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おしおき
司「まずは、パーティーが始まった直後から振り返ってみるぞ…」
司「宵崎の呼びかけで、オレ達はホテル旧館の大広間に集まった」
司「宵崎は、ある人物から送られた殺人予告を見て、今夜殺人が起きる可能性があると警戒していたんだ」
司「そこで、あいつはオレ達を監視しておく為に、パーティーを開催したんだ」
司「そして、全員集合ってわけにはいかなかったが、パーティーは始まった…」
司「だが、その時すでに、ある人物が仕掛けた罠は動き出していたんだ…」
司「そいつは倉庫のコンセントに3台のアイロンを繋ぎ、旧館の電力消費をギリギリの状態にしておいたんだ」
司「その上で、11時30分になると作動する、ある仕掛けを用意した…」
司「それは、大広間と事務室にあったエアコン…そいつは、そのエアコンに、タイマーをセットしておいたんだ」
司「すでにアイロンでギリギリの消費電力だったせいで、エアコンの起動と共にブレーカーが落ちてしまった」
司「でもその時、宵崎は持ってきていたジュラルミンケースの中から、ある物を取り出したんだ」
司「それは、暗視スコープだ」
司「殺人を警戒していた宵崎は、様々な防犯グッズを現場に持ち込んでいた」
司「暗視スコープを付けた宵崎は、そこである人物の不審な行動を目撃した…」
司「類が卓上ランプの電源コードを手繰って、テーブルの下に入っていったんだ」
司「ここまでは、何もかも類の計画通りだった…」
司「宵崎に殺人予告の手紙を送ったのも、停電の仕掛けを作ったのも…類だったんだ」
司「そしてその頃、停電になった厨房では、別の人物…真犯人が行動を開始していた」
司「おそらく、犯人は類の計画を知っていて…停電が起きることもわかっていたんだろう」
司「だからこそ、犯人は暗闇の中での犯行に必要な道具を事前に準備できたんだ」
司「まずは《《明かり》》…これは、厨房の備品にあったカセットコンロだ」
司「そして《《凶器》》…これも、あらかじめ厨房に隠してあった物だ」
司「シュラスコ料理用の長い鉄串…犯人はそれを、骨付き肉の中に隠しておいたんだな」
司「その凶器とカセットコンロを手に、廊下へと出ていった犯人は…」
司「自分の手にある明かりが大広間の方に漏れないよう、廊下の防火扉を閉じたんだ」
司「そして、明かりを手に倉庫へと向かった犯人は、そこからある物を手にした…」
司「それはテーブルクロス…犯人はそのテーブルクロスを、返り血を防ぐ為に使ったんだ」
司「こうして準備を終えた犯人は、床の穴から大広間の床下へと潜っていったんだ」
司「きっと、カセットコンロはそこで消したか…穴の入り口にでも置いておいたんだろうな…」
司「大広間の床は隙間だらけだったからな、明かりを持って移動するわけにはいかん…」
司「そして、犯人は事前に塗った《《夜光塗料》》を目印に、テーブルの真下へと辿り着くことに成功したんだ」
司「そこで、宵崎はテーブルの裏に隠してあったナイフを見つけてしまったんだ…」
司「もしここで宵崎が引いていれば、きっとあいつは殺されずに済んだんだろうが…」
司「宵崎は、そのナイフを手に取ってしまった。そしてその瞬間…」
司「犯人は、床下から勢いよく鉄串を突き上げたんだ」
司「犯人は、暗闇の中でナイフの夜光塗料が動くタイミングをずっと狙っていたんだ」
司「こうして、宵崎の殺害を終えた犯人は…」
司「わざと床下から声を上げ、自分が大広間にいるというアリバイを作り…」
司「すぐに床下から出てくると、大急ぎで厨房へと戻ったんだ」
司「そして、犯行に使った道具をまた厨房に隠した後で…何食わぬ顔でオレ達と合流したんだ…」
司「これらの犯行が可能だった奴は…1人しかいない…」
司「そうだよな…望月穂波!」
司「…これが全ての真相だ…どうだ、間違っているところはあるか?」
穂波「こ、こんなの…何かの間違いなんですって…私が人殺しなんて…そんなことするはずが…」
穂波「する…はずが…」
穂波「…っうう…!」
杏「これで…終わりみたいだね…」
モノクマ「ゲヘヘ…どうやら、議論の結論が出たみてーだなぁ…」
モノクマ「おっと、つい野生的な一面が出ちゃったよ。さっきのお肉の影響かしら?」
モノクマ「…なんて冗談はさておき、それでは緊張の投票タイムといきましょうか!」
モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを押して投票してくださーい!」
モノクマ「あ、念の為に言っておくけど、必ず誰かに投票してくださいね?」
モノクマ「投票しねー奴はぁ…さっきの肉みてぇに食っちまうぜぇ…」
モノミ「うう…ど、どうしてこんなことに…」
モノクマ「さて、投票の結果クロになるのは誰か!その答えは、正解なのか不正解なのかーー?」
モノクマ「さぁ、どうなんでしょー!」
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モノクマ「はーい、ということで…」
モノクマ「今回のコロシアイで宵崎さんを殺したのは…望月穂波さんなのでしたー!」
モノクマ「お見事!大正解です!」
穂波「あ…あああぁぁぁぁ…っ」
彰人「ま、まじなのかよ…」
彰人「てめーみてーな奴が…宵崎さんを殺したってのか…?」
えむ「だ、だけど…」
えむ「なんで…?なんで殺しちゃったの…っ?」
穂波「ち、ちがっ…違うんです…」
穂波「私は…みんなを助けようとしただけなんです…」
穂波「人殺しを企んでた神代さんを…止めようとしただけなんですよぉ!」
司「…え?」
司「止めようとした…ってのは…どういう意味だ?」
類「………………」
穂波「私は…朝から旧館で料理の仕込みをしていて…そ、そうしたら…」
穂波「大広間の方から変な笑い声が聞こえてきて…それで、そっちを覗いてみたら…」
穂波「そこで…見てしまったんです…」
穂波「神代さんが…テーブルの裏にナイフを仕掛けているところを…」
穂波「なんだか嫌な予感がして…そのまま神代さんの様子を見ていたら…」
穂波「持ち込んだアイロンを倉庫に置いたり…エアコンのタイマーをいじったりして…」
穂波「1人でずっと、ニヤニヤ笑ってて…」
穂波「だから私は…神代さんを問い詰めたんです…」
穂波「そ、そうしたら、その人は…!!」
類「おや…見つかってしまったかな…?」
穂波「み、見つかってしまった…って…」
穂波「あなたは何をしてるんですか…っ!どういうつもりですか!?」
類「もちろん、殺すつもりだよ」
穂波「…え?」
類「望月さん…言っておくけど、僕を止めようとしても無駄だからね」
類「たとえ今止めたとしても…僕は決して諦めないよ」
類「明日でも明後日でも明明後日でもその先でも……必ずコロシアイを起こしてみせるからね」
穂波「な、なに…言ってるんですか…?」
穂波「いくら外に出たいからって…そんなの…っ」
類「…………………」
類「そうか…やはり、そんな風に思われてしまうんだね…」
類「でも、そうじゃないんだ。僕は、自分が生き残ろうだなんて考えていないよ」
類「僕はただ…コロシアイが始まって欲しいだけなんだ」
類「僕はみんなが大好きなんだ。僕は超高校級のみんなが大好きなんだ」
類「そして…希望の象徴であるみんなを尊敬しているんだ」
類「そう…僕は希望と称されるみんなの才能を、心の底から愛しているんだ…」
類「だからこそ…」
類「コロシアイなんかに負けてほしくないんだよ」
類「どんなに巨大な絶望が立ちはだかろうとも、希望は決して負けないことを証明して欲しいんだ」
類「『希望は絶望なんかに負けない』ことを、みんなに証明してほしいんだよ!」
穂波「何言ってるんですか…い、意味がわかりませんよ…!」
類「敵が強ければ強いほど自分達も強くなる…これはお決まりだろう?」
類「つまり、立ちはだかる絶望が強ければ強いほど、みんなの希望も強くなるはずなんだよ」
類「僕はね…その輝きを見たいんだ。その為に、みんなの踏み台になりたいんだ」
類「僕は君達の希望を輝かせたい…それだけなんだよ」
類「そう、僕が求めてるのは、どんな絶望にも打ち勝つ《《『強い希望》》なんだ!」
穂波「ふざけてるんですか…?まさか、本気じゃないですよね…?」
類「分かってもらえないか…でもいいんだ、別に構わないよ」
類「この愛は一方通行でも構わない…僕はただのファンみたいなものだからね」
類「言うならば僕は…『超高校級の超高校級マニア』ってところかな」
穂波「か、神代さん…あなたどうかしてますよっ!!」
類「やっぱりそう思う?どうかしてるって…思う?」
類「けれど、愛ってそういうものだと思うんだ」
司「類…どういうことなんだ…?」
司「せ、説明をしろ!今の話…全くわからんぞ!!」
類「ほら、自分が贔屓しているボクサーには、強い敵と戦って、勝ってもらいたいと思うだろう?」
彰人「まさか…それと一緒だとか言うんじゃねぇだろうな!?」
類「あれ、だってそうでしょ?」
類「強くなる為に試練が必要なのは当然だし、過酷な試練であるほど強くなれるのも当然だよね」
類「こんなコロシアイなんて、価値のない人間からしたらただの厄災でしかないけれど…」
類「価値のある人間にとっては、その価値をさらに高めるための試練になるはずだ」
類「僕みたいに大した才能もない人間が、その試練になれるなんて最高じゃないか!」
類「僕なんかが生き残っても仕方ない…みんなの試練として死ぬ方がずっと有意義だよ」
類「みんなの価値を高める為の礎になれるなら、こんなに光栄なことはないよ!」
愛莉「も、もうやめなさいよ…気分悪くなってきたわ…」
咲希「意味わかんないよ…結局はただの愉快犯ってこと…!?」
類「愉快犯ではないけれど、みんなからしたらそんなものなのかもしれないね」
類「みんなを差し置いて生き残りたいなんて…ずうずうしい考えは僕にはないからね」
司「だから…望月に計画がバレても構わなかったということか…?」
冬弥「むしろ、そういう風に仕向けたんじゃないんですか?」
穂波「え…!?」
冬弥「神代さんは俺達をコロシアイに巻き込みたかった…それも、複雑な謎であればあるほど面白い…」
冬弥「その為に、あえて望月さんに自分の計画を見せつけたんじゃないんですか?」
冬弥「そこに望月さんの思惑が絡むことを期待して…謎が複雑になることを期待して…」
類「まあそうだね…それに期待したのは確かだよ」
類「その為に、掃除中に見つけた倉庫の抜け穴を、彼女に教えてあげたんだからさ」
みのり「そ、それも神代さんの仕業…!?」
類「『落ちると危ないから近づかない方がいいよ』と…さりげなくね」
穂波「…………っ」
杏「こ、この人ほんとにめちゃくちゃだよ…完全に狂ってるよ…!!」
穂波「そ、そうですよ!だから私は止めようとしたんじゃないですか!」
寧々「でも…それがどうして宵崎さんを殺すことに…」
穂波「私にだって分からないですよぉ…!」
穂波「あのナイフを手にするのは神代さんだったはずなのに…」
穂波「な、なのに…それなのに…」
穂波「どうして宵崎さんが死んでるんですかッ!!神代さんのはずじゃなかったの!?」
司「き、きっと…宵崎は類がナイフを手にするのを防ごうとしたせいで…」
司「だから…類の代わりに…」
冬弥「…いや、そうじゃないと思います」
司「え…?」
冬弥「きっと、宵崎さんは守ろうとしたんですよ。神代さんのことを…」
こはね「そ、そうなの…?」
冬弥「宵崎さんは言っていましたよね」
冬弥「『1人も犠牲者も出さない』と…」
まふゆ「まさか…奏はその約束を守る為に…?」
冬弥「あの暗視スコープがあれば、床下で誰かが動くのも見えたと思うんです」
冬弥「その誰かが…神代さんを狙っていることも…」
絵名「か、奏は…神代さんを守ったの…?ナイフを取ろうとしてた奴なのに…?」
類「そうか…宵崎さんは凄いね…」
類「みんなを守ると約束をし…自らの命を投げ打つなんてさ…」
類「あーあ、それなのに…」
類「こんな結末になるなんて、なんて絶望的なんだろうね!」
司「な…ッ!?」
類「けれど、彼女の死を無駄にしてはいけないよ…」
類「きっとこの絶望を乗り越えることで、みんなはまた強くなるはずだからね」
一歌「まさか…あなたは宵崎さんが自分を庇うと知っていて、あんな行動に走ったんですか…?」
類「いいやとんでもない、僕はそこまで計算上手じゃないよ」
類「僕はただ、いろんな伏線を張っておいただけ…どんな結果が出るのかは後のお楽しみ…ってね」
類「でもこんな結末になるとは予想外だったよ。まさか僕が生き残ってしまうなんてね」
類「でもせっかく拾った命だ。無駄にしてはいけないと思って…」
類「それで、望月さんに協力してあげることにしたんだ」
司「なんで…そうなるんだ…」
類「だって…望月さんも、強い希望を持っていたからこそ、犯行に及んだんだよね?」
類「つまり、彼女の行動も希望に基づいたもの…」
類「そこまでの行動力があるという事は…彼女こそが、僕の求めている存在かもしれないだろう?」
類「『どんな絶望にも打ち勝つ絶対的な希望』だよ」
類「僕はそれを確かめる為に、彼女に協力したんだ」
司「な、何が確かめる為だ!!いい加減にしろッ!」
類「それに、望月さんの心中を察すると、いてもたってもいられなくてさ…」
類「だって、殺したはずの僕が生きていて、代わりに宵崎さんが死んでしまっているんだよ?」
類「このまま彼女を混乱させておいたら、今回の裁判が台無しになりかねないだろう?」
類「でも、僕らの希望が成長するためには、この裁判は必要不可欠なんだ」
類「だから、彼女に協力してあげることにしたんだよ」
類「『僕は死んでも構わないから、望月さんは逃げることに集中して…』ってね」
類「それが捜査前に彼女にかけた言葉だよ。そうだよね、望月さん?」
穂波「う…ああぁ…っ」
類「でも結局は僕の力足らずで、望月さんにとっては残念な結末になってしまったね…」
類「だけど、胸を張っていいんだよ。望月さんの死は無駄になんてならないからね」
類「君は、みんながより強い希望に成長する為の立派な人柱になるんだ!」
穂波「ひ、人柱…!?」
咲希「もうやめてよっ!!聞いてるこっちがどうにかなりそうだよ!!」
彰人「おい…この異常な奴をこのまま放っておいていいのかよ…?」
彰人「殺しちまった方がいいんじゃねぇか!?」
モノクマ「きゃー!殺すだって!最近の高校生は物騒ですねーー!」
モノクマ「でも殺されるのは神代くんじゃないよ。望月さんだからね」
穂波「ひ…っ!」
モノクマ「うぷぷ…忘れたわけじゃないよね?だって最初に言ったもんね?」
モノクマ「人を殺したクロが負けたら…楽しい《《おしおき》》が待ってるってさ」
穂波「ま、待ってよ…っ」
穂波「あれは正当防衛というか…故意じゃなかったというか、事故だったというか…」
穂波「と、とにかく、私のせいじゃないって可能性も…」
モノクマ「殺人は殺人だよ!人を殺したら殺人なの!」
穂波「そんな…」
穂波「わ、私は…神代さんを止めようとしただけなんです…!!」
穂波「それで…それで…!」
モノクマ「望月さんだって本当は、神代君の計画を知ってチャンスだと思ったんでしょ?」
モノクマ「彼の計画を乗っ取った上で彼を殺しちゃえば、きっと誰にもバレないはず…」
モノクマ「そう思ったんでしょ?」
穂波「ち、違います!!私はっ!」
モノクマ「殺意のない人間が、あんな風に人を殺せるわけないじゃーん!」
穂波「う…っ!」
モノクマ「本当は神代くんを殺して、みんなを犠牲に生き延びようと必死だった…そうなんでしょ?」
咲希「ほなちゃん…っ!」
咲希「違うよね…そんなこと思ってるわけないよね…!?」
穂波「………みんな、ごめんね…」
咲希「え…?」
穂波「みんなを犠牲にしようだなんて…そんなこと思ってないの…」
穂波「でもあの時は…ああするしかなくて…」
穂波「それなのに…神代さんじゃなくて…宵崎さんを殺してしまって…」
穂波「……狂ってるのは…私の方みたいだね…」
司「ほ、穂波…!」
モノクマ「ふむふむ…なるほどねぇ」
モノクマ「ま、余韻に浸る価値もなさそうなので!さくっとおしおきを始めちゃいまーす!」
司「な…ッ!?」
モノミ「ダ、ダメでちゅ!そんなのダメでちゅってばー!」
モノクマ「ええい、うるさーい!」
モノミ「きゃぁぁぁぁ!!!」
モノクマ「ふぅ…邪魔な妹を片付けたところで、気を取り直して…」
モノクマ「超高校級のドラマーである望月穂波さんの為に、スペシャルなおしおきを用意しましたー!」
穂波「ま、待ってくださいよ…せ、せめて最後に…」
穂波「奪われた学園生活の記憶ってなんなの…?教えてもらう権利はあるはずなのに…っ」
モノクマ「では、張り切っていきましょう!おしおきターイム!!」
一歌「っ…穂波ッ!!」
穂波「うそ…だよね、こんなの…」
穂波「信じないよ…こんな終わり方なんて…」
穂波「やだ…嫌だよ…っ」
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モノクマ「いやっほう!エクストリーム!!」
志歩「穂波……っ!」
えむ「そんな…!」
絵名「ひ、酷いよこんなの…酷すぎるよ…」
まふゆ「どうして…こんなことするの…?」
まふゆ「どうしてこんな…残酷なことをするの…?」
モノクマ「あれれ、学校で習わなかった?」
モノクマ「悪口を言ったらその悪口をノートに書いて、言った本人の目の前で読んでもらいます…ってさ」
モノクマ「殺しも同じだよ」
モノクマ「自分がやられたらどんな気分か、しっかりと考えなくてはいけません」
一歌「あ、あなたがやらせたんでしょ!?」
モノクマ「まあ、そういうルールだから仕方ないよね」
モノクマ「これは《《ルールあるコロシアイ》》だからね!」
司「何が…ルールだ…」
司「ルールを破ってるのはお前の方だろうッ!!!」
モノクマ「…ん?何それ、聞き捨てならないなぁ」
司「お前は…言ったはずだ…」
司「コロシアイが起きたら、奪われた学園生活の記憶を教える…とな…」
司「なのに…なぜ教えてやらなかったんだ」
司「穂波には、知る権利があったはずだぞ!!」
彰人「つーか、俺らだって一緒だ…さっさと教えろよ…!」
モノクマ「あぁ、確かに約束したね。コロシアイが始まったら記憶を戻してあげるって…」
モノミ「い、言っちゃうんでちゅか?でもそれはさすがに…」
モノクマ「でも、《《すぐに教える》》なんて言わなかったはずだよ?」
彰人「な…!?」
杏「きっ、汚いよ!!」
モノクマ「もちろん約束は守るよ。《《いつか》》は記憶を戻してやるよ」
モノクマ「ただし、いつかは未定ですがね…」
モノクマ「アーハッハッハッハッハ!!」
モノミ「あ、あの…えっと…」
モノミ「あちしも失礼しまちゅ!やらなきゃいけない事があるので…!」
愛莉「何よ…それっ…」
瑞希「汚すぎる!2匹とも逃げた!!」
寧々「け、結局…モノクマにいいように振り回されただけじゃん…!」
類「こんな終わり方は絶望的だね…本当に…救いようがないほどの絶望だよ…」
類「でも、こんな時だからこそ…」
類「希望の象徴であるみんなは、より一層頑張らなくてはいけないんだ!」
杏「な…なんで笑ってんの…?」
類「待ってくれ…悲しいのは僕も一緒なんだよ…」
類「言っただろう?」
類「僕は希望と称されるみんなを…その素晴らしい才能を心から愛しているって…」
類「愛すべき素晴らしい才能を失って…喜ぶわけがないだろう?」
彰人「気色わりーこと言ってんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞッ!!」
類「うん、いつでも殺していいよ?」
彰人「は…?」
類「僕が嫌いならいつでも殺してくれて構わないよ!踏み台になる覚悟はとっくにできているからさ!」
類「そこから絶望的な希望が生まれる…そのためなら、僕の命なんて安いものだよ」
遥「神代さん…どこまで歪んでるの…」
類「ただし…僕を殺すなら、ちゃんと僕に相談してからにしてくれるかな?」
類「ほら、そうすれば犯人に協力してあげられるだろう?」
司「お、お前は本当に…犯人の味方をするつもりか…?」
類「?…別に大したことじゃないよね?」
類「みんなが希望ヶ峰学園の高校生なら…選ばれし才能を持つ希望の象徴なら…」
類「僕程度が犯人に協力したところで、みんなは痛くも痒くもないはずだろう?」
志歩「…まさか、堂々と犯人の味方宣言をするなんてね」
みのり「も、もしかしたらさ…それが神代さんの作戦なんじゃないのかな…?」
みのり「自分は犯人にとって有利に働く存在だから、殺さない方が得だってみんなに思わせる為の…」
類「まあ、僕なんてどう思われても構わないよ」
類「実際、宵崎さんのおかげで、生きることに欲が出てきてるんだよね」
類「襲い来る絶望をみんなが次々と打ち破っていく姿を見届けたくなっているんだ…!」
類「あははっ!なんてね」
杏「ねぇ、殴ってもいい?殴らないと気が済まないんだけど」
司「もう、いい…」
司「もうやめよう…これ以上、こんな奴を相手にしたって仕方がない…」
類「おや、司くんにまで嫌われちゃったかな…?」
類「それは少し残念だなぁ…司くんには親近感を抱いていたからね…」
司「なんだ…それ…」
類「君は希望ヶ峰学園に特別な感情を抱いている…それって僕と同じだろう?」
司「お、お前と一緒にするな…!」
類「…一緒じゃないって言い切れるのかな」
類「学園生活の記憶を奪われた話が本当ならば、僕らは自分自身のことすら知らないのと一緒…」
類「君は、尚更そうなんじゃないのかい?」
類「自分がどんな才能を持ってるのかさえ知らない君はさ…」
司「……………」
司「白石…やっぱり殴っていいかもしれん…」
杏「よし…!任せて!!」
類「ちょ、ちょっと待って…!」
寧々「も、もうやめてっ!!」
寧々「そんな風に争ってても…仕方ないよ…」
寧々「他に何か…する事があるはずなんだよ…」
えむ「他に…する事…?」
寧々「私達がするべきなのは、こんな風に争う事じゃない…」
雫「草薙さん…その、すべき事っていうのは…?」
寧々「が、頑張る事…だよ」
絵名「…えっ?」
寧々「まずはここから帰って…しっかり休もう」
寧々「それで…またみんなで頑張ろうよ。2度とここに戻ってこないように…」
寧々「それが今するべき事だと思うんだ…」
寧々「…ご、ごめんね、もっと上手く言えたらよかったんだけど…」
えむ「そ、そんなことないよ!すっごく響いたよ!」
まふゆ「そうだね…頑張るしか、ないんだよね…」
彰人「つーか、頑張るって何をだよ?」
寧々「それは分かんないけど…でも、頑張ればいつか報われるんだよ。きっと…」
彰人「…そうかよ」
冬弥「分からなくてもいいんですよ」
冬弥「とにかく《《頑張ろうって気持ち》》を持つ事が大事…だと思います」
冬弥「だから頑張りましょう。もう2度と、こんなコロシアイが起きないように…」
杏「…そう、だね…」
杏「怖いけど、頑張るしかないんだよね…」
瑞希「よーし!みんなで一緒に頑張ろう!」
えむ「あ、あたしも!全力で頑張るよー!!」
司「ああ…そうだな…」
司「全員で、絶対にこの島から帰るんだ!頑張るぞ!!」
頑張ろう…オレ達はその言葉を何度も繰り返した
自分に言い聞かせるように、何度もその言葉を口にした
安っぽくて、中身のない言葉だって分かっている
だが、それでもオレ達は、繰り返すのをやめなかった
こうして、宵崎と穂波が犠牲となった学級裁判は…その幕を下ろした
その後、裁判場を後にして地上のジャバウォック島に戻ったオレ達は…
一旦、自分のコテージに帰ることにした。
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あんな体験をしたせいか、オレはどうしても眠る事ができなかった
諦めてベッドから起き上がったオレは、なんとなくホテルの敷地内に出てきた。
何をするでもなく、ただぼんやりと空を見上げていた。
そこにはやはり、星を敷き詰めたような夜空があった。
今にも手元に落ちてきそうな星々…
そんな美しい夜空を見上げていたら…
オレは、どこにでも行ける…
ふと、そんな風に思った。
この空はどこにでも繋がっている。オレ達の日常とだって繋がっている。
だから…きっと帰れる
帰れるはずだ。
司「…ん…?」
その時だった。夜空を見上げていたオレは、妙な感覚に陥った。
そして、夜空を見上げたまま…その感覚に全身を硬直させていた。
これは……
司「………………」
司「……誰かの視線?」
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--- Chapter1 ---
--- 絶望トロピカル ---
--- END ---
--- 生き残りメンバー 18人 ---
--- To be. continued ---