街を一望できる高さへと登った。御老人がベンチに座って話している様子や子供達が公園ではしゃぐ様子、学生の幸せそうな顔が空から見え、自然と幸せな気持ちになっていた。だが時間がない中のんびりと空を飛んでいく訳がなかった。急に龍のスピードが上がり、全員の心臓が一度止まりかけた事だろう。
「イヤァァァァァァァァァァ!!!!!」
名前を出して誰とは言わないが、方向音痴の人間の悲鳴が街に響いた事だろう。
上手く出来た自信なくてすみません‥(
シェリアさんの過去編を何処ら辺で書こうかめっちゃ悩んでます。書くとしたら記憶を取り戻した後かな。第二章の最後に公開か三章、四章(あるかな)で公開か‥どっちがいいですかね?(