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#06
「も、もう……!」
簓は顔を真っ赤にして、琥珀から少し離れようとする。
「せっかく嫉妬してくれたのに。もっと構ってあげなきゃ」
琥珀が追いかけるように簓のそばに寄り、今度は腕にぎゅっと抱きついた。
「な、なんやねん……!こんな校門前で、やめろや……!」
周りに人がいないかチラチラと確認しながら、簓はあたふたと落ち着かない様子だ。
「いいや、やめない。簓、寂しかったんでしょ?」
「……うるさい」
簓はそう言って、琥珀の頭に自分の頭をこつんと乗せる。
「ほら、帰るで」
簓は琥珀の手を握り直し、少し早足で歩き出した。
--- 簓の家にて ---
簓の家に着くと、琥珀はリビングのソファに腰かけた。
「ねえ、簓」
「なんや?」
キッチンで麦茶を淹れていた簓が、琥珀を振り返る。
「さっき、怒った?私、簓が嫉妬してくれたのが嬉しくて……」
「怒ってへんわ。……ただ、あんまり俺以外の人と仲良くせんといて。……いや、仲良くするのはええけど、俺にちゃんと構って。……やっぱちゃう、……もう、なんでもええわ」
簓はブツブツと呟きながら、琥珀の隣に座った。
「ふふ、なにそれ」
琥珀が笑うと、簓はムスッとした顔で琥珀の頭を自分の肩に引き寄せた。
「……なぁ」
「うん?」
「……ほんま、ごめん。俺、嫉妬して、琥珀に冷たくしてもうた」
「いいよ。だって、私も簓が構ってくれなくて、寂しかったから」
琥珀の言葉に、簓は嬉しそうな顔をして琥珀の頭を撫でる。
「……せやろ?俺も同じ気持ちやったわ」
そう言って、簓は琥珀の唇にそっとキスをした。
「……ん」
「もっと、してええ?」
簓が耳元で囁くと琥珀は何も言えず、小さく頷いた。
簓は琥珀の顎をそっと持ち上げ、もう一度キスをした
今度はさっきよりも深くゆっくりとキスが終わると、二人はしばらく見つめ合った。
「なぁ、琥珀」
「うん?」
「……俺、琥珀のこと、ほんまに好きやわ」
「私も、簓のこと、大好き」
琥珀がそう言うと、簓は嬉しそうに笑い、琥珀をぎゅっと抱きしめた。
二人はソファに横になり、簓は琥珀の髪を指で遊びながら、囁くように話しかける。
「なぁ、今日さ……もう帰らんといて」
「……うん」
琥珀は簓の胸に顔を埋め、彼の温もりを感じた。
「じゃあ、このまま、ずっといちゃいちゃしよか」
「……簓、ばかぁ」
琥珀が照れてそう言うと、簓は嬉しそうに笑い、琥珀を抱きしめる腕にさらに力を込めた。
リビングには、二人の甘い声と、時折響く笑い声だけが、優しく満ちていた。
終