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朝の孤独
ほしぞら
毎朝の孤独
何もしたくないわ
誰とも話せないわ
この世には誰もいないんだわ
これよりつらいことがあるか
朝、起きる
するとまずは一人を思い知らされる。
まだ今日は誰にも会っていない。
ということは、もしかしたらこの世にはもう誰もいないのではないかと思う。
まだ自動車の音を聞かない。
本当かもしれない。
まだ僕は今日、誰の生存も確認していない。
親と住んでいるから、親の部屋には親がいる可能性がある。
でも、いない可能性もある。
いると証明できるのは、僕がこの目でその存在を確認した時だけだ。
だけど面倒だからそんなことはしない。
だってこれまで、僕以外の誰もいなくなったことはなかったのだから。
リビングに行った。
スピーカーを上に二つ重ねた。せっかくステレオなのに意味をなしてないラジオがある。
大体は、毎日このラジオをつけて、ナビゲーターがしゃべってるのを聞いて、ああ、自分は一人ではないんだ。と、確認できる。
ただ、タイミングによっては、曲が流れているときもある。
そうするとその場合は、ほとんど二曲以上が連続で流れて、しかもあまりよくわからない曲のジャンルだったりすると、随分と長く感じる時がある。
しかもそうゆう場合に限って、そのあとに流れるのはコマーシャルなのだ。
生でコマーシャルをやる能な猛者はいない。
だから、今日、コマーシャル流れているとき、まだ僕は誰の存在も確認できていないのである。
不安が襲う。
長く、聞き飽きたコマーシャルが明け、一曲ながれたら、やっと、人の存在を確認できた。
僕は、一人ではなかった。