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ショートケーキの女の子
バイト先の小さな喫茶店
そこに毎週来る女の子がいた
さらさらな白髪に赤目で色白な女の子
そんな見た目にショートケーキだけ食べて帰るからバイトのメンバーからは
ショートケーキの女の子
略してショーちゃんと呼ばれていた
そして今日もショーちゃんは店に来ていた
「いらっしゃいませ」
「ショートケーキを一つお願いします」
「かしこまりました」
そんな簡単な会話をして
その子は席に座る
必ず外が見える大きな窓の下の席に座るから
常連さんや店側の私達からすると定位置になっている
いつもならケーキを一つだけ食べて終わるけど今日は珍しい日だった
「お姉さん、すみませんがワインを一杯、いただいても?」
ワイン
いつもなら飲み物は頼まないのに珍しく頼んだから一瞬だけみんな固まった気がした
「お姉さん?」
「は、はい!赤で大丈夫ですか⁈」
わっと頭が動きだして声が大きくなる
そしたらふふっと柔らかい笑い声が聞こえて顔を見る
「えぇ、赤で大丈夫よ」
そう言われて足を動かす
キッチン担当の人に伝えると
「あのショーちゃんがワイン…似合いそうだな」
と思ってはいなかった返事が返ってきたが
確かに似合うなと思った
細かな白髪に鋭い赤目、ふわりとした白と黒を基調としたドレスに当たる窓から入る月明かり
月明かりを反射してきらきらと光るワインをゆっくり飲み込んでいく唇…え、何かのワンシーン?
そんな事を考えていると担当の人がワインを持ってきていた
ワインを持って持って行くとケーキはもう食べ終わっていてこちらを見つめていた
目が合って心をならしながらも席にワインをのせる
「ありがとう」
そういってワインを少し飲んだ
目に光が少し入り目が赤く光る幻が見えた気がした
珍しい日の次の週のまた次の週
ショーちゃんは席にいなかった
キッチン担当はなんか凹んでるし
店長は「癒しが…」ってなんかずっと呟いてるし
常連さんはすごい心配していた
でも心配なのは全員一緒だった
そんなある日の帰り、私は見覚えしかない白髪をみた
「え、ショーちゃん⁈」
と、そのまま口から出てしまい
気づいたのか振り返るとやっぱりショーちゃんで
「えっ、とお店のお姉さん?」
「え、あ!はい!」
「どうかしたの?」
「え、あーあーえーと…さ、最近!お店に来ないからもしかしてワイン口に合わなかったかなー!って思って、たまたま見かけたから…ご、ごめんね、本来ならお客さんのプライベートに口に出しちゃいけないんだけど…」
「…」
あー!やっちゃったよやっちゃった!すっごいぽかーんってしてるって私これやらかした⁈やっぱりあの時の口に合わなかったのかな⁈それともプライベートでいきなり話しかけちゃったのやっぱりやばかったかな
「お姉さん」
「は、はい!」
「ありがとうございます」
「え?」
「心配してくれたのでしょう?」
「はい…?」
「そうね、本来は言わないのだけど…少し、家に誘っても?」
「え、はい⁈」
来ちゃった…
え、まってショーちゃんの家すごい大きかったし豪邸だしなんかメイドさんもいっぱいいて…
やば…
語彙力が全部消えてる…
「ごめんなさいね、いきなり、紅茶でよかったかしら?」
「は、はい!」
「…本当にごめんなさいね」
「…?えっと…?」
「あれ以降行かなかったから心配してくれたのでしょう?」
「は、はい…たまたま見かけちゃったからつい…」
「…理由、知りたい?」
「え、…はい」
紅茶の入った高そうなカップを手に取ってショーちゃんは困ったような顔のまま微笑んだ
少しだけ、寂しそうにも見えた
「私は、吸血鬼の血が入っているの、だから夜しか外には出られないし…そもそもがほとんど外に出ちゃいけないの、怖がられてしまうから」
「吸血鬼…」
「えぇ、だけど週に一回だけ、外に出ていいってお母様に許可をもらえたの…ずっと気になってた店があったから」
「気になってた?でも外に出られないならわからないんじゃ…?」
「いいえ、お出かけはするのよ、車からは出られないけれど、その時窓から見えたケーキが美味しそうに見えて」
ショーちゃんは頬に手を当てて心底嬉しそうに微笑んだうっとりとして綺麗な瞳がもっと綺麗にみえた…目が赤なのは吸血鬼だから?でも、そのおかげでもっと綺麗に見えた
「だから貴女達のお店に週に一回行っていたの…でも、貴女達を見ていると美味しそうに見えてきてしまったの、貴女達みんな健康的ですごく血色がいいもの」
あー…まかないいっぱい食べてるしお店のルールで3食食べる事!みたいなルールあるから尚更…
「だから、あの時を最後にしようと思ったの」
「あの…という事は、血を飲めばまた、きてくれますか?」
「え?」
吸血鬼で、食べたくなってしまう事が理由なら
もう好きなだけ飲めば、満足すれば⁈みたいな気分で口から出た言葉にショーちゃんはとても戸惑っていた
「私の血、飲みませんか?別に飲んだら眷属になる、とかありませんよね?」
「え、えぇ…でも、いいの?」
「はい!その代わり、また今度お店に来てください!みんな待ってるので!」
「…」
その場のノリで思いっきり立ってしまって言った発言を思い返す…やばくね?こんな事言っちゃって流石に…
「なら、少し、もらっても?」
「…はい、どこから飲みますか?」
頑張って落ち着いて促す
するとベットの方への移動して手で誘ってきた
え…?
邪な心がある私からしたらベットへの手招きはすごくエロくみえて顔が赤くなった感覚がする
ショーちゃんはもう部屋着と思われる服に着替えているから尚更
「お姉さん?」
「は、はい!行きます!」
ベットはすごくふかふかで手が沈み込むような感じさえ思うほどで少し感動してしまった
ベットにもたれかかり服を少しずらす
「これで…大丈夫ですか?」
「えぇ…ありがとう」
ゆっくりとショーちゃんが近づいて心臓の音がうるさく聞こえる
首に小さな牙が当たる感覚がしてすぐにちくりといたんだと思うとそれ以降は何もなくて
血を飲む音だけが聞こえてきた
長く思える程の時間が経ってショーちゃんが離れる
「美味しい…」
そう呟いたショーちゃんはすごく煽情的で
もたれかかった私を押し倒すような姿で髪を耳にかけたまま少しだけ口から垂れる血と私を見つめる赤目がすごくそそられた
「ねぇ、お姉さん」
「はい…?」
「もっと、飲んでも?」
「はい、大丈夫ですよ」
そう言ってすぐまた首だと思って直そうとしていた手を降ろすとショーちゃんは思ってもいない場所に手を伸ばした
ショーちゃんは微笑んで私の足を開かせると履いていたスカートを少しずらして足に牙を立てた
慌てて少し暴れるとショーちゃんが口を離して
「暴れないで?いろんな所から飲みたいの」
そう言って小さく飲んだ場所にキスをして次は腕の袖を捲ってパクりと噛み付く
…なにこのエロ漫画⁈すっごいショーちゃんエロいってぇ…
脳みそが叫んでいる間も色んな場所から飲んではキスを落としていく
するとくらりとしてショーちゃんにもたれかかる
「あら…ごめんなさい、飲みすぎてしまったわね」
「いえ…」
「…貴女、一人暮らし?」
「はい…」
「なら、泊まっていって?そのまま帰れないでしょう?少し飲みすぎてしまったから…せめて跡が消えるまで」
「跡?」
少し高そうな鏡が向けられて見てみると噛まれた場所にはまるでキスマみたいに赤くなった跡があってまた顔が赤くなる
「どうする?」
「…泊まります」
そうしてショーちゃんの家に泊まって次の日、私は家に帰った
また次のバイトの日、久しぶりにショーちゃんがお店にやってきた
店長は喜び常連さんは微笑ましそうにして
珍しい程の暖かい空気になった
ショーちゃんは今日もショートケーキを注文していつもの席で食べている
注文の際にショーちゃんに
「また、飲ませて頂戴ね」
と耳打ちをされた事は私だけの秘密にしておく事にした