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ネリネの花束を貴方に。
※これは「廃工場のビスクドール」と言うSui様の自主企画に参加したメアリーとルークの小説です。
※設定には書いていない事が山盛りです。
※名もなき人形が少し(?登場します。
造られた物は命など持たない。
ただ雑に扱われ、奪いあわれ、傷だらけになるのを待つだけの物は意思などない。
それでもボクは意思を持った。命を持ってしまった。汚れた思想で埋め尽くされる心には、君の純粋な願いが少し辛かった。
君の隣にいると「お前は汚れている」と言われているような気持ちになる。それが苦しくて苦しくてたまらないんだ。
それでも君の隣から離れる気は無かった。
そんな君の隣が、何よりも心地よかったから。
♢
人形として産まれた時から、隣には当たり前のようにボクと似た人形がいた。
背丈も服もほぼ同じなのに、彼女だけが輝いて見えた。ボクと同じ人形なのに、人間のように美しく見えたんだ。
Xだったかなんだったか忘れてしまったけど、そいつがボクたちに命を授けたとき、なんとしてでもボクが外へ出てやると思ってたんだ。
誰が死んでもいい。外へ出る為にこの手を汚すことになっても構わない。ボクが一番だ。
人間なんかくだらない。金で争い、権力を悪の為に使い、自分の事しか考えず、どれだけ大事にしていた物でも飽きれば簡単に捨てる。
ボクだって同じだ。人間に何度も何度も買っては捨てられ買っては捨てられ、人間の手になんか渡りたくないと思う程に疲れてしまった。
それでも外へ出たいと願うのは、人間に復讐したいからだ。この命を持ったまま外へ出れば何かしらの形で復讐が出来る。その命の灯火を消す事は出来なくても、社会的に抹消する事が出来なくても、何かしらの形で必ず消し去ってやる。
仲間ごっこなんか大嫌いだ。
全員敵だ。ここに味方なんていない。
♢
何度目か忘れるほど捨てられたあの日。廃工場の何処で寝ようかグルグル彷徨っていた時に、初めて君の声を聞いた。
「ルーク、何処へ行くの?」
背中に届いたその声が、初めは誰のものかわからなかった。でもボクの名を知るのはただ一人だけ。いつも隣に並べられていた人形。
「‥」
「ねぇ、何処へ行くの?」
泣きそうな顔でボクを見るから、自分が悪いことをしている気分になった。
「何処だっていいだろう。君には関係ない。」
その顔に気を悪くしてしまった。苛立ちを隠さぬままメアリーを冷たく突き放した。
「‥ごめんなさい。」
メアリーは俯き、それだけを呟いた。
その行動にまた、ボクが悪いような気がして腹が立ち、メアリーの方を振り返らずに先程見つけた良さげな場所へ向かった。
♢
誰とも会話しない、誰とも仲良しごっこをしない生活は案外楽だった。
一人でいる事が多かった為狙われる事は多かったが、そんなの記憶をいじってチョチョイのチョイだ。腕慣らしにもならない。
あの日から何日‥何ヶ月経ったか分からないけれど、メアリーとはあれ以来一言も話していない。すれ違わないし見もしない。何処にいるのか想像もつかなかった。
「‥」
「おい、そこの黒髪!」
「‥ボクか。」
安っぽい人形がボクに銃を向けていた。こんなところで銃が手に入るとは思わない。故に彼の能力により生成された物だろう。
「俺は外へ出たい!一番は俺だ!!」
銃弾が頬を掠ったが大した傷にはならない。こんなのほっとけばいい。もう誰もボクの事を買ってはくれないのなら、商品の価値を下げても問題はないだろう。
「‥銃の扱いは苦手か?」
「‥ニヤ、初めからこの俺がお前を仕留める気はさらさらねぇよ!!」
「‥は?」
ボクの後ろで銃弾を入れ替える音が聞こえた。
振り返ればそこには、先程まで前にいた男がいた。「この俺が」と言うことはあれはきっと幻影か何かだろう。そこまでしてボクを仕留めたかったのか。
「構えるだけで撃たないのなら、敵に逃げる時間を自ら与えているようなものだぞ。」
それでもあいつは動かなかった。何が企んでいるのだろう。さっさとこの場を離れるのが良案だ。
「‥は?」
足が動かない。何かで固く固定されているように重く、捻ることすら出来なかった。
「俺らは三人組だ!残念だったな!」
「‥何故そこまでしてボクを殺したい。」
「お前が俺らの仲間を一人殺したからだ!!」
「‥」
正直な話、どの人形のことを言っているのか分からなかった。数えきれないほど壊してきたからだ。どれも顔なんか覚えてない。謝って許されるなら簡単だ。能力を使うには体が自由な状況出なきゃいけない故に今能力を使った記憶の改ざんは出来ない。逃げ出す事は不可能に近いだろう。
ポーカーフェイスは得意な方だ。焦っているのが相手に伝わっているとは思えないが、このままでは不味い。あの銃で撃ち抜かれて体が崩れてお陀仏だ。そうなれば一番になって外に出る事が叶わない。
「何余裕ぶってんだよ、本当にウゼェ!!」
罵詈雑言を浴びせられるのには慣れてる。そんなんで心が傷つくほどやわじゃない。
「もういい、死ね!!」
アイツが銃の引き金を引き、ボク目掛けて銃弾が飛んできた時は死を覚悟した。
けれど、その銃弾がボクの体を突き抜ける事はなく、代わりに突然割り込んで入って来た人形の左腕が吹っ飛んでいった。
「‥お前、どうして‥」
割り込んできた人形はメアリーだった。破損した左肩を抑えながらボクの前に立っている。
「ルーク、早くこっち!!、」
「ちょ‥!!」
メアリーに引っ張られるままに動くこの足に、さっきまでの足の拘束はどうなったと言いたくなった。左腕が欠けたままボクの手を引っ張って必死に走るメアリーが何をしたいのか、ボクに分からなかった。
♢
「‥離せ、離せって!!」
片手にしか力が入らない、元からボクより力の弱いメアリーの手など簡単に振り払えた。
「何故助けた、あのまま放っておけばお前を突き放した最低な奴が死んだんだぞ?嬉しい事じゃないのか、望んでた事じゃないか!」
「望んでた事って‥そんな事、私一度も望んでいないわ!」
「じゃあどうして助けたんだ!」
「貴方、死ぬところだったのよ!?目の前で困ってる人がいたら助けるって、当たり前のことでしょう!?」
当たり前。
ボクにはそれが当たり前じゃない。それはきっと、ボクが世界の醜さを知って、自分すらも醜く汚れているからだろう。
人を助けるのが当たり前だと言うメアリーは、ボクにとって眩しく、妬ましい存在だった。
「助けてくれてどうもありがとう。けれど、これからは助けなくて構わない。」
「‥嫌よ。」
「‥何故?」
「私はルークとペア人形だから。ペアなら、お互い助け合うものでしょう。」
「そんなの一般的なペアの話だ。ボクらがそうである必要はない。」
「それでも嫌。私はまた、ルークを助ける。」
その目は、確かな決意を持った色をしていた。
恐ろしいほどまっすぐで、何があっても揺らがない瞳にボクが映る。
「だって私、貴方の事が好きだから。」
「‥ボクの何処を好きだと言うんだ。」
「あら、そんな事を聞きたがる人だったのね。いや、人じゃなくて人形かしら‥」
「‥引き伸ばすなら話さなくていい。」
「まずは‥意外と人の話を聞いてくれる所。今だってさっさと去ればいいのに立ち止まって私の話を聞いてくれているでしょう?それから‥」
ペラペラと台本でもあるのかと言うほど言葉が出てくる。メアリーはボクの事をよく見ている。ボクはメアリーの名前しか知らない。
「もういい。」
「もういいの?まだ話せるのだけれど‥」
「いいったらいいんだ。‥君は、どうしてそこまでボクを知っている。ペアだからか?好きだからか?」
「‥さぁ。どうして知ってるかと言われても、よくわからないの。どうしてでしょうね。」
「‥君は不思議な奴だ。何もかも知らないふりして何もかもを知っている。何にも傷つかないが自分で自分を傷つける。」
何もかもを見透かすその目がボクは嫌いだ。
ボクはそう吐き捨てた。メアリーはあの日とは違い、傷ついた顔をせずに微笑んでいた。「そんな言葉で傷つきはしない」と言うような目でボクを見つめていた。
その日からだろうか。
ボクがメアリーを意識するようになったのは。
♢
あの日から何か変わった事と言えば、行く先々にメアリーが現れるようになった。
埃っぽい階段の下、屋根裏部屋、何処へ行ってもメアリーがいる。「向き合え」と言われているような気がした。
「‥前から聞きたかった事聞いてもいい?」
メアリーから逃げるのを諦め、横に腰掛けた。勿論少し距離を空けて座っている。くっつくほど信じてはない。
「なんでもいいわよ、答えれる事ならね。」
「‥その左腕。」
「?これ?」
「何故治っている。この前、目の前で壊れたはずなのに。」
あの時壊れた左腕は前と変わらぬ形でそこにある。まるで最初から壊れたりしていないように、違和感なく左腕がある。
「あぁ‥これね、とある人形さんに少し治してもらったの。」
「‥そう、それはよかったな。」
「えぇ。」
会話が続くわけでもない。それでも、一言も話さなかった前よりはいいんじゃないかと思う。
ボクは今でも、一番になりたいと思っている。何を犠牲にしたとしても必ず外へ出てやると。
‥いや、一つだけ犠牲にしたくないものがある。
「?どうしたのルーク?」
彼女だけは、犠牲にしたくない。
誰とも話さず、敵しか作らなかったボクがそう思うのは、きっとおかしい。
そう分かっているのに、おかしくてもいいと思ってしまうのはどうしてだろうか。
♢
ボクはきっと無意識のうちに、ボクの行く場所にメアリーがいるのだと、何処かへフラっと行けばメアリーに会えるのだと安心し切ってたんだ。
だから今こんなにも焦っている。
メアリーが何処にもいない事に。メアリーが目の前に現れない事に。メアリーの声が聞こえない事に。
いつの間にかメアリーがボクの全てになっていて、ボクはそれに気づいていなかっただけだ。
あれだけ拒絶した人形を愛すなんてどうかしてるが、愛してしまったものは仕方がない。
「全身が白くて儚い人形を知らないか。」
同じ言葉を同じ声色で毎日繰り返すだけ。
それでもそんな人形は知らない皆口を揃えてという。意味が分からない。だって確かに存在していたんだ。少し前まで、目の前で目を細めて笑っていた。白い髪を揺らして踊っていた。
「縺ゥ縺?@縺ヲ縺ゥ縺薙↓繧ゅ>縺ェ縺?s縺?」
日に日に擦り減っていく心。そのせいで、いつの間にかこの弱肉強食の世界でメアリーが心の支えになっていた事を突きつけられる。
その事を認めて仕舞えば一番になって人間は復讐するという目標を諦めることになる。
諦めたくない。何ヶ月もそれだけを生き甲斐にして何人もの人形を壊し続けたのに、今更幸せを望むなんて出来ない。
「諦めるか‥諦めないか‥」
最近よく入り浸っていた部屋は前と同じ空間か疑いたくなるほど広く感じた。ボクは前までここで暮らしていたはずなのに、メアリーが来て、メアリーと過ごしていただけでこんなにも変化を感じてしまう。
思考を投げ出すかのように埃まみれのベットに背中から倒れ込む。窓から差し込む月明かりだけがボクを照らす。
前と何も変わらない日常のはずなのに、
隣で笑う君が居ない。
♢
「‥」
「?どうかしたのルーク?」
目の前に白くて儚い人形がいる。ずっと探していた、ずっと求めていた人形がそこに居た。
「メアリー‥」
「ルーク、どうしたの?なんだか凄く元気がな‥」
メアリーが話終わる前にメアリーの手を引き、ボクの腕の中へ閉じ込める。力の限り抱きしめる。そこに存在しているのだと確認するように、愛しい物を失わないように。
「少し痛いわ、少し力緩められるかしら?」
「いやだ」
いつでも気を抜かず、言葉遣いに気を使っていたボクが「いやだ」なんて子供のような言葉を使うだなんて信じられるだろうか。
「何処にも行かないで‥」
メアリーの細い腕を折ってしまいそうなくらい強く、首を折ってしまいそうなくらい強く、体を壊してしまいそうなくらい力を込めてメアリーを抱きしめる。
「‥私は何処にもいかないよ、ルーク。」
何があっても貴方の側から離れないから。
メアリーからその言葉を聞いた瞬間、今までの力は何処へ行ったんだと聞きたくなってしまうほど抱きしめる力が弱くなってしまった。視界が歪み、指先が震え、喉の奥から引き攣った音が聞こえる。震える手で再びメアリーを抱きしめれば、今度はメアリーもボクの背中に手を伸ばし、同じように抱きしめた。
目から溢れる涙を流し、ただメアリーを抱きしめていた。何処にも行かないで欲しいと、そう気持ちを込めながら。
「大丈夫よ、ルーク。」
泣き疲れたのか、そのままボクの意識は途切れた。
♢
そこは暗闇だった。
「縺輔>縺ヲ縺」
「縺雁燕繧よュサ繧薙〒縺励∪縺」
聞き取れないノイズ音がボクの鼓膜を、心臓を突き刺していく。「死んでしまえ」と言われているように、ジクジクと確実に。
前から首のない人形が歩いてくる。それから逃げようとした。だけど、あの時のように足が動かなかった。足元を見れば大量の人形達。どれもどこかしら破損している。頭が割れてる奴、腕がない奴、目が飛び出してる奴、背中が割れてる奴‥そいつらがボクの足にしがみ付いている。
「縺ェ繧薙〒縺薙m縺励◆」
足にしがみつき、体へと登ってくる。周りにも数え切れないほどの壊れた人形達がいる。それらはきっと、ボクが壊してきた人形達だ。
「__たすけて‥__」
掠れた声で助けを求める。助けてもらう価値もないのに何故助けて貰おうとしているのか。全部自分のせいで起こった事なのに何に対して怯えているのか。それすら分からない。
「どうして助けを求めるの?」
その言葉だけがハッキリと聞こえた。ついさっきまで求め、探し続けていた人形の声だ。
「メアリー‥?」
「どうして助けを求めたの?」
声にいつものような包み込む暖かさがない。ただ淡々と、責め立てるように冷たい声だ。
「‥わからない、どうしてだろう。」
話している間もノイズ音のように喋る壊れた人形達はボクの体によじ登ってくる。
「全部自分が始めた事でしょう。」
「‥そうだね。」
「周りの皆の助けの声は聞かなかったのに、自分だけ助けてもらおうとしてるんだね。」
「‥あぁ、そうだ。」
「最っ低。」
暗闇からメアリーの姿が見えるようになった。
だけどその目はボクを冷たく突き放していた。
さっきの言葉通り、「敵意」を持った目をしていた。それに気づいた瞬間、息が止まった。
♢
「ッ、は‥」
飛び起きた時の不快感には慣れない。悪夢の時だけ何故か夢の内容を鮮明に覚えている。幸せな事ほどすぐ忘れていくと言うのに。
「ルーク、どうかした?」
「‥なんでもない、気にしないでくれ。」
「‥悪い夢でも見たの?」
「‥」
「‥そう、大丈夫よルーク。私はここにいる。苦しい事は半分こにしましょ。‥お願いだから、一人で抱え込まないで。」
肩を抱き寄せてメアリーはボソボソと呟く。声量は小さくとも、芯がある強い声で。
なんだその声に救われただろう。1人でなんでも出来るだなんて調子のいい事ばかり考えていた昔の自分が恥ずかしい。メアリーは初めから一人で全て背負うのは無理だと気づいてただろうに。
「ごめん、メアリー。」
「何に誤っているのかは分からないけれど、大丈夫よルーク。貴方は何も悪くないもの。」
自分とそっくりなメアリーを愛した。
歪んだ愛は自分の身を滅ぼすと知っていながら、今更裏切る事は考えなかった。
いずれボクが死ぬとなったら、その時は喜んでその死を受け入れよう。けれど、メアリーは連れてかないでくれ。メアリーはボクの人生の全てだ。死んでも君を守るよ。
君が幸せに生きてくれれば他の奴らはどうでもいい。ボクだって他の奴らの中にいる。君は女神のような存在だ。死んでも守り切ってやる。
これが新たなボクの願いだ。
♢
「ルーク、嫌‥、いなくならないで‥!!」
物の輪郭すら認識できなくなった視界に白が映る。色しか分からないのに、それはメアリーだとすぐにわかった。
大丈夫。
それすら素直に伝えられなくて。安心させたかった、安心して欲しかった。ここからいなくなっても成仏なんかしてやるか。メアリーの守護神にでもなんでもなってやるつもりなんだ。‥いや、人形だから神になるのは無理だろうけれど、夢を持ったっていいじゃないか。
大丈夫。
君がボクを忘れないでいてくれればまたいつか会えるから。君が生き残ってくれてよかった。治せる傷だけでよかった。腕が痛いだろう、すぐに治療してもらって。まだ治るから。
大丈夫。
だいじょうぶ。
最期、ボクはちゃんと微笑めていただろうか。
君をどれだけ愛しているか、伝わっただろうか。
君がボクを思って泣いてくれたらそれでいい。
チクタクチクタクと、歯車の動く音が聞こえる。自分の体が動かなくなる。全てが終わる。
一つ残りなのは、昔の約束を果たせなかった事。花束を渡す事が出来なかった事。
君にネリネの花束を渡したかったんだ。花言葉を見た時、ボクらに合っていると思ったからね。
ボクは最期の最期まで、君の幸せを願っていた。
♢
「ねぇルーク、見てよこれ!」
「何それ‥花言葉図鑑?」
「さっきあそこに落ちてたの!きっと工場を見に来た人とか工場の人が置いていってしまったんだわ!」
「埃まみれでしょそれ‥元の場所戻してきな。」
「嫌!一緒に読みましょ!」
「埃だらけの本読むとか嫌だよ。」
「言うほど埃だらけじゃないのよ!?埃払ったし!割と綺麗なのに‥」
「‥なら、読んであげてもいいよ。」
「やった!えっとね‥私とルークに合う花を探したいの!」
「ボクと君に?」
「そう!外へ出たらルークに花束をあげたい!」
「なるほどね‥じゃあ、何がいいかな。」
「私は‥‥これ、ハーデンベルギアがいいと思うの!花言葉は“運命的な出会い”!」
「素敵だね。ボクは君の運命の相手なの?」
「出会った時になんかこう‥しっくりきたのよ!だからきっと運命の相手!」
「そう、それはよかった。」
「真面目に受け取ってないわね!?」
「受け取ってるよ‥あ」
「どうかしたの?いい花でも見つかった?」
「‥うん。」
「どれどれ?どの花が気に入ったの?」
「‥内緒。」
「え!?どうして!?」
「いつか渡す時が来たら渡してあげる。その時まで内緒。」
「何よそれ!私も教えなければよかった!」
「いいじゃん、ハーデンベルギアの花束楽しみに待てるし。メアリーは何が来るかワクワクしながら待っててよ。」
「‥それもそうね。絶対渡してよ!?」
「渡すよ渡す、絶対忘れないから。」
「じゃあ約束ね!」
「‥うん、約束だ。」
♢
ボロボロの頭を抱えながら、涙を流しながら思い出した記憶。まだリーヴァ達に会う前の記憶。
「何を渡そうとしたのか、わからないよ‥ッ」
ルークが何を渡そうとしてくれていたのか、それを私が知ることは二度となかった。
ハーデンベルギアの花言葉
「運命的な出会い」
「壮麗」
「思いやり」
ネリネの花言葉
「幸せな思い出」
「また会う日を楽しみに」
「華やか」
「輝き」
「忍耐」
「箱入り娘」
縺ゥ縺?@縺ヲ縺ゥ縺薙↓繧ゅ>縺ェ縺?s縺?
「どうしていなくなったんだ」
縺輔>縺ヲ縺
「さいてい」
縺雁燕繧よュサ繧薙〒縺励∪縺
「お前も死んでしまえ」
縺ェ繧薙〒縺薙m縺励◆
「なんでころした」