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公開中

7 魔王に呼ばれて

「じゃあさ、父様」 「なんだい?」 私は自慢げに胸を張った。 「大きくなったら、すっごく強くなって父様のこと助けるわ!」 私はその時の父様の表情を忘れない。 驚いたような、うれしいような。 少し、寂しいような。 ―――――――――――――― 夜。 私は父様の言っていた「母」とやらに会ってみることにした。 きっと父様に言ったら怒られてしまうだろうから、ひそかに行くことにした。 「……ルー?」 後ろから声をかけられ、ビクッと体を震わせる。 「何」 パッと後ろを向くと、アーゼンがいた。 「驚かせないでよ。馬鹿じゃないの?」 「なんでそういうこと言うのさ」 アーゼンがむっとした顔で眉を寄せる。 「……で、なんでこんな時間に外に出てるの?」 アーゼンが首をかしげて尋ねる。 私は思わず視線をそらした。 「ちょっと、用事があるのよ」 「嘘だ」 ずっ、とアーゼンが距離を詰めてくる。 この子、こういう時だけ妙に勘がいいのよね……。 「いいでしょ別に。アーゼンには関係ないわ」 そう言うと、アーゼンは不満げに頬を膨らませた。 「あるよ。だって……夜に一人で歩いてたら危ないでしょ」 その言い方が妙に真剣で、私は一瞬言葉を失う。 「……それで? どこ行くの?」 「教えないわ。坊ちゃんは早く寝てなさい」 「やだよ」 大きな声を出しそうになったが寸でのところで止めた。 「本当に、教えないから!」 私がぴしゃりと言い放つと、アーゼンはさらに眉を寄せた。 「……ルーって、そういう時すぐ隠すよね」 「はぁ?  隠すとかじゃなくて、ただ」 私は、ぐっと言葉を止めてしまった。 「ただ何?」 詰められ、言葉が詰まる。 アーゼンは私の顔をじっとのぞき込んできて、その瞳はふだんよりずっと大人びて見えた。 「危ないことしようとしてるんでしょ」 「……っ!」 図星を刺され、息が止まる。 「ち、違うわよ。ただ、地下牢に……」 言いかけてハッと口をつぐんだ。 しまった。 アーゼンは目を丸くした。 「地下牢?  ルー、なんでそんなとこ行くの!?」 「知らないほうがいいのよ。だから……」 「行くなよ、そんなとこ!」 アーゼンは思わず声を上げ、慌てて口を押さえた。 「……っ、ルーが行くなら……僕も行く」 「は?」 私は怒りゲージが満タンになる。 「うるさいわね! あんたには関係ないんだから黙っててよ!」 「関係あるって!」 「ないわっ!」 私はばん、と部屋のドアを閉め、鍵を閉める。 ドアの向こうでアーゼンが何か言っている気もしないでもないが、私はそのまま座り込んでしまった。 今日は母様に会えないみたい。 ――――――――――― 「ねえ、父様」 「昨日は何があったんだ?」 珍しく父様が怒っていた。 「ご、ごめんなさい……。出来心でした……」 すると父様は、小さくため息をついた。 「ルーフェリア。怒ってはいないよ」 「……え?」 顔を上げると、父様は少し困ったように笑っていた。 「ただね。アーゼンが相当落ち込んでいるようなんだ。もし君が……彼女に会いたいというならば、アーゼンには気づかれいないようにしないと」 「……はい」 「ああ、俺は怒ってないからね」 父様がその言葉を足してくれたおかげで、私はほっと安心する。 「何かあったならば、彼には一応何か言っておくべきだと思うし、彼が立ち直れると思うなら、何も干渉しなくてもいいだろう。しかし……」 「……何?」 「今日、アーゼンにあったかい?」 私が考え込んでいると、父様が「会っていないだろう」と言う。 「……確かに」 「そうだろうな」 父様は腕を組んで天井を見上げるようにして少し考え込んだ。 「アーゼンは、素直で強い子だ。だからかはわからないが、昨日のことのせいでルーフェリアが家を出てしまったと思っているらしい」 「……え?」 なによ、それ。 私は面白くてくすっと笑ってしまった。 「まあ、俺は会いに行くべきだと思うぜ」 「そう。私、そうするわ」 ―――――― 結局、アーゼンとは仲直りをして、父上の了承も得て、父上と三人で地下牢へ向かった。 「……誰もいない?」 「……うーん。抜け出されたか、それか転移魔法だね。市民の場所はわかるようになっている可能性もなくはないな」 「……そう」