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小説「聖夜の奇跡」 No.4
登場人物
・カイ
・アヤ
・ユウ
「あ、二人の写真撮ってあげる」
ほら寄って~、とアヤの方へと押したユウ。
突然の行動にカイは少し怒りながらもポーズを取る。
アヤはニコニコと笑っていた。
「よし、それじゃこれをクラスのグループに……」
「やめろ、本気と書いてマジで」
ユウは冗談だと言うが、カイは信用できなかった。
「カイに送っとくからアヤさんに送っといてね」
「アヤで大丈夫ですよ、ユウさん」
「それならユウって呼んで」
「よろしくね、ユウ」
カイが頭を抱えている間に二人は仲良くなっていた。
そして、何故かユウは恥ずかしいエピソードを探っている。
アヤも悪ノリし、このままだとクラスだけではなく学校全体まで伝わってしまう。
「アヤ、よかったら連絡先交換しようよ。カイの前じゃ妨害されるし」
「あ、スマホの充電ない」
「だから既読つかなかったのか」
三人のグループを作ることになり、ユウは家に帰ることになった。
それから少しして、カイの母親も待っているので駅へと向かった。
「あのさ、カイ……」
「おっと噂をすれば母さんだ」
電話に出て今から帰ることを伝えたが、母親の様子がおかしいことに気がついた。
少し間があってから伝えられた事実にカイは戸惑う。
うまく声が出せない。
とりあえず電話を切り、自分の中で少し考えた。
「アヤ」
突然名前を呼ばれたアヤは息を飲んだ。
「お前が交通事故にあって死んだって母さんが…」
「……」
「今、ここにアヤは存在してる。お前は生きてる…よな?」
カイは下を向いたまま問いかけた。
しかし、すぐに返事は帰ってこない。
No.5は2022/09/17/12:00公開予定です。