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さくらと共に、君は散る。
初の短編です。頑張った。
注意
・ぬるめですが自殺描写があります。
数日前、僕の彼女が亡くなった。自殺だった。
彼女の名前は佐倉花。
名前の通り可憐で可愛くて、触れたらすぐ散ってしまいそうな儚げな少女だった。
学校ではいじめられており、親からネグレクトを受けていた花は
「葉(よう)だけが心の支えなんだ。」
と、いつも言っていた。
花は桜が好きだった。
中学一年の頃から付き合い始めて、毎年デートとして花見に行っていた。花冠を髪に付けて、
「どう?似合う?」
と言っている花の笑顔が、僕は大好きだった。
最後のデートは、3月9日。
花の15歳の誕生日に行った。
場所は毎年花見に来ていた、人があまり来ない自然豊かな丘の上。まだ少し寒さが残る中、桜の蕾が膨らんでいた。
「ねえ、咲いてないけどいいの?」
僕は問いかけた。
「いいんだよ。葉と来れただけで、私は嬉しい。」
その花の笑みに、鼻の奥がツンと痛くなった。
まだ完全に緑ではない草むらを、二人で駆け回ったあの日。転んだ花を、僕が手を出して起こしたあの日。思い出すだけで、涙が滲む。
家へ帰る分かれ道で、花との最期の会話。
「またね。」
ふんわりとした笑顔。
もう二度と会わないはずなのに、またね、と言った花。
最後に届けられた手紙は桜色の便箋に書かれていて、封筒にたった一つだけ桜の花冠が入っていた。まだ咲く時期じゃないのに。これ以上は追求してはいけない気がした。
テレビのニュースで
『15歳の女子中学生、自殺で死亡。』
と目にした時、なぜか悲しくなかった。
花が死ぬのを知っていたのは、僕だけだったから。
親よりも、担任よりも、友達よりも、僕のことを信用していた花。
また会える。僕はそう信じて、橋の上から目の前の川へと飛び込んだ。
どうでしたか?書いててめっちゃ楽しかった。