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花火
穹斐うろ
「ねえ、花火と火花の違いってなんでしょうか!」
「……はあ?」
「だから――」
「いや、聞こえてるから。そこまで耳悪くないから」
意味の分からない質問を投げかけられる。彼女はいつも急だ。突拍子のない質問を急に投げかける。この前は鮭とサーモンの違い、だっただろうか。明らかに違うけど似てる、みたいなそんな二つのことに関係する違いの話を毎度聞いてくる。その度々に調べては答えてを繰り返しているけれど。
「もしかして今日こそはわかんな……」
「規模じゃないの?火花は小さくて、花火は大きいみたいな」
「あー、ありそう!でもなんかあれらしいよ?なんだったっけなあ」
あーでもない、こーでもない。ぶつぶつと何かを唱えながら歩き回る彼女。少しして、ポンッと手を叩いてから此方を向いた。
「……今度は何」
「あれだ、あれ!火花はSparkで花火はFirecrackersって言うんだよ!英語で!!」
「うん、そうだね。ちなみに火花が現象で、花火が火花を使った製品らしいよ」
「あれだ!大は小を兼ねる?」
「……絶対違うと思うけど」
彼女にバレないよう、ため息を零す。この子の返答はいつも想像の斜め上をくる。正直、面白いから言いけれど。
「えー、でもさ!」
「でも?」
「大は小を兼ねていなくても丁寧に大切にすれば大きくすることはできるってことだよね?」
「……ん?」
「え、だからあ!!」
――なんで君はいつも聞いてないの!?と言いたげな様子で此方を緩やかに睨む。正直、普段がふわふわしすぎているからかそこまで怖くなかった。
「大は小を兼ねてなくても、火花が花火になるみたいに、私たちのちょっとした能力もいつかは綺麗な花火みたいになるんじゃないかなあって!」
屈託のない無邪気な笑みを浮かべながら、彼女が話す。私にはない、底なしに明るくて見るだけで人を笑顔にできそうな表情。
「……まあ、それはそうなんじゃない?」
「え、だよね!!じゃあ私の勉強の悪さも……!」
「それは勉強しなさいよ」