公開中
9 - 銃自殺
一人の少年がいる。
少年は、クローゼットの中を|漁《あさ》っている。何かを見つけたようだ。
---
非合法の武器を少年は手に取る。
まじまじとそれを観察している。
弾を通す大きな穴———銃口を、見つめている。
空洞には、どこまでも暗闇が広がっている。
ゆっくりと少年は口を開けた。|涎《よだれ》が垂れた。
銃口を口の中に入れる。
脳幹を破壊する気だ。
少年が、床の上で|胡座《あぐら》をかいている。
カチカチと、引き金を|弄《もてあそ》んでいる。
少年の瞳がクラクラと揺れている。
まだ思い切って引けないようだ。涎が垂れた。
やがて、少年の瞳が空中の一点を見据えた。
親指が、一気に引き金を引く。
パァン、と天国からの鐘が鳴った。
サイレンサーなど無い。
弾丸が、少年の頭と首の間を|貫《つらぬ》く。
少年は前のめりに倒れ伏した。
|灰白《かいはく》色のガスを吹いた銃口が、口から紅く|零《こぼ》れ落ちる。
---
鼻をつんと刺す鉄の匂いがする。
辺り一面に、華が咲いている。