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放課後、だいたい振り回されてますっ!
放課後。
私は今日こそ平和に帰るつもりだった。
本当に、そのつもりだったのに。
「……なんで増えてるの?」
トイレの前に貼られた紙を見て、私は絶望した。
【大好評につき延長営業中!!】
「花子くん」
「なに?」
「話があるんだけど」
「こわ」
全然怖がってない顔で言うのやめて。
「なんで“延長営業”してるの?」
「だって昨日めっちゃ来たじゃん。需要あるな〜って」
「需要を作ったのは花子くんでしょ!?」
「結果オーライ!」
よくないよ!?
しかも――
「……列できてるんだけど」
トイレの前には、普通に順番待ちの列ができていた。
ここ、相談所じゃなくてトイレだよね?
「大人気だね〜」
「他人事みたいに言わないで!?」
そのとき、先頭の男子がそわそわしながら入ってきた。
「すみません!恋愛相談で!」
「はいどうぞ〜」
もう完全に店じゃん。
私は半ば諦めながら椅子(?)に座った。
「で、どんな悩み?」
男子は真剣な顔で言った。
「好きな子に話しかけるタイミングが分からなくて……!」
「なるほどね〜」
花子くんは腕を組んで考えるフリをする。
絶対フリ。
「じゃあ簡単」
「えっ」
「その子の後ろにワープして『好きです』って言えばいい」
「できるわけないでしょ!!」
またツッコミが炸裂した。
「えー?怪異なら普通だよ?」
「この人普通じゃないからね!?」
男子が混乱している。
ごめんね、ほんとに。
「もっと現実的なやつ!現実的な!」
「じゃあ寧々がやってあげれば?」
「なんで!?」
「練習相手として」
「嫌だよ!!」
「ほら、その子だと思って」
「だからいないって!」
「いるじゃん」
「やめてその流れ!!」
――数分後。
「……ありがとうございました!勇気出ました!」
なぜか元気に帰っていく男子。
どうしてこうなるの。
「ねえ」
「なに?」
「ちゃんとしたアドバイス、一回くらいした?」
「したよ」
「どこが!?」
「元気出たじゃん」
「結果論!!」
そのとき、また次の人が入ってきた。
今度は女の子二人組。
「ここって噂の相談所ですよね!?」
「はいそうです〜」
即答。
もう否定する気もないらしい。
「実は友達が――」
「ちょっと待って」
私はぴしっと手を上げた。
「整理しよう。一回整理しよう」
「なにを?」
「キャパオーバーなの!!」
「えー」
「“えー”じゃない!」
私は深呼吸してから言った。
「せめて人数制限しよう!」
「人数制限?」
「そう!一日三人まで!」
「少な」
「これ以上無理だから!!」
しばらくの沈黙。
花子くんは、にやっと笑った。
「じゃあさ」
「なにその顔」
「整理券作ろうか」
「増やす方向に行かないで!?」
その日の放課後――
トイレ前には、新たな紙が貼られた。
【怪異お悩み相談所・整理券制になりました】
「……帰りたい」
「無理だね」
私は天井を見上げた。
――平和な日常は、まだまだ遠い。