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神様神社 5話
「やっぱり塾だるかった・・・」
私は現在、塾の帰りである。
空には満天の星。「お腹へった・・・」
ふいに、あの嫌な感じが全身を駆け巡った。
化け物だ。
嫌な感じの方へ振り向く。やはり化け物だった。黒く大きい塊。ぎょろりと光る大きな目。それが全身に無数についている。前に神様が倒していたやつとは違う形のやつだった。
「神様に連絡しよう・・・!」そう思って、お守りを握りしめ、念じようとしたその時だった。
小さな人影が、天空から落ちてきて、化け物の頭に乗った。
「あれは・・・誰?」呟いたとき、人影の後ろに大きな影が浮いた。
鋭く黒い、昆虫の足のような、鎌のような・・・ものだった。
それが、化け物の体を切り裂く。
「え?」
面白いぐらいに真っ二つに割れた化け物の体から、小さい、けれども存在感のある輝く石が出てきた。人影がそれを奪う。
「あなたは」私は知らぬ間に問いかけていた。「あなたは、神様なんですか?」
「・・・ん?」人影がやっと気づいたようにこちらに振り向く。声からして少年だろう。
「僕は神様じゃないよ」
神様じゃ、ない?
ばきばき、と音を立てながら、虫の足みたいなそれが少年の体に引っ込む。「神様じゃないなら、あなたは一体」
たんっ、と消えかけた化け物の体を足場にして蹴って、少年が闇夜に消えていく。
「待って・・・!?あなたは・・・!?」私がそう言っても、少年が戻ってくることはない。
「神様のところ行くか・・・」私は再びお守りを握りしめた。
「は?神様じゃないのに化け物を殺せた?」神様が目を丸くした後、何かをつぶやき始める。
「そうか・・・『あいつら』がこの街には居たから、化け物の数が少なかったんだ・・・!なんでもっと早く気づかなかった?いや、そもそも『あいつら』がこの街に居る意味とは・・・」
「神様、どうしたんですか?」「そっか、あかりにはまだ話してなかったね、ごめん」神様が私の方を向く。
「あかりが目撃した子って言うのは・・・間違いなく、『|貘《ばく》』って奴らだと思う」