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#1 私は僕のままでいい
ぼくになった理由
「僕の名前は青空晴です。よろしくおねがいします!」
パチパチパチ
大きな拍手に包まれた。そして、10分休憩の時に、
「晴くんってどこからきたの?」「これからよろしくなっ、晴」「男でもかわいいじゃん」
「う、うん。よ、よろしく」
僕は今、勘違いをされている。僕、男じゃないし。女だし。
この名前はママがつけた。男の子がよかったそうで、晴にしよう!って思っていたのに僕は女だった。
そのことを知ったのが3年生だったから。そのことを聞いて、私から僕にしたんだ。
まさか、こうなるとは思いもしなかったけど。
当時は、世の中でトランスジェンダーという言葉は出回っていない時だった。
3年生の2学期のはじめごろからぼくと学校や家で言っていたら、学校で…
「晴ちゃんって男の子だったの?」「えっ?女装してたってわけ?きも~」「まっ、まさか晴が男だったとは…」
「えっ。そ、その・・・」
「ちかよらないでっ!!」「女装した男が女の子に近寄るなんてきもいんだから!」「晴きんがつく~!」キャーキャー
「う・・・」
「なんしてんだろ。はるきん」
「うわ~ん」
「はるきんがないた~」「菌が飛ぶ~」「ちかよんな~」
「みんな!先生が来るぞ~!」
リーダーの雷斗が言った。たかが先生でビビるんだったら初めから話すなっつーの。
僕は今にも死にたかった。いじめられるってこういうことなんだな。知らなかった。いじめられた人の気持ちがよくわかったよ。学校ってつまらないんだなってよく、わかる。その日から、登校をやめた。パパとママは心配していた。なんだろ、この気持ち。自分でもわからない。
それから、数か月たち、パパとママと一緒に話し合った結果、転校することになった。天候だけじゃない。引っ越しもした。引っ越しもしたおかげで知り合いにも合わない。前まで買い物に行けなかったのに今はもうパパとママと行っている。
そして今、この学校にいるってわけ。
「ーーさん。晴さん」
「はっ!はい?」
「ちょっといいかな?」
「ハイ(????)」
転校初日から、先生に呼び出されたハル。
いったい、何を言われるのか。