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死歿の歌 三話
よろしくお願いします。
らるらりら らるらりら
誰かが私を呼んでいる
るらりらら るらりらら
誰かが私を呼んでいる
らりららる らりららる
誰かが私を呼んでいる
りららるら りららるら
誰かが私を呼んでいる
ああ閻魔様が呼んでいるのか?
歌を歌いながら 僕は閻魔様を待つ
ああでも僕はあの人に あの人に
呼んでほしいんだ
ららるらり ららるらり
誰かが私を呼んでいる……
人間は誰もが愛を求めている。
愛は人間を嫌っているかもしれない。
人間から愛は、僕らにとって、救済者だと思っているだろう。
三話『裏切り』
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人間は都合が悪かったら簡単に誰かを裏切ることができる醜い生き物だ。|腦裏《のうり》に、「裏切り」という文字が思い浮かんでくる。自分は「裏切らない」と思っても、結局はしてしまうのが現状だ。
今日は日差しが強い。自分は、近くで拾った麦わら帽子を被った。麦わら帽子についているリボンというものは、|青灰色《せいかいしょく》のような色をしていた。まあ、洞窟に行くから、どうせ麦わら帽子など要らないのだが、と、被った後に思った。
洞窟に入る大きな穴の前に着くと、自分は麦わら帽子を洞窟の中へと投げ捨てた。麦わら帽子は、奥深いところまで落ちただろう。麦わら帽子は、自分には似合わないから、早く捨ててしまおうと思い、今捨てた。そして、洞窟の中へと入って行った。
相変わらず気味が悪い。あまり好きではないが、この前殺した人間の死体はあるのか、また、邏卒どもはいるのか、それが気になったから先に進んだ。まあ邏卒どもは、調査などでここに来てるだろう。
もうすぐ奥深くか?と思ったその時だった。自分の勘は当たったようだ。
邏卒どもが5人ほどいたのだ。なにやら話をしている。その邏卒どもの中には、前日の|女性《にょしょう》の邏卒も居た。
そして、一人の邏卒が、自分の存在に気がついた。
邏卒「あれ、君〜?ここは、立ち入り禁止だよ。」
実は、洞窟の入る大きな穴には、立ち入り禁止の看板があった。だが、自分はそれを無視してこの洞窟に入った。
そして、一人の邏卒が気がついたことによって、この洞窟にいた邏卒が自分に気がついた。
|女性《にょしょう》の邏卒は、自分を睨んだ。
そして、最初に自分に気がついた邏卒が、|女性《にょしょう》の邏卒が自分に睨んだことがわかり、邏卒は、|女性《にょしょう》に問いかけた。
邏卒「なあ、なんで今睨んだ?」
女性の邏卒「…え?」
邏卒「間違えて入っただけだろ、お前連れて行ってあげなよ。」
女性の邏卒「ちょっとまって、彼奴は…!」
邏卒「彼奴って呼ぶな。」
|女性《にょしょう》の邏卒は、下を向いて黙った。だが、動こうともしなかった。
邏卒はこう言った。
邏卒「もしかして、知り合い?」
|女性《にょしょう》の邏卒は首を何回も勢いよく、横に振った。
女性の邏卒「なわけ…ないわよw」
邏卒「でもさ、じゃあなんで睨んだの。」
女性の邏卒「あの人が、この洞窟にいた人たちを殺したのよ…!昨日、現場にいたの!」
邏卒「でも、もしあの子が犯人だったら、何故わざわざこの洞窟へと来る?ここにきて何の得もないさ。」
|女性《にょしょう》の邏卒は黙ってしまった。
邏卒「ごめん、今日の君は何か変だよ。あと、犯人はあの人説が濃厚だろ?もしかして、君が疑っている犯人が、僕が疑ってる犯人より濃厚じゃなくて、悔しがってるのか?」
女性の邏卒「な訳ない…でしょ…!」
邏卒「…一人だけ違う道に行ってるのもおかしいよ。ごめんだけど、もう捜査には協力しないでほしい。」
そう邏卒が言うと、女性の邏卒をここから出そうと、背中を押した。
邏卒「ついでにあの子も連れて行ってね。」
そう言って、捜査に戻ってしまった。
自分は、|女性《にょしょう》の邏卒と一緒に外へ出ると、女性の邏卒はこう言った。
女性の邏卒「彼奴…私を裏切った…!!」
女性の邏卒が涙を流した。だから言っただろう?人間は簡単に裏切ることができる。そして自分は、これをチャンスだと思い、女性の邏卒に話しかけた。
『仲良くなろうよ、永遠に。』
女性の邏卒「は…?」
いつかは、|偽瞞《ぎまん》することになるのだろう。
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裏切り者を許すことは決して、仲間に許されることはできないだろう。
一人の人が裏切っても、その周りにいた人が裏切り者を庇ったら、きっと庇ったやつも裏切り者となる。
つまり、助けなかった方がハッピーエンドということだ。
裏切り者は、どうせ裏切られる。嘘も見破られる。
所詮、ずっと嘘をつけるとは思っちゃいけない。
ハッピーエンド、このお話は、ハッピーエンド。
この時点ではね…
裏切り者を許すのは禁じられている。
それは、ビターエンドになるからだ。
裏切られる覚悟はできていないといけないのだ。
青灰色=灰色がかった青色
偽瞞=あざむきだますこと。