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不良と魔女さん。
バニラ
「……奈々ちゃん、何それ」
「……何って」
ふよふよと浮くケーキを見て、友達は何かを恐れるような様子で聞いて来た。
私は、昔から、
「魔法、だけど」
魔法が使えた。
インターホンがなり、家のドアを開ける。
そこには見知った顔の男の子がいる。
彼は、毎日放課後、家が近いからこうして遊びに来てくれるのだ。
「由里、……また喧嘩したの?」
「ん?ああ。したねぇ」
へらっと笑って潔くそう言う男は白野由里。私、風間奈々の幼馴染。
「とりあえず入って」と私は家の中に入るように言う。
両親は夜遅くまで働いているから家にいない。
そこで私は由里の顔をみる。
由里の頬には傷ができていて、見ているこちらが痛々しい。
仕方なく私は由里に近づいて、頬に手を添えて唱える。
「ヒール」
するとキラキラと光が舞い、頬の傷はなくなった。
「喧嘩はよくないよ?由里が怪我してるの、見てて気持ちのいいものじゃないし……」
「……そーだね。以後気をつけます」
「そう言ってまた喧嘩するくせに!」
ははは、と笑う由里。
いや、笑い事じゃないんだけど!?
由里は、私が魔法を使える事を知っても怖がらず普通に振る舞ってくれた人。
中学生になった今も、一緒に話す仲。
昔はおとなしくて暗い子だった由里だけど、何故か今は不良になっていた。
毎日のように喧嘩して怪我してくるし、私としては不良引退してほしいんだけどな……。
「なんで由里は喧嘩するの?」
「秘密だよ?」
疑問系で返された。
理由を聞いてもいつもこんな感じではぐらかされるのだ。
そのうち教えてくれる事を期待するとしよう。
「……ねぇ、奈々ちゃん」
「?何?」
名前を呼ばれて振り返ると、ぷにっと頬をつつかれた。
「奈々ちゃんのほっぺ、柔らかいね」
「……まぁ毎日スキンケアしてるし?」
「へぇ、魔法に頼らずスキンケアかぁ。現代の魔女さんはそんなものなんだねぇ」
話しているうちもぷにぷにとほっぺをつつく手を止めない由里。
「……何がしたいの?」
「ん?」
意図がわからず、問うと、
由里はふっと微笑んで、
「内緒ー」
と言う。
完全に、からかわれてる。
……本当に、昔とイメージが全然違うなぁ。
でもなんか、この時間はやっぱり好き。
学校で「魔女だ!」「近寄らないほうがいいよ。バチが当たる」
なんて悪口を言われてる時間より、よっぽど楽しい。
由里といる時間は「魔女じゃないただの奈々」でいられる。
由里には感謝しかない。
でも毎日怪我してくるのは勘弁してほしい。
「ゲームしよ、ゲーム。車運転して順位競うゲームがしたい」
「おお、受けて立つ!私結構あれ得意なんだよ?」
魔女だけど、魔法のことを忘れていられる時間。
毎日訪れるこの時間を、ずっと大切にして生きていたいと思う。
読んでくれてありがとうございます!
めちゃくちゃ素人ですがぼちぼち頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。