公開中
13 望まなかった妊娠
※暴力表現あります
スミレ「ここがふうはやさんの心の中・・・?」
泡のようなものがあちこちに浮いている。そのうちの一つに触れると、中が見える。
これがふうはやさんの過去なのかしら。
『サイアク・・・なんで2人目作っちゃったのよ。一人で良いっての』
『お前がもう子供できないって言ったんだろ』
スミレ「ふうはやさんは望まれなかった子だったのね」
他の泡にも触ってみる。
ふうはや「ねぇおかーさん!遊んで!」
『何?今お兄ちゃんの勉強見てんのわからない?』
ふうはや「え・・・?」
『邪魔すんじゃないわよ!』
バシッ
ふうはや「いっ・・・⁉︎」
『あーもう、泣かないでよ』
ドカッ ベチンッ
スミレ「なっ・・・何よこれ⁉︎」
これ、『身体的虐待』ってやつじゃない・・・⁉︎
怖いけど、他のも見てみましょうか・・・。
ふうはや「お母さん、お父さん・・・高校行かせてよ」
『は?なんであんたなんかに無駄金使わなきゃなんないのよ』
『バイトでもして家に金入れろよ。お前が|颯《はやて》くらい成績良かったら進学させてやったがな』
ふうはや「・・・っ」
『お袋!いい加減にしろよ!なんでこうも隼人につらく当たるんだよ⁉︎』
『颯は黙ってなさい!』
『隼人!もういい、こいつらに頼るな!』
ふうはや「お兄ちゃん・・・?」
『親父、お袋!俺は隼人と出ていくからな!』
バタンッ
スミレ「お兄ちゃんのおかげで家を出られたのね、よかった・・・」
その後もどんどん見ていくと、ふうはやさんの両親は事故で亡くなったみたい。
両親から完全に逃れられたのね・・・。
スミレ「あら?あれってふうはやさん・・・?」
泡を抜けると、体育座りでかがみ込むふうはやさんを見つけた。
スミレ「ふうはやさん・・・あなたの過去、見ちゃったわ。ごめんなさい」
ふうはや「いいよ別に・・・。今はもう、なんてことないし」
スミレ「そんなはずないわ。なんで私に話してくれなかったの?」
ふうはや「忘れられない俺が悪いって思ってたんだ・・・」
スミレ「帰ってきたら、話を聞いてあげる。帰りましょう」
ふうはや「すみれ・・・ちゃん、すみれちゃん・・・っ!」
ふうはやさんは子供みたいに私に抱きついて、お腹に顔を押し付けて泣いていた。
スミレ「もう泣かないで。私はあなたを傷つけたりしないわ」
そう言った瞬間、目の前が明るくなって、外にいた。
怪異になったふうはやさんは動かない。その隙に薬を飲ませた。
スミレ「これで・・・終わったの?」
怪異の体は崩れ、涙を浮かべたふうはやさんが見え始めていた。
2人救出 残り17人