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第2話
朝食の余韻がほんのり残る神域の朝。
私はふと、窓から差し込む陽光に目を細めた。
そして、軽く笑みを浮かべて、私は椅子から立ち上がる。
今はみんなが自由に過ごしている時間帯。
「ムエル、れんか、月、月翔、桜杏、エルザ……みんな、それぞれの時間を満喫しているみたいね」
ソファにはさっき帰ってきたばっかりのムエルが居る。
れんかは絵を描きに行ったし、月は占いを練習してるし、
月翔は走ってきて疲れたのか自分の部屋で寝てるし、
桜杏はありえないほどの量の本を読み漁ってるし、
エルザは部屋にこもって魔法の研究してるし、、、
「みんながこんなに自由に過ごしているのを見ると、つい時間を忘れちゃうわね」
私はそっとため息をつく。
そこへムエルが、ぽやんとした顔で起き上がってきて、私にぼそりと声をかけてきた。
「ねぇ……彩音、まだ僕のこと、放っておいていいの?」
「あら、、、(笑)言ってくれなきゃわかんないわよ、、(笑)」
私はくすくす笑いながらムエルに近づき、彼の頭を優しく撫でる。
ムエルはにっこりと笑顔を浮かべ、手に擦り寄ってきた。
「それにしても、みんながこうして集まっているのを見ると、ほんとに家族みたいだわ」
ムエルはふと顔を上げ、ぽつりと言った。
「でも、彩音、みんながそれぞれバラバラに自由に過ごしている時が一番静かで落ち着く気がするよ」
「そうね……それもまた、私たちの特別な時間かもしれないわね」
私たちはそんな風に静かに言葉を交わし、何気ない日常の尊さを噛み締めていた。
――そんな平和な時間の中、バンッと勢いよくリビングの扉が開き、エルザが慌てた様子で入ってきた。
「彩音!ちょっとお願いがあるのだけれど……新しい魔法の実験が少し失敗して、部屋のあちこちが氷だらけになってしまったの」
「あら、そうなの?それは大変ねぇ……」
私は眉をひそめて立ち上がった。
「みんな、ちょっと手伝ってくれるかしら?」
一瞬、皆が顔を見合わせていたが、すぐに協力する意思が伝わる。
私たちは部屋に行って、早速、手分けして掃除を始めた。
氷の結晶が光を反射して、部屋の中がまるで冬の神域のように輝いていた。
掃除の合間にも、ムエルはぽつぽつと文句を言う。
「寒いよ……なんでこんなことに……」
「でも、これもエルザの魔法の試行錯誤の一部だもの。ねぇ、エルザ、次はもっと上手くいくわよ」
私は優しくエルザに言うと、彼女も小さく頷いた。
――部屋が少しずつ元に戻っていく様子を見ながら、私は改めて思う。
(こんな風に、小さな事件があるからこそ、日々が特別になるのかもしれないわね)
日常の中の非日常。
そんな穏やかで不思議な時間が、私たちの絆を深めていくのだと感じながら、私は窓の外の景色を眺めた。
――今日もまた、神域の一日はゆっくりと、しかし確かに進んでいくのだった。