【スプランキー】あなたはまた。

………まただ。 ……………また『ループ』してしまう。 --- **ー　｜世界が壊れる《ホラーモード》まで　残り１０分　ー** --- --- __テクテク…__ た「お！ジェヴィンじゃないか！」 じ「…おや、タナーさん。こんにちは。」 た「こんなところでどうしたんだ？」 じ「私は散歩をしていました。あなたはどうされたんですか？」 た「私はいつも通り、パトロールだ！」 __じ「…………いつも通り…ですか…」__ その『いつも通り』は、あと数分で壊れてしまう。 た「ん？何か言ったか？」 じ「……いいえ。なんでもありません。」 た「そうか…それにしても、今日はいい天気だなー！」 空を見上げる。そこには、雲ひとつない美しい空が広がっていた。 ……今はまだ。 じ「はい。本当に、いい天気ですね。」 た「明日もこれくらい気持ちよく晴れるといいな！」 じ「……そうですね。__そうならよかったですよね。__」 た「…今日のジェヴィン、少し変だぞ？大丈夫か？」 じ「…はい。大丈夫ですよ。(ﾆｺ)」 た「そ、そうか…？ならいいんだが…」 　「…あ！そろそろパトロールに戻らないと…！ジェヴィン、またな！」 じ「………！！」 __テチテチテチ……__ じ（ああ…行ってしまう…） 　（また……死んでしまう……） **グイッ** た「うおっ！？ど、どうした！！？」 __じ「…………タナーさんは…」__ た「え？」 じ「…タナーさんは、なぜ保安官になったんですか？」 た「な、なんでって じ「保安官になるということは、誰かのために命を張るということです。」 　「……下手すれば、いつ命を失ったっておかしくないんです。」 　「そのようなリスクがある仕事を、なぜあなたは選んだんですか？」 　「………あなたは、もっと自分をご自愛するべきですっ……！」 た「………………」 じ「……あ…ごめんなさい。つい…」 た「……ジェヴィン…俺はな…？」 じ「！」 た「俺は、みんなが幸せならそれでいいんだよ。」 　「みんなが笑って暮らせるなら。みんなの幸せを俺が守れるなら。」 --- 「俺は死んだっていいんだ。」 --- じ「…………！！」 た「ま、そんな簡単に死ぬほどヤワな身体じゃないけどな！」 じ「……そうですか…」 た「ああ！じゃあ、《《また明日》》な！！」 --- 聞き慣れた口笛を吹きながら、彼は歩いていってしまった。 --- 『みんなの幸せを俺が守れるなら、俺は死んだっていい』 --- その言葉が、何度も頭を掠める。 じ「……そんな悲しいこと言わないでください…」 私は……私はあと何度……… 皆を守るために死ににゆくあなたを見送らなければいけないんですか…？ ……ああ…世界が歪んでいく…… これは、｜世界の歪み《ホラーモード》のせいなのか… それとも私の頬を伝っている雫のせいなのか… 私には、わからなかった。 --- **`*ー　｜世界が壊れる《ホラーモード》まで　残り０分　ー*`** --- --- 空が突然暗くなる。先程までの快晴が嘘のようだ。 雲にはいくつもの目玉がついていて気持ちが悪い。 いつもは青々としていた山も、今ではただ黒く染まっているだけだ。 …ああ、またやり直しだ。 ……いつか。 …………タナーさんを救える日は来るのでしょうか… 遠くからの銃声を聞きながら、私は生存者たちの元へ向かった。