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10.集会
--- ♢ No side ♢ ---
城の前につき、精霊が元に戻っていった。だが彼らは乗る前よりも元気がなくなっているよう。
「あ”〜死ぬかと思った‥」
地面に手をつきそう呟くリュオル。
「それなです‥」
そんなリュオルに共感するネイ。
「なんなら一人死にかけてるけどね‥」
そう言いとある人物を哀れみの目で見つめるシェリア。
「え?」
リュオルが振り返ったそこには、倒れ込んでしまっているアレルの姿があった。
「アレルちゃぁぁぁぁん!?」
「アレルくんって激しい動きに弱いねぇ‥」
「無理ですよあんなの‥ほぼジェットコースターのベルトなしだったし‥」
「ジェットコースターより酷かった気がするよね。」
シェリアが笑いながらアレルの言葉に突っ込む。
「スピード出しすぎて悪かったですね」
シェリアを睨みながらそう言うルミエール。申し訳ないがあんまり怖くはない。
「正直貴方達の行動が早ければこんな事にはならなかったんですよ」
「何の事だか」
「すっとぼけないでください」
ルミエールとシェリアが会話をし、周りの皆が王都のいろんな店やおしゃれな建造物に興味津々で話していると、そこに一人の少女が現れた。そのひとに気がつくとルミエールは頭を下げ、お辞儀をする。
「《《アイリス》》様、お久しぶりです。」
「えぇ、お久しぶりです。お元気なようで何よりですよ、ルミエール王子。」
黄緑色の髪を揺らし、皆の前に現れた少女は、“神の声を聞くことができる”と噂のアイリス・フォーツグラインだ。聖母のような優しい視線をルミエールに向け、それから皆の元へ向き直った。
「集会は城の二階で行われます。そこまでご案内しますので、ついてきてください。」
そう言って彼女は前を歩き始めた。ルミエールはそんな彼女の横へ並んで歩き、話しかける。
「どうして一人で来たんですか。君は人に狙われやすいんだから、出掛ける時は必ず護衛を用意してと何度も言ったのに‥!」
「だってここまでくれば貴方がいますもの。護衛だなんていりません。だって、貴方が守ってくれるでしょう?」
「使命なので守りますが‥そういう考えはおやめください。城内に敵がいるかもしれないんですよ。」
「その時はその時です。私もそう簡単にはやられません。だって、」
「神が味方してくれるから、ですか?」
「‥えぇ、その通りです。」
「そんなの、神を信じていない訳ではないですが心配でしかありません。大事な時に助けてくれるか、それすらわからないというのに‥」
「‥貴方って、ちょっぴり重いです。」
「え」
「私だって貴方に守られなくなるくらいには強いと言うのに、何故そこまで心配するのですか。なんだか弱いと言われているようで腹が立ちます。」
「それは‥申し訳ありません。少し心配しすぎましたね。」
「でも、貴方が私をどれだけ愛しているのかよく分かるので、心配されるのもそんなに嫌じゃないですよ。」
「‥ほどほどにしておきます。」
「それでいいんです。」
二人の何歩か後ろを歩くアレルが、幸せそうな二人を見つめながら一言呟く。
「‥__ルミエール様彼女さんいるんだ‥__」
「なにアレルくん。ルミエール様狙ってたの?」
「狙ってなんかいません!ただ、彼女いるんだなぁって思っただけで!」
「ちなみにあの方彼女じゃなくて奥さん。」
「既婚者って事ですか!?」
「うん。」
驚きのあまり声が大きくなってしまった事に恥じらいを感じ、静かになるアレル。
♢
城内へと入り、アイリスの後ろを歩いて目的の部屋へと向かう。すれ違うメイド達から向けられる冷たい視線を感じるのはきっと気のせいだと皆自分に言い聞かせながら。
大きなシャンデリアが輝き、丁寧に掃除されているであろう階段を登る。そこから少し歩き、まるで御伽話の世界でしか見たことがないようなおしゃれな扉をルミエールが開ける。中に一歩入れば、空気がピンと張り詰めた空間だ。国の重要な役職についている者達が集まり、シェリア達を見つめる。何人か冷めた視線を向けているが、それはきっと気のせいだ。
「ここでは初めまして皆様。リュネットです。この度は聖祭の手伝いに呼んでいただき、ありがとうございます。」
シェリアが頭を下げ、重役達に挨拶をする。
皆指定された席に座り、呼吸すら忘れてしまいそうなほど緊張感が張り詰める空間で会議の開始を待つ。マイクの電源が入る音がし、それからルミエールが全員の前に立った。
「皆様集まったという事で、これより聖祭の会議を始めます。」
後ろのモニターの画面がついた。
一日で完成させたのはある意味才能(⁇
ちょっと雑クオだけど許してください