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16.エピローグ
「……おい!聞こえてんのか、ガキ!」
「え、あ、はい。聞こえています。」
「で、自分なりにまとまったか。」
「はい!」
(すごい、この人、私が今混乱しているということを正しく見抜いている。)
響はこの人に対する評価を改めた。
「あのーお願い、いいですか?」
「あ?それは村長にしろ!」
どうやらそこは前来た時と変わらず譲れないらしい。
「はあい。」
響は仕方なく村長宅に向かった。
「あのー」
「誰だ?ってこの前の嬢ちゃんか。どうした?」
どうやら村長のほうも響のことを覚えていてくれたようだ。
「質問があって来ました。」
「……一問だけな。」
「ありがとうございます!では早速ですが、地図を見せていただけませんか?」
「チズ?なんだそれは?」
(え?古い所は地図がまだないのかな?じゃあ……)
「いえ、気にしないでください。では、近くの大きい都を教えてくれませんか?」
「馬で14日かかるぞ。」
「構いません。」
どうやら響の一日の進み具合は早いほうであるとこの前の山の一周で学んだ。今回も8日くらいで着くだろう。響はそう軽く見ていた。
「だったら、セントラルという大きい都がある。ひとまずはあっちの方向に行くといい。村にであったらセントラルはどこか、と聞けば教えてくれるだろう。」
「セントラルという都ですね。ありがとうございました。」
そして、響は気づいた。
(どこに泊めてもらおう……)
結局、村の中で野宿した。カグラとポチのおかげで、不自由なく寝ることができた。
そして、その日の朝から、また響の旅は始まった。