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溶ける記憶と紡ぐ幸せ。 1.大好きな
「しょうとーっ!!!!おはよぉ!」
いつものように、窓の外を眺めている翔斗に声をかける。
「…!はるっ…おはよ、!」
こちらを見るなり、ぱぁっと明るくなる|表情《かお》に思わずこちらも
笑顔になる。まぁもともと笑顔だったけど。
「ねね、今日さ!一緒にプリクラ行かないっ?」
「ぷり…くら?なに、それ」
「えっ…もしかして、知らない、?」
翔斗の親は昔から厳しかったし、あまり外にも出てなさそうだったから
もしかしたらそういうのは存じ上げないのかもしれない…
「うん…ごめん、」
「い、いや!謝ることじゃないよっ!!なんか…ポーズとかとって、
写真撮るの!友達とかとやるんだよー!」
「…じゃぁ、友達とやらなきゃだめなんじゃない?俺彼氏だよ、」
「いやっ、友達とじゃないとだめってわけじゃないし…あーもういいやっ!
とにかく!今日は予定あけててねっ」
「あ…うん、」
これ以上話しても理解してくれる気がしなかったから、もう諦めて
それだけ言って席に戻った。
あの人、ふわふわしてるけど実は意外と頼りになるんだよね。
道歩くときはしれっと車道側歩いてくれるし
危ない自転車とかが走ってくると、自分の方に寄せてくれるし
もうとにかく、世界一の彼氏だと思ってる。
つまんない授業は妄想で乗り越えて、やっと帰りのHR。
先生の長々とした話もめんどくさいから、今からの妄想を繰り広げる。
プリクラ撮ってー、そっからクレープとか食べてー、それからー…
考えてみればどんどんやりたいことが浮かんできて、思わずニヤニヤ
してしまう。
もう、絶対に楽しい。
そんな自信があった。
「それではみなさん、さようなら」
「さいならー」
そう呟いて、翔斗のところに駆け寄る。
「翔斗っ!いこー」
「あっ…うん、!あ…そういえば、俺お金あんま持ってないよ…?」
「えっいやいいいい!!!うちが誘ってんだし、うちが奢るよ」
「え……わ、かった、今度返すね」
「いや、…うん、ありがとう」
まぁ食い下がるわけないから、とりあえず返事をして、私たちは教室を後にした。
「ふぅ…つかれたぁー!」
「今日も授業疲れたねぇ」
にこにこしながらそんなことを言っている翔斗は、いつも通り車道側を
歩いてくれている。
ほーんと、雰囲気と性格違いすぎるんだから…
「そーいえばさ!ーーーー、ーーー!」
「ーーー?ーーー…」
私が振った話で盛り上がっていたその時だった。
遠くから、猛スピードの車。
しかもその車は、私たちが歩いている路側帯を走っていて…
「っ、あぶなっ…!!」
肩に衝撃が走ったかと思えば、
ドンッッ!!!という音が響いた。
私は、地面に叩きつけられる。
けど、思ったより痛くなかった。
轢かれても案外大丈夫なんだ…
そんなことを思いながら、車の方を見ると
五メートルほど先で
翔斗が、頭から血を流して倒れていた。