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334人の敵 シド
<「嗚呼、もう終わりだ。」
後に戻りにゃしない。
泣いたってどうにもなりやしない。
どうせ誰も助けてくれない。
ね?
嫌われたんだよ、きっと。
さぁでは嫌われたのなら、
見繕っていた顔は殺して
無かったことにしてしまおう。
あれでもおかしいな。
皆普通に接してる。
…あぁ!さては
<「最低な独りぼっちってことが見抜かれたんだろうか!」
なんて吐けば
愛という名の偽善がそこに咲いてしまっても
きっと枯れるのだろう。
壊れ果てて消えていくのは私の方。
悪いのは…元凶は全部全部…キミの方だ。
夜に泣いて、朝に誤魔化して、昼に愛嬌振り撒いて。
さめざめ泣いてはもうどうにでもなれ。
そのまま溺れて消えてしまえ。
お前は呼んでない。幻聴?んなもん聞いてるわけ。
みんなみんな大好きだったよ。今は大嫌いだけど。
…泣いた。いや、泣いてない…?いや、泣けない。
泣いてないよ、心から。
だって心が無いんだもん。
愛せないし、愛されない。
とっくのとうに、アイなんてなかった。
ここに来ても、なかった。…否、私が受け取らなかった。
どんどん遠くに行っちゃって、もう今は届かないや。
一緒に、とか言ってたのにね。おいて行かれたよ。
…いや、追いつけなくなっただけか。
だって彼等は何一つ変わってないんだから。
変わったのは私の方。
悪いのはじゃあ、一体どっち…?
最初だって最期だって、それに気付けなかった。
ならもう、独りで眠ろう。誰にも気づかれないように。
「自分は味方だから」
「仲間なんだから頼ってくれ」
そんなの興味ないし、信じないよ。
みんなそう言いながら、消えていくんだから。
だから、もう誰も信じないことにした。
心を殺して、自身の奥の奥に仕舞い込んでしまった。
…ごめん?
そんなのもう遅いよ(笑)
もう少し早けりゃよかったのに。
とっくに消えたよ、生きる理由ですらさ。
嗚呼、もう何も感じないや。
あとは脳自体も腐り逝くだけだ。
「愛されたかった」
独り語るだけ。
「はあ…もう疲れたな。」
吐いた言葉は、宙に浮かんでは溜まり、
やがて空に消えていった。
多分、ずっと何もしない…努力すらしない
なんてことに、慣れてしまっていたんだろう。
もちろんそんなの知ったとて何か変わるわけではないが。
そんな私みたいなやつはきっと、才とか愛が無い…なんて喚いて
見せかけばかりに悪者になって、偽善者どもを妬むんだろう。
そして、培ってきた関係が崩れ去って逝くたびに
此処から消えたくなるのだろう。
失くしてしまったのは仕方がなくて。
でも取り戻す気もなくて。
嗚呼。また私は此処で、独り錆びて逝く。
飼い殺した私の今日に、対価なんてあるか?
いや、無いだろう。こんなもの。
「苛まれた」だなんて言ってたけど本当は、
ただの妄想だったのでしょう?
勘違いで舞い上がって、まるで土の中に埋まる財のよう。
嗚呼、灰になった私の性は取り返せるのでしょうか。
減っていく根ですら、私を見捨てるのか。
自然も動物も、果ては地球も、誰も私を望んでいない。
まあ、追い込まれたのだって自分のせいだとは
感じ始めてたよ。
今までずっと忘れてた。
たった独りになって気が付いた。
暗い、暗い、堕ちてく、闇
怖い、こわい、恐い、コワイ
呼んでないよ、かつての自分のことは。
聞いてないよ、君のことも。
大嫌いだったよ、大好きな仲間達。
泣いてないよ、泣く場面がなくなったから。
愛もないよ、それ以上のものをもらったから。
かつての自分が遠のいていく。
最初だって、最期まで気付けなかった。
こんなにも愛されていたんだなぁ、自分って。
でももう、あとは独りで眠るだけ。
「誰にも愛されない」?
興味ないよ、そんなもの。
信じないし。彼等はそんな人じゃない。
どうせ消えるなら、最期に一つ言いたいなぁ。
最愛の仲間達に。
って、もう遅いか。とっくにないよ、生きてるわけすらも。
彼等が喜んでくれるから、ってだけ。
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嗚呼…もう何も感じないや。
このまま脳自体も腐り逝くだけだ。
「ありがとう…」
独り語るだけ。
最初の方は分かりませんけど、最期のシーンだけ説明します。
・「かつての自分」は、まあ「愛されない」とか言ってた頃の自分。
・最後は、耐えられなくて飛び降りてしまったんです、シドは。
・でもその瞬間を仲間が見ており、泣いていた。
・それを見てシドは、ようやく自分が愛されていたことに気づいた。
・今までのことを否定し、光をつかんだ。
一瞬だけ。
・やがて地面に到達したシドは、だんだんと意識が薄くなっていく。
・仲間が下に降りる頃、シドはすでに手遅れだったが、最期にかろうじて聞こえた言葉。
「ありがとう」
と。
って感じになってます。最初の方は自分でもわからん。
この後どうなったかは皆様にお任せします。
そんじゃ、おつりんご~🍎