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Tens:soleil 第2話
ガンバ ルヨ
イーストスの部屋
数分前。イーストスの部屋。
「イーストス様。ちゃんと司祭の仕事、済ませましたか?」
「それなら大丈夫。あんたたちが黎明の森に行ってる間に全部済ませたよ。」
「へぇ〜。イーストス様がこんな早く仕事を終わらせるなんて。今日は大雨だな。」
「悪かったわね。いつもお仕事、してなくて!」
「そんな怒んなくてもいいじゃ〜ん?」
「はぁ。まったくですね。」
カガリ君大丈夫ですかね?あのゼラウス様が見た瞬間飛びついてきた...なにかありそうですね。
そういえばこの結晶のようなものはなんなのでしょうか?なにか...眠っている?寝息ですかね?
現在
たしかイーストスの部屋って言うのはここだったはず...。
よし、行くか。
ガチャッ
ドアの向こうにはアリアとニコ、そして白と赤い髪色をした女性だった。
この女がイーストス?
と思っていると
「カガリ君!?大丈夫でしたか?」
「お〜。無事っぽいね。ゼラウス様になに話されたの?」
2人は俺の方にそう言いながら駆け寄ってきた。
「すまないな、2人に心配かけて。」
「いやいや。まだそんな仲じゃないでしょ。さっき会ったばっかりなのにさ。」
「確かに。さっき会ったばかりなのになんなんだろうなこの...親近感?」
いやいや。そんなこと話してる場合じゃないな。早く伝えよう。
「2人共、落ち着いて聞いてくれ。」
「なんですか?」 「なになに〜?」
2人は同時に聞いた。
「俺、神の子だったらしいんだ。俺は、この世界に再び陽光をもたらすためにここにいるんだ。」
....
「え!?神の子?そうなの?」
以外にもいち早く反応したのはイーストスだった。
「え?イーストス様、知ってるんですか?」
「まぁそっか。知らなくて当然か。ゼラウスが昨日言ってたけど、もうじき神の子の降臨の準備が終わるって。」
「でも見た目はどんななのか知らなかったから。そっかぁ君だったんだね。たしかに顔に黄色い紋様があるしね。」
別に神の子の存在は秘匿するべきではない。むしろ知ってもらったほうが旅を円滑に進められると言う事もある。ゼラウスが何故、司祭達にしか伝えていなかったかは謎である。
「あのさぁ〜、んな事よりカガリ。あんた頭打ってんだよ?」
「あ、そうでした!早くデメテル様の部屋へ行かないと!」
え?え?え?
怒涛の勢いすぎてあまり状況が理解できていなかったが、俺は頭をだいぶ強く打っていたらしい。
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「ここがデメテルさんの部屋です」
デメテルの部屋は主に外傷などの治療をして「救い」を与える部屋らしい。
アリアは俺が分からないことを分かりやすく解説してくれる。ホント助かる。
コンコン
「はーい」
声がした。この声の主がデメテルなのか?声からして恐らく女性。
ガチャッ
驚いた。出てきたのは緑髪の男性だった。
「ん?お前、見ない顔だな。名前は?」
「カガリだ。」
「知らない名だ。帰れ。」
ええ...?どう言う事だ?
などと、思っていると奥から女性の声が聞こえた。さっきの声と同じだ。
「こらこらランゼく〜ん。知らないからって追い返しちゃダメですよ〜。」
「いやだって、ホントに見ないか...」
「はいはい分かったから。ほら、奥で調薬でもしてて。」
「わかったよ...」
ランゼはすぐに言い負かされ、奥へ行った。
女性は金髪を靡かせながらこちらを向いた。
「あら。大丈夫?頭を打ったの?」
女性は優しくこちらに話しかけてくる。
「ああ。ちょっと、頭を打って...」
「うふ。ヤンチャな子ね。待っててね。お姉さんがすぐに治してあげるから。」
うう...あのランゼとか言うやつが言い負かされたのも、何となく分かるような気がする...
「じゃあ始めるからじっとしててね。」
ポワッ
そう音をたてた瞬間、頭から一瞬で痛みが引いていった。
「よし。これで大丈夫ね。」
「お前...名前はなんて言うんだ?」
「え?デメテルよ?」
ああ。この人がデメテルだったのか。
「て言うかどうして痛みがこんな一瞬で治ったんだ?」
「ああ...それは...魔法よ。」
魔法?フレアには魔法も存在していたのか。
「それとあなた神の子でしょ?」
「え?なんで...」
「そりゃ知ってるわよ。昨日ゼラウス様が言ってたんだから。準備が終わったって。」
「あなた、これから旅に出るでしょ?だからお薬処方しておくわ。」
「なにかあったら使う事。いいわね?」
「分かった」
「よろしい。ふふっ。」
何に効くかは分からないが薬をもらった。
アリアとニコはドアの前で待っていた。
「お〜。治ってんじゃん。良かったね〜。」
俺は2人としばらく立ち話をしているとイーストスがやってきた。
「ねぇねぇ3人とも〜。まーたアポロンが調査行ったっきり帰って来ないって〜」
アポロン?誰だそいつ?
「またですか。エウレカ博士も大変ですね。2人共、急ぎましょう。また古代の装置とか勝手に起動されたら困ります。」
「そだね〜。さっさと行こ。ほらカガリも」
「分かった。で、どこに行けばいいんだ?」
2人はあ、そうだったみたいな顔をした。どうやら2人も知らないようだ。
「まぁ、どこかしらの遺跡とかだと思います。まずはエウレカ博士を探しましょう。」
「おっけー」
3人は急いで遺跡を探しに行った。
用語解説
星霜の館の司祭
ゼラウスの直属の部下。同名の12の神の力を引き継いだ者たちの総称。
これには星術が覚醒していないとなれない。