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惚れ薬飲んじゃった潔に付き纏われる玲王の話 7
※潔が惚れ薬飲んでる
※♡多め
※ 展開が雑&文章が下手
「玲王、今、いいか?」
「ごめんな!この後ちょっと用事あって、また今度………」
今日も潔がイングランド棟に訪ねてきた。
またいつものように、できるだけ自然な笑顔を貼り付け、断ろうとする。
が、それを遮るように潔が声を上げた。
「すぐ!終わらせるから、
ほんの少しだけ付き合ってほしいんだけど………
………やっぱダメ、か?」
潔が眉を下げて笑う。
無理してるときの笑い方だ。
嫌だな。そんな顔、させたくないな。
「………いや!ちょっとなら大丈夫だ
どうしたんだ?潔。」
結局潔を突き放すことなどできず、招き入れた。
しばらく潔は視線を彷徨わせ「えっと、あー…」と悩ましげな声を上げていたが、
腹を括ったのか、玲王の顔を真っ直ぐに見つめ、話を切り出す。
「気のせいかも、だけどさ。
………玲王、俺のこと避けてる、よな?」
「っ!………」
自然を装っていたが、数回も続くとやっぱばれるか………
少し表情を固くし視線を逸らす玲王を見て、肯定と受け取ったのか、潔は続けた。
「多分、前、惚れ薬飲んだ時のことでだよな。
………悪かった。惚れ薬のせいとはいえ迷惑かけて。」
「えっ……………」
なんで、潔が謝ってんの?
玲王がバッと潔の方に視線を戻すと、
潔は唇を噛み締め、辛そうに、崩れた笑みを浮かべていた。
「男にベタベタされて嫌だったよな。き、気持ちわりぃよな。
………本当にごめんッ」
「やっ、ちがっ………」
潔の表情がどんどん曇ってゆき、声が震えていく。
違う、潔が謝ることなんて無い、
だって、俺は、
「もう玲王には絶対迷惑かけないようにするからさ、
だから、
……………避けるのは、やめて、ほしい」
途端に潔の表情がぐしゃりと歪み、大きな瞳から、大粒の涙がぼろりと溢れた。
「ごめッ、ごめん………ッ!」
堰を切ったように、ぼろぼろととめどなく涙が頬を伝い、落ちて、床を濡らし、水溜まりとなっていく。
違う、俺は、潔を傷つけたくなくて、
………潔に嫌われたくなくて、
違う違う違う違う違う違う違う
「ッ、違う!!!!!!!!」
「ッ!?」
急に声を荒げた玲王に、潔はビクッと大きく身体を跳ねた。
「迷惑なんかじゃなかった!
むしろ逆だ、
だって、俺ッ………
………潔のことが好き、だから。」
ああ、言ってしまった。
胸のつっかえが取れるように、一瞬だけ、心がスッと軽くなり、
落ちてきた錘を受け止めるように、ズンと急にまた重くなる。
「1番に俺のとこに来てくれて、嬉しかった。
俺のことだけ見て、
俺の側にいてくれて、
………………潔が俺のものになったみたいで、
すっげぇ幸せだった。」
ずっと心の底にあった潔への想いを伝える度、罪悪感と不安で心が棘で刺されるように痛み、どんどん重くなる。
でも、もう止めることなど出来ない。
「好きだ、潔。
好き、大好き。
ずっとずっと前から、
誰よりも1番、
潔のことが好きだ。
……………好きになってごめんな」
ポロポロと言葉と涙が溢れる。
こんな自分勝手な好意が、潔を傷つけてしまった。
俺が上手く諦められなかったから。
この想いを捨てられなかったから。
こんな状況でもとめどなく溢れてくる『好き』を、1つ1つ丁寧に消すように、
閉まって、潰して、
二度と出さないことを誓うように、
「ごめん」を紡ぐ。
「玲王………」
「ごめん、潔、
俺のせいで
ほんとごめ………ッ」
「っ聞けって!!!」
胸ぐらを掴まれ、ぐいっと力強く引っ張られる。
玲王のアメジストの眼に、潔の透き通った青が広がっていきーーーーー
ちゅっ
ふにゅっと柔らかい潔の唇が、玲王の唇を塞いだ。
「!?」
驚いて身を引こうとする玲王に、潔は掴んだ服をさらに強く自身の方へと引き寄せ、唇がより一層深く重なる。
2つの体温が混ざり、溶け合わさって1つになったよう錯覚してしまう頃、
ゆっくりと唇が離れた。
「しょっぱッ!涙、口に入っちった」
少しの間の沈黙を破ったのは潔だった。
余韻に呆けていた玲王は潔の声でハッとし、
唇を押さえ、顔を真っ赤に染め上げ、震える声で潔に詰め寄る。
「潔!?な、なんで!?!?!?」
「なんでって、
………俺も、玲王のことが好き、だから」
「うそだ………」
「嘘なんかつかねぇって、こんなことキス、まで、して………」
途端にぼぼっと顔を玲王以上に赤らめ、言葉が尻すぼみに小さくなっていく。
キメる時は最高にカッコいいのに、最後までキメ切れない感じが潔らしく、思わず「ふはっ!」と笑みが溢れる。
「な、笑うな!!!
………いや、やっぱ笑ってろ。
笑ってる方が好きだ。」
「!潔もなっ!」
玲王が潔の頬を上にぐにっと持ち上げ無理矢理笑わせる。
「ちょ、やーめーろー!」
「ははっ!!」
気づけば2人とも涙は止まっていて、
久々に、いつもの様に戯れ合う。
なんて事のないふざけ合いの心地良さに、2人で心から笑い合った。
***
「ところで、惚れ薬飲んでる間、本当に俺に何もされなかったのか?」
少し気まずそうに潔が尋ねた。
「?されて無いし、して無い。まぁ一日中くっついてきてたりとかはあったけど………
………キスも、さっきのが初めてだ。」
「ほんとに?
………身体で迫ったり、もされて無い?」
「??ん?ああ?」
「あ〜〜〜〜、良かった……………」
潔がホッと胸を撫で下ろす。
やらかしてることへの心配、と言うより、まるで俺が潔に向けていた様な、
潔を取られることを不安に思っていた時の感じ、みたいな………
………!
「もしかして、惚れ薬飲んだ潔自分自身に嫉妬してる、とか?」
「……………………悪いかよ」
気まずそうに目を逸らす潔の姿を見て、まさかの正解に驚く。
潔も嫉妬とかするんだ!?
しかも自分自身に………
か、かっわいい〜〜〜〜〜〜〜
にやにや笑う玲王に、潔は恥ずかしそうにほんのり頬を染め、「だ、だって!」と弁解するように声をあげる。
「惚れ薬飲んだ自分でも、取られたくねぇじゃん。
……玲王との記憶は全部俺がいい。」
ふはっ!
潔らしいエゴい発言に、思わず吹き出してしまう。
「さすが俺の潔、エッッッゴ」
潔は少し拗ねたようにそっぽを向き、柔い唇を尖らせていたが、
吹っ切れたのか、玲王の方に向き直り、ずいっと顔を近づけた。
玲王の手に自身の手を絡ませ、恋人繋ぎでぎゅっと強く握り込んで向かい合う。
「手に入れたからには一生離してやらねーからな!玲王!」
潔がニッと歯を見せて笑う。
普段は可愛いのにたまにかっこよくなる。ほんとにずるい奴だ。お前は。
負けたままじゃいらんないよな
玲王も笑顔で、
潔の瞳を真っ直ぐに見つめ、
手を負けじと強く握り返す。
「こっちの台詞だっての!潔!」