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全ての世界が狂した時 第1話
18歳、春。
既に外国の大学を卒業済みである俺たち、晴城高校の生徒会メンバーは、各々の生活をしながらも、よく集まって色々な話をしていた。
「それで、紫雲最近はどう?」
目の前のラスは、昔のように綺麗な優しい目で俺にそう問いかけてきた。
「まぁそこそこ上手くやってるよ。最近爽が沢山甘えてくれるんだ。ハァ…まじで可愛い」
「はいはい。いつもの惚気ね」
孌朱は苦笑しながらそう言った。
「えーけど紫雲もさぁ、よくこんなに爽と長く続くよね」
屑洟も呆れたように笑う。
「たまには俺の相手とかしない?」
ガクは相変わらずそんなことを言いながら笑っていた。
「で?氷夜はまた黒雪くんの所?」
ラスは今ここにいない氷夜のことを思い出したのか、そう呟いた。
氷夜は、記憶が消えた黒雪と色々な手を使って仲良くなり、弟の成長を見守る感覚でよく一緒に遊んでいる。
おとは自分の夢を叶えに、また海外に行った。
そんなありふれた平和の中、俺は1人の青年に目が行く。
整った容姿だった。
綺麗な黒色の髪に、所々入れているピンク色のメッシュ。
綺麗な茶色の目は、見覚えのある雰囲気を出していた。
足は長く、スタイルは抜群。
「──────っ」
自分の中の、何かが動いた気がした。
俺の変化に気がついたのか、周りの4人は心配そうに俺の視線の先に目を向けた。
「わぁ…すごいカッコいい人だね。あの人と知り合い?」
屑洟のその言葉に、俺は曖昧に首を横に振る。
その青年は、俺と視線が合うと、楽しそうに微笑んだ。
『紫雲』
青年は軽く口を動かす。
読唇術でそれを読み解く。
やっぱり、この人…
『もうすぐまた会えるよ』
意味不明なことを口パクで告げて去っていった。
その意味は、すぐに理解することになる。
大きく地面が揺れた。
地震だ。
それと同時に歪む景色。
この感じ、やっぱりまた───
ラス達も気がついたのか、何かを必死に俺に伝えようと口を動かしていたが、聞き取ることも読み取ることも出来なかった。
そして目の前は真っ暗になり、あの場所で目が覚める。
暗闇の学校。
‘始まりの場所’
勿論、あのメンバーが集まっていた。
俺に、ラス、屑洟、孌朱、ガク、氷夜、黒雪
忘れるはずもないあの光景。
記憶がない黒雪だけは、不思議そうに教室内を眺めていた。
『俺が本当の闇に染めてあげる』
また、彼の言葉が蘇った───
新シリーズ連載開始です!
次回は一応キャラ紹介をしようと思いますので、第二話は少しだけ間があくかもしれません。
この物語は全せかの続きですので、全せかをまだ読んでない方はぜひ読んでみてください!