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告白現場に遭遇しちゃったんですが、、、?
今日は何事も無い1日だったーーー
そう思いながら楽器を楽器倉庫に仕舞おうとしていた私は坂木優音。
楽器倉庫の中で楽器を片付けたり整理していた吹奏楽部員は疲れ切った顔をしていた。
まぁ朝練とか昼練、部活活動時間後の放課後練とかも立て続いていたからだろう。
みんな朝から夕方、はたまた夜までずっと吹き続けていて酸欠になっているだろうし、多分私もかなり酸欠だと思う。それもそのはず、もう頭があんまり回らない。1足す1はなんだったっけ、、?
今日は水泳部がないからもう花華は帰っているだろうし、早く帰ってとっとと課題終わらせて花華と連絡しよ。
そんな大したことないを考えていた矢先、事件は起こった。
「ーーさんが好きです。付き合ってください!」
そんな声が靴箱の奥の方から聞こえてきた。え、告白現場じゃん!?えーやばいかも、誰だろ?
声は、、聞いた感じ、同じクラスの男子だろうか。でも誰かわかんないし、誰に告ったのかもわからない。ちょっと見てみよっかなぁーとか思っていた時、告られていた方の子が声を出した。
「えっと、、?どういうことですか?」
ん?ん??ん???
この落ち着いた、少し低い声でありながらも可愛さがあるこの声の持ち主はーーー。
は、は、花華じゃん!?
うわぁーやっぱり花華はモテるなぁ。本人は自覚無いんだけどね。
しかし最近は花華のモテ期ピークなんじゃないかってぐらい花華が告白されたって事を聞く。
花華がモテてるのはもう、花華の全てが可愛いし最高だからなんだけど、いつか他の人に私の愛する人を奪われてしまうんじゃ無いのかなって言う不安がよぎる。
私と花華は釣り合っているかなぁ、、、?
あんなに素敵な花華の隣が私でも良いのかな?
私なんかじゃ比べ物にならないぐらい素敵な人が花華の前に現れたら?
ーー花華が私を捨てたら?
そうなったら私はどうしたら良いんだろう?
不安ばっかりが頭の中に湧き上がっていた。
「あれ?優音ちゃんどうしたの?」
か弱くて細く、可愛らしい声が隣から聞こえた。
「ん、、?」
ふっと横を見ると二つぐくりの三つ編みをした女の子がこちらをじっと見てきた。
スカートは膝下までの長さで、胸元のリボンをネクタイ結びで結んでいる、ザ・真面目系の女の子。
「あ、愛衣、、」
顔を見なくても、真面目なイメージですぐに愛衣ってわかった。
「優音ちゃんどうしたの?元気ないよ?」
「違うの、違うの。全然大丈夫だよ!愛衣、わかまこもうそろそろ来るんじゃないかなぁ?一緒に待つ?」
私としては完璧だった。完璧な演技だった。元気な感じで振る舞ったはずだった。
でも、愛衣にとってはバレバレだった。
「優音ちゃん、、。絶対なんか隠してるでしょ。なんかあったの?」
「え、ええ、、?何にも隠してないよ?」
「嘘だぁ」
そんな会話をしていたら、告白された女子ーーー花華の声が聞こえた。
「ーーくん、ごめんなさい。私にはもう好きな人がいるので、、。」
あっと声を漏らしてしまった。
愛衣はふーん?と言いながらこっちに目を向けた。
「あれだ、花華ちゃんが告白されてる、いわゆる告白現場に出会っちゃった感じだよね?それで、なんかよくない事考えてたんじゃないの?」
「あ、えっと、はい」
愛衣にはバレてたかぁと思いながら、私は、不安だなぁと思ったことを話した。
うんうん、、と愛衣は優しく聴いてくれた。いい友達を持ったなぁと改めて思った。その瞬間だった。
「それでも俺は天野さんと付き合いたいです!」
告白した男子の方だった。
今のは諦めるところだったのに諦めないということにびっくりして、私も愛衣も黙ってしまった。
「でも」
「好きな人のことは忘れて、俺と付き合って!そうしてください!」
何言ってるんだろう、この男子は。
愛衣はその言葉を聞いて完全に絶句してしまい、そのまま下を向いてしまった。
私も意味が分からなくて混乱している。
ーーここまで来て誰が花華に告白しているのかが気になった。
見たらバレちゃうかなぁと思いつつも、やっぱり好奇心には勝てず一瞬だけ一回靴箱の奥を見てしまった。
うわぁ。女子が最近騒いでいる、最近転校してきた学年1のイケメンっていう男子だ。
私からしたらその男子よりも花華の方が何倍もカッコいいのにって思ってるけどあんまり口には出さない。
でも、その男子と可愛い花華が付き合ったらそりゃみんな応援したくなるんだろうな。
私なんかよりその男子と付き合った方が花華も幸せ、、じゃないかな?
将来的にも同棲の私とは結婚できない。花華はあの転校生と付き合った方が将来幸せだよね…。
うう、、何にも考えたくなくなってきた。
花華、、転校生と付き合ったら私とはもうさよならだね、、
来世は私が男になって結婚できたらいいな、、。
そんなネガティブな感情が頭の中を渦巻いていたその時だった。
「ごめんなさい。その好きな人ともう付き合ってるんだ。もう離したくないぐらい愛おしいの。だから諦めてもらえる、、?」
花華の声が靴箱全体に響いた。
私はばっと目を見開いた。
絶句して下を向いていた愛衣も顔を上げた。
「えっ、は?お、おい、天野さん、付き合ってる人いるのかよ?」
男子が慌てた様子で続けた。
「、、は?だ、誰だよ!?おい、そいつじゃなくて俺にするのはどうだ!?」
冷静な声で花華が続ける。
「だからそれは無理です。何回も言うけど、付き合ってる人とはもう離れたくないし、離したくない。それぐらい好きなんです。お願いだから諦めてください。それに、、、もうそろそろその人が来ちゃうから、私はこれで失礼します」
そんな凛々しくてかっこいい花華の声が夕日れどきの学校に響く。
転校生は「くっそぉーー!!」とか言いながら靴箱を出て行った。
あの転校生は何だったんだろう、、とか思っていた時、凛々しくてかっこいい声の持ち主ーー花華がこちらに近づいてくるのがわかった。
愛衣とあたふたしながら隠れる場所を探しているうちに花華とばったり目が合ってしまった。
「「あ”」」
愛衣ときれいにハモってしまった。
やばいどうしよう盗み聞きしてたのがバレちゃう、怒られちゃうかも、、!
そうこう考えている間に花華が駆け足でこちらに来ていた。
私と愛衣は完全にあわあわしていた。どうしようどうしよう!?
「、、え?」
私は理解が追いつかなかった。
気がついたら花華が私を強く抱きしめていた。
「優音ぇ、、。怖かったよ、、!急に付き合ってとか言われちゃった、、。怖かったあ、、。
優音、、ゆうね、、うぁ、大好きだよぉぉ、、。」
さっきとは大違いの、弱々しくて今にも泣き出しそうな花華の声がそう言った。
、、花華には申し訳ないけど、今の花華、めっちゃ可愛い。
好きな人が居ても俺と付き合えって言われて怖くて泣いちゃってる花華すっごい可愛い、、。
今絶賛モテ期でよく告白されているのにこんなにメンタルよわよわなんだ、、と同時に知った。
「、、あのぉ〜」
すっっごく気まずそうな感じの声が聞こえた。
ふっと振り返ると、先程まで楽器倉庫を整理していた若宮真琴ーわかまこが愛衣の横に立っていた。
「わかまこ、、!んもー、居たなら言ってよー!」と花華。
「んだから!2人がそんなにいちゃついてたんだから言おうにも言えないんだけどぉ!」とわかまこ。
少しの沈黙の後、面白くなっちゃって4人全員が笑い声を上げた。
今日も此処は平和です。
お疲れ様でしたー!
いやぁ、結構長めになっちゃいましたが、どうだったでしょうか!
告白のシーンのところ、花華と転校生の会話がスローモーションすぎるなぁと感じましたが、修正がめんどくさかったのでそのままにしています笑
ちなみにみらは今絶賛テスト期間中ですーー😭
後2日したら戻ってきますので、もう少しお待ち下さい!
では、またお会いしましょー!