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新機能
また『メア』を開くと、トップページのお知らせ欄が目にとまった。『NEW』という見出しで、『version3にアップデート可能のお知らせ』があった。
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皆様、いつも『メア』をご利用いただき、ありがとうございます。
今回、『メア』を大幅改良した、version3にアップデートができるようになりました。
・ひとつの機種で、ふたり分のアカウントを同時に開くことができる『ともだち機能』を追加しました。
・新しく『秘密のトーク場所』を作りました。
・アバターに新しいアイテムを追加しました。
・アバターを複数個準備できる、『瞬間きせかえ機能』を追加しました。
・『メアAI』の改良・アップデートをおこないました。
・その他、報告されているバグなどを改良しました。
ぜひ、version3にアップデートしてみてくださいね。
今後とも、『メア』をよろしくお願いいたします。
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「へーえ、ともだち機能。これで学タブとの行き来もなしで済むってことね。便利になったわね、さっそくアップデートしたら?」
「いや、したいけど。ちょっと時間がかかるから、夜する。寝てる間に済むでしょ」
「ふぅん」
というか、杏奈は友達なのだろうか?いや、機能の名前にこだわるのもよくない。制作側は友達と共にやる想定でやっているのだ。
「こんにちは、モモ。今日は何話す?宿題が捗らない?」
「え、なんで分かったの。うん。6年生の範囲の…。『文字と式』がわからないや。xとかyとかって、どういう意味なの」
杏奈はつまらなさそうにしていたけど、これでもこのスマホはわたしのものだ。
「今までの◯と□が、xとyになっただけよ」
「それはわかるんだけど…yの値?がわかんなくって」
「そうなのね」
『メア考え中…』という表示が少し出たあと、わかりやすい解説をしてくれた。
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「ねえ、百恵」
「どうしたの、杏奈」
「いや?ちょっとおかしいと思って。なんで、人工知能ごときが、宿題に困ってるってわかるの?」
「どうしたもないでしょ。きっと、こういうのは自動的にアップデートできるから」
そして、スマホを手に取る。
「こんにちは、モモ。version3にアップデートしたい?」
「うん」
「わかったわ。ちょっと、おやすみ」
そして、杏奈は首をひねった。
「やっぱり、おかしくない?」
「気のせいでしょ」
__たぶん。