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夜這い。(噴宮)
御虫御蚯蚓
⚠️注意⚠️
この小説は二次創作のBLです。苦手な人は引き返してください。
自己解釈、本編後ifとなりますので、ご了承ください。
夜も更け、いい子であればもう既にブランケットの中で寝静まりかえっている、深夜1、2時頃の事。
噴上裕也は自身のベッドの上から、ずっしりとした重みと、嗅ぎ覚えのある匂いを感じ、目が覚めた。
「あぁ…?」
裕也は自身の頬に触れる筆先のようなくすぐったさをはらおうとするのと、寝ぼけ目を擦ろうと腕を目元に近づけようとしたが、腕を掴まれているらしく、ぴくりとほどしか、指しか自由に動かせなかったので、潔く諦めた。
が、鼻先七センチ程しか離れていない少年の、透き通るような白髪と、それに妙に引き立たせる褐色肌の少年を視認した途端、裕也はぴしりと固まり、一瞬で目が覚めた。
「…輝之輔?」
震える声で、そのくりんと真顔の少年に、人差し指を手首を動かせないので天井に向けて、尋ねた。
少年は舌打ちしただけで、否定せず、かと言って悪びれもしなかった。
そう、輝之輔。寝巻き姿とはいえ、その顔を見間違えるはずもない。エニグマの少年、宮本輝之輔が、ベッドの上で倒れている裕也に馬乗りになり、両手を押さえつけていたのだ。
「…何だコレ。夜這い?」
「そうだが」
「__せめて否定して欲しかったなー…__」
輝之輔は顔を裕也の方に対面となるように首を傾けているのが堪え、疲れたのか、それともバレたからもういいかと早とちりしたのか、女の子座りのような足を多少崩し、首を上げた。
見下すのも面倒だったのか、掴んだまま裕也の手首を持ち上げ、身体を起こさせた。
「よっ…とぉ…清々しいのなおめぇ…夜這いってこう、さらっとするもんじゃあなくねーか?…つーか大胆すぎて流してたけどよぉ、おめぇコレ普通に不法侵入じゃあねーかっ!?」
「お、やっと反応らしい反応を見せてくれたな」
輝之輔が口角を上げる。側から見れば年頃の男の子の毒気の抜かれた表情だが、実際は毒でしかないに等しい。無邪気という事は合ってはいるが。
「最近どうにも反応が弱いからな、腕が鈍ってるんじゃあないのか?」
「誰のせいだと思ってやがる!あとそんな腕いらねーっ!」
「いるよ。需要あるよ。ぼくに」
「だからいらねっつってんだ。…あーもう」
裕也はあくびを押し殺して、ふとあることに気づいた。
「なぁ、輝之輔。おめぇ、夜這いって言ってるクセに、乗っかってきやがっただけで、何にもしてねーんじゃあねーか?」
輝之輔がぐっと言葉に詰まった。図星なのだろう。上に乗ったはいいものの、多少の拘束だけで何もしてこなかった。そんなのただの初心(ウブ)な少年と何が違うのか。
「それにおめぇ、手首掴んでるとき、汗が染みてたぜ」
「はぁっ!?」
ようやく輝之輔が声を荒げた。バッと手を離し、擦り合わせる。
「……?別にベタついていないじゃあないか」
「馬鹿野郎、目の前にいる男は誰だよ。匂いでわかるに決まってんじゃあねーか」
輝之輔はドブを、いやそれ以下を見るような目で裕也を見つめた。
「最低…おまえいつかモテなくなるぜ」
「残念だけど俺の魅力が衰える見込みは100年後までねーんだよ」
「__ケッ!人生イージー男が!__」
輝之輔は目を逸らし、毒づいた。
「つーことはよぉ…おれ相手に緊張してたんだ」
「してない」
「してた」
「してない!」
「してた」
「…ちょっぴりだけね」
目だけでなく、顔も裕也から逸らした。裕也はそれを見つめ、満足げに肩を組んだ。
「おい、馴れ馴れしいよ」
「男子高校生ならこれくらい普通だぜ?」
「こっちは住む世界が違うんだよ!」
「はは、そいつぁ悪かった。…で、おれに夜這いして何するつもりだったんだ?」
「言わない。終わったことは言わない」
「ガキかてめぇは。…いやガキか。」
「だ、誰がっ!」
再び裕也の方を向いた。が、思っていたよりも距離が近くて、目線が裕也の胸元まで下がった。
「お、やっとこっち向いてくれたじゃあねーか」
「うるさい。おまえが余裕だとイラつく」
「はっ!Sだねぇ。すぐ動くクセに甲斐性なしの輝之輔さん?思い立ったが吉日ってか?…でもよ。」
声が低くなった。輝之輔が不思議そうに再び目線を上げる。
「おまえが自分から来てくれたこと、ちょっとだけ嬉しかったりしてな。」
真正面からそんな甘い言葉を浴びて、輝之輔の顔がかぁーっと染まり、口角が再び別の意味で上がりかけ、すぐ取り繕った。
「そ、そうかい。…なぁ噴上裕也、ちょっとこっち向け」
「あぁ?んだよ改まって、おめぇらしくな…」
裕也が言い終わる前に、頬に柔らかい感触が触れた。つ、とリップ音。
「………い?」
ゆっくりと唇が離れる。
「……………輝之輔?」
ぎぎぎ、と輝之輔の目元を恐る恐る見る。してやったりという顔と、やってしまったという顔が半々で、ふんと毒づいた。
「き、今日のところはこれで終わらせてや…る……」
とすん、と裕也の胸に。輝之輔の頭が落ちた。すぅ、すぅと規則的な息が聞こえる。
「、、、え。て、てめ、今ので寝るかぁ…!?」
裕也が輝之輔を引き剥がそうとしたが、その寝顔がなんとも無防備で、引き剥がすための手が、輝之輔の頭に置かれた。ジョブチェンジの忙しい右手である。
「……おめぇも眠たかったんじゃあねーか。なのに無理して、おれんとこ来たんだな…行動力あるのかないんだかわかんねぇや、やっぱわかんねぇ、おまえ。…頬にキスとか、中学生以下だぜ?」
でも、ほんの少しでもぐっと来たのか、次第に右手が頭を撫でる用へと進級した。
「ったくよ。どーすっかなー…まぁ一晩寝かせといてやるぐらいいいか………」
と、そのとき裕也の目に、椅子の上に律儀に積み上げられた、自身のベッド下にあるはずの薄い本やらなんやら全部が目に入った。
「、、、、、、」
今晩、裕也は一度も輝之輔にブランケットをかけてやらなかった。