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ずっと、待ってる。
_____ずっと。ずうっと待ってるの。
あれからもう何年も経ったのか。
あの日、急にご主人様は帰ってこなくなった。
それからぼくは、ずーっと駅で待ち続けた。
野良犬に喧嘩をふっかけられても、
暑いのに水が飲めなくても、
人にわざとぶつかられても、
ぼくは、ずっと待っている。
だっていつも、あの階段の上から…
「ただいま」って。
あの楽しそうに話す声がまた聞きたくて。
あの強い腕にまた抱きしめられたくて。
あの優しい手にまた撫でられたくて。
ずっとご主人様を信じて、待ってきた。
なのに。
いつまでもご主人様は帰ってこない。
どこに行っちゃったの?
ああ。また会いたいなあ。
ごしゅじん、さまぁ…
もう、力がなくなってきた。
ああ。
ぼく、死ぬのかな。
ご主人様に会えないまま。
「_____ハチ」
え?
あ!!
ご主人様!!!
わあーい、わあーい!
やっと、やっと会えたね!
タタタッ。
ぼくはご主人様に駆け寄った。
あれ?身体が軽い。
しかも、走れてる。
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現実世界では、ハチは亡くなっていた。
パタンと、倒れてしまったのだ。
きっと、元気にご主人様の上野先生と駆け回っているのだろう。
「忠犬ハチ公」のお話を書いてみましたー!