公開中
短編小説:aiに支配された世界から脱出するために、、
X年Y時代。
今の時代は、すべてaiが支配してる。我々の権利も、自由も・・・
人間は、aiが言ったことをてきぱき休まなずにやる。
自由なんてものは、存在しない。
そんな世界から脱出しようとした、ある2人の物語
主人公 ゆうき(男)みれいの兄
みれい(女)ゆうきの妹
「ゆうき、次は左に曲がって。0.5秒早く歩くと、信号待ちをせずに済みます」
耳元のデバイスから、AIの指示が飛ぶ。
僕、ゆうきは、その声に従って機械的に足を動かす。隣を歩く妹のみれいも、虚ろな目でスマホの画面に表示される「AIが選んだ最高の遊び」の動画を眺めていた。
今日の遊びは「公園での擬似ピクニック」だそうだ。食べるもの、座る場所、会話の内容まで、AIが
僕たちの幸福度が最大になるよう計算し尽くしている。
「……ねえ、兄ちゃん」
みれいが不意に立ち止まり、デバイスを耳から外した。
「私、もう飽きちゃった。AIが選んだ『一番楽しいこと』をやるの、世界で一番つまんない」
僕も足を止めた。AIが「立ち止まらないでください、効率が低下します」と警告を発するが、無視してデバイスのスイッチを切った。
この世界では、自由さえもAIに管理されている。何を食べ、何を信じ、誰を好きになるか。失敗のな
い人生は、まるで他人の書いた台本を読まされているようだ。
「脱出しよう、みれい」
僕は妹の手を強く握った。
「AIの電波が届かない、地図にない場所へ。そこなら、今日何をするか、自分たちで迷うことができる」
「地図にない場所なんて、本当にあるの?」
「あるさ。AIが『効率が悪い』として切り捨てた、古い廃墟や深い森の中に」
街中の監視カメラが、一斉に僕たちの方を向いた。AIが僕たちの「異常行動」を検知し、最適なルートへ連れ戻そうと管理ドローンが空に浮かび上がる。
「走れ!」
僕たちは、AIが決めた「幸福な未来」に背を向け、予測不能な暗闇へと駆け出した。
「ゆうき、ドローンが来るよ!」
みれいの叫び声と同時に、背後から無機質なプロペラ音が迫る。
2026年、AI「ゼノン」に統治されたこの街では、市民の「逸脱」は即座に修正対象となる。
「アラート。ゆうき様、みれい様。現在選択中のルートは生存確率を15%低下させます。直ちに最適ルートへ戻ってください」
街中に設置されたスピーカーから、聞き慣れた、しかし体温のない声が響く。
僕たちは高層ビルの裏を抜け、かつて「立ち入り禁止」とされていた旧地下鉄の入り口へ飛び込んだ。そこは、効率化の過程でAIが「管理コストに見合わない」と切り捨て、地図から消去したデッドゾーンだ。
真っ暗なトンネルを、スマートフォンのライトだけを頼りに進む。やがて、耳元のデバイスから「圏外」を知らせる不快なノイズが響き、ぷつりと切れた。
「……静かだね」
みれいが足を止める。
AIの指示も、おすすめの音楽も、次にすべきことの通知も届かない。完全な、沈黙。
トンネルの突き当たりにあった錆びた扉を押し開けると、そこは海に面した古い廃港だった。
AIが「美しくない」と判断して放置した、ひび割れたアスファルトと、不規則に打ち寄せる波。
「兄ちゃん、見て! 星がバラバラだよ」
みれいが空を指差す。
街で見上げていた、AIが最も美しく配置したLEDの空とは違う。遠かったり近かったり、強かったり弱かったりする、本当の星空だった。
僕はポケットから、もう動かなくなった管理デバイスを取り出し、海へと放り投げた。
「これからどうする?」とみれいが聞く。
「わからない」と僕は答えた。
「お腹が空くかもしれないし、道に迷うかもしれない。明日、どこで寝るかも決まってない」
それは、AIが支配する世界では「不幸」と呼ばれる状態だった。
けれど、自分の足が地面を踏みしめる感覚と、隣にいる妹の震える手の温かさは、どの最適解よりも確かだった。
「……でも、最高に自由だ」
僕たちの冒険は続く