公開中
フラガリア対シーズ
『シーズ』。それは、数年前に突如現れた、フラガリアワールドを脅かす存在である。
人や物を消したり、消した物をモンスターにしたり、人に取り付いたり…その生態はいまだ謎に包まれている。そんなシーズに対抗する手段。それは、フラガリアワールドに存在する国にいる『フラガリア』と呼ばれる騎士の浄化魔法である。彼らは|主《ロード》、つまり国王に頼まれ、シーズを浄化することになった。
「はぁ、はぁっ…」
一人のフラガリア息を切らしながら走る。また、シーズが現れたのだ。どれだけ浄化してもどれだけ倒しても、気が付けばまた現れる。国民はみな不安に駆られおびえている。一人のフラガリアは仲間と合流し、今すぐにシーズを浄化しようと走っている。
「はぁっ…お待たせ、みんな!」
「ハルリット!」
ハルリットと呼ばれたフラガリアは今の状況を見る。どうやら、まだ被害は少ないようだ。仲間の騎士が住民を避難させてくれたらしい。しかしこれからどうなるかはわからない。シーズの数は一体や二体ではなく、目視できる数だけでも、かなり多かった。まだ奥にいるとすれば相当な数だろう。
「浄化魔法は?」
「まだだよ。さっき避難させ終わったばかりだからね」
ハルリットが聞くとマイメロディに仕えている騎士メロルドが冷静に答えた。なら、早めに撃つべきだろうと考えたハルリットは浄化魔法の準備をする。
「俺も手伝うよ」
優しくそういったのは、ポムポムプリンに仕えている騎士、プルース。
「ありがとう。じゃあ早速やってみよう」
「うん。いくよ」
二人は息を合わせ目の前にいるシーズに浄化魔法を放った。が、
「浄化魔法が…効かない…!?」
「どうして…!?」
初めてのことに一瞬戸惑う二人だったが、マロンクリームに仕えている騎士ロマリシュに「一旦下がりましょう。危ないですよ」そう言われ、少しシーズから離れた二人。
「浄化魔法が効かないなら、どうすればいいんだろう…」
もともと怖がりなKIRIMI.ちゃんに仕える騎士リミチャは足をすくませる。
「大丈夫だよ、リミチャ。きっといい解決策は見つかるからさ」
と安心させてあげるウサハナに仕える騎士サナー。
「魔法が効かないとなれば、体術で行くしかないのでしょうか…それとも別の方法があるのでしょうか…」
「とりあえず、一回殴ってみる‥?」
プルースはそう聞いてみる。
「確かに、何もしないままでいるよりも、何か試してみないとな。」
ハルリットが賛成し、「まぁ、今はそうしてみるしかないか」と何か方法がないかと考えていたメロルドも賛同する。
「じゃあ、いくよ」
メロルドの合図とともに、シーズに攻撃を仕掛ける6人。
「はぁっ!」
ハルリットが一体のシーズを思い切り蹴ってみると、手応えはあった。
「魔法よりもこっちの方がよさそうだね」
とメロルドも言う。
「これで抑えられるだけ抑えてみよう」
プルースもそういい、今までになかったやり方でシーズを抑えることになった。
もちろんシーズも反撃をしてくる。今までであればその攻撃は物を消すものであった。しかし今回は違った。こちらも物理攻撃をしてくるのであった。
「っ!」
威力は大きく、掠っただけでもかなり痛い。
「これは、もろに喰らったらだめだ…避けていかないと」
ハルリットたちはシーズの攻撃をよけながら、隙をついて攻撃することを繰り返した。
しかし、彼らは人で体力というものがある。一方シーズにはそんなものがないように感じられた。いつまでたっても攻撃の手を緩めることはなく、フラガリアたちはだんだんと攻撃を食らうようになっていた。
「っ…まずいな。体力が削られてきてる…」
そう思った矢先にもシーズの数はどんどん増えてきている。ふと見てみると、シーズはもう攻撃の準備をしている。
(あぁ…一応バリア張ったら耐えれるかな)
ハルリットはそう思い、バリアの魔法を展開した。シーズは攻撃を放った。それは光線のようにハルリットのバリアを打ち砕き、彼にまで届いた。
「っ!」
ハルリットは十数メートル近く吹き飛ばされた。激しく地面に打ち付けられ、意識が朦朧としてくる。
「ハルリット!」
そう叫ぶプルースの声が聞こえたような気がする。
どうすればよかったんだろう…消えていく意識の中でそんなことを思ったハルリットだった。
そんなハルリットに続くように、プルースやリミチャがシーズの攻撃で意識を失っていった。
---
一方、赤の大陸の騎士、ハルリットたちがまずい状況であることを聞きつけた青の大陸のフラガリア。
「それはまずいね。僕たちも行こうか」
「そのほうがよさそうだね」
「赤の大陸がまずいなら、そうするしかないな…」
シナモロールに仕える騎士シエロモートやリトルツインスターズのララに仕えるルタール、クロミに仕えるクロードたちが赤の大陸の援助に行くことになった。
「今わかっているのは、浄化魔法が効かないこと、狙った対象に対しては物理攻撃もしてくること。それだけ?」
リトルバスターズのキキに仕えるクラークがそう聞く。
「そうですね、一応、シーズの魔法で棘のようなもので攻撃してくることもあるそうです」
そう答えたのはこぎみゅんに仕えるミュンナ。
「今回は手強いみたいだね…」
小さな声でそう口にしたのはウィッシュミーメルに仕えるウィルメッシュ。
「うん。だから僕たちも加勢しようってことになったんだ。じゃあ、行くよ。」
シエロモートを筆頭にシーズが集まっている場所へ向かった。
* * *
「結構手間取ってるみたいだね。浄化魔法が効かないなら殴ってみようってことか。一応ダメージは与えられてるみたいだけど、劣勢だね。」
「完全に効いてないのかな。可能性があるなら、交えてやってみるのもありかもね」
シエロモートの後にクラークがそう提案する。
「うん。体力配分には気を付けて。じゃあ赤の大陸の騎士と合流して上手くやっていってね。」
「分かった」、「はい!」と返事をし、それぞれができることをしに、赤の大陸の騎士と合流した。
「こっちにまだまだシーズがいるな…倒していくか…」
(まぁ、倒し方も見つかってはないけどな)
と、クロードはシーズに攻撃した。試しに浄化魔法を使ってみたが、少しはダメージを与えられたか、ぐらいの手応えだった。
「やっぱそういう感じか」
そうつぶやいたとき、
「クロード?」
ふいに名前を呼ばれた。振り返らなくてもわかる。自分よりもなんでも上手くこなせる、憎たらしくて、でも心のどこかで憧れの思いを抱いてしまう、|アイツ《兄貴》だ。
「…兄貴」
あまり目を合わせたくなくてしぶしぶと声のした方に目を向けると、そこにはいつもじゃ考えられない、シーズからの攻撃を受けたであろう兄の姿があった。
「兄貴がこんなになるなんてな」
「そもそも僕はそんなにいろいろできるわけじゃない。嘘を操ってるだけなんだから」
「そうかよ。って話してる場合じゃねえだろ」
「そうだね。じゃ、片付けるよ」
クロードは日ごろからトレーニングを欠かさずしているため、他よりは自信があった。それでも、今回のシーズは攻撃的でかつ魔法でいろいろな攻撃をしてくるため、どうなるかわからない。
殴って蹴ってを繰り返し、途中で浄化魔法を使って…弱らせて弱らせて、シーズの攻撃が弱くなった瞬間に浄化魔法を放ってみると、シーズを倒すことができた。しかしこれだと、一体を倒すのに物凄く時間が必要である。かなり体力も削られるし、もはやしんどい作業の様だ。
やっと一体倒し、次のシーズへ移るときにはもう、さっきの様に何回も殴って蹴ってなんて到底できる力は残ってはいない。何とか力を振り絞って殴っても手ごたえはいまいち。
「はぁ…一発、これでどうだっ…」
かなり力を入れたつもりでも、それも虚しく、シーズは魔法を準備する。
「くそっ…バリアで耐えるか」
そうつぶやいてバリアの魔法を準備する。それに気づいたメロルドは、ハルリットがそれでだめだったように、クロードにも二の舞をさせることは嫌だと思った。
「今から言っても間に合わないか…なら…!」
と、対して好きだという感情も少なくなってしまったのに、一人の弟を守ろうと彼は足を動かした。
メロルドはクロードを突き飛ばしたとき、体制を崩した。
(ま、しょうがないか…死ぬわけじゃないだろうし)
「ちょ、兄貴!」
クロードも突き飛ばされて、完全な体制ではなかったため、メロルドを助けることはできず、シーズは地面の土を集め、棘状にしてメロルドに向けてはなった。
諦めたように薄く笑顔を浮かべたメロルドは、その棘に貫かれ静かに倒れた。彼を中心にゆっくりと血だまりが出来ていった。弟を守るために、体を投げ出した兄の姿がそこにあった。
「あ…兄貴…!」
クロードだって、家族に対する感情はある。いくら嫌いでも、いくら憎くても、ただ、実の兄というだけで彼が目の前で血を流して倒れている光景に衝撃を受けるのは当たり前のことだった。
ここまで読んでくださった方はいるのだろうか。いたとしたらありがとうございます。
ちょっとノワールまで入れると長くなりすぎちゃいそうなのと描いてるころの時間もいいのでここで切ります。更新はいつになるかはわからないけど、シーズの情報が少ないうちには出すと思われる。
結構趣味だし文がごちゃごちゃかもしれないですが、楽しんでいただけていたら嬉しいですね。いちばんは自分の趣味ですが…W
あー、次はいつ更新できるだろうか‥‥