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第4話「地下迷宮と汚れの王」
王城の地下には、誰も近づかない“封印区域”があった。 かつて魔物が封じられた迷宮――そこに、穢れが再び広がり始めていた。
「清浄騎士・佐藤誠よ。そなたに迷宮の浄化を命ずる」
「いやいや、俺ただの元社畜なんですけど!?」
文句を言いながらも、誠は地下迷宮へ。 階段を降りるたびに、空気が重くなり、壁には黒いシミが広がっていた。
「うわ…これ、完全にカビじゃん。職場の冷蔵庫思い出すわ…」
掃除魔法を発動すると、シミが消え、空気が澄んでいく。 だが、最深部で誠は“それ”に出会う。
巨大な黒い塊。 人の形をしているが、目は濁り、体からは悪臭が漂っていた。
「我は穢れの王…この世界を汚し、腐らせる者…」
誠は震えながら言った。
「え、なんか…元上司に似てる…」
穢れの王が咆哮を上げ、黒い霧を放つ。 誠はとっさに掃除魔法を最大出力で発動!
「うおおおお!社畜魂、見せてやるぅぅぅ!」
光が広がり、霧が晴れ、穢れの王が叫ぶ。
「まぶしい!…って、これレモンの香り!?」
誠は叫んだ。
「そうだ!俺の掃除魔法は“柑橘系フレッシュ”だ!」
穢れの王は鼻をつまみながら消滅した。 迷宮は浄化され、王城に平和が戻った。
王様は言った。
「そなたの魔法…芳香まであるとは…!」
誠は肩を落としながらつぶやいた。
「俺、異世界でも雑用係なんだな…」