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花火END
ちょっと雑かも
「ノーブルくんって、花火見たことないんでしょ?」
彼女が花火が入っている袋を破りながら、突然言ってきた。
「うん。親から『絶対に花火だけは見ちゃダメ』って釘を刺されて育ったから」
「へぇ~」と彼女は口を綻ばせながら、二本の花火を取り出しては、そのうちの一本を僕に渡してきた。
「じゃあ、一緒にやろうか!」と彼女が笑顔で言ってきたものだから、僕も思わず「うん」と返すしかない。僕は引きつったような表情を浮かべていたけども、本心は嬉しかった。とても幸せだと感じた。
僕の花火を持つ手が震えている。極度の緊張のせいだろうか。この震えをどうにかしようと、この花火が仏壇にあげる線香みたいだな、と思ったりして心を落ち着かせようと思ったけど、それらは全く効果がない。
しかもこの震えというのが、彼女がギリギリ気づかないラインの震え具合だった。だからこそ苦痛だった。こんな具合じゃ震えを訴えても信じてもらえない。逆にこの雰囲気をぶち壊してしまうかもしれない。火が付く前でこんな調子じゃ、火が付いたら、僕はいったいどうなってしまうのだろうか。
僕の持っている花火の先っぽに、彼女の松明を持つ手が近づいてきた。赤黄色い炎を出しながら、一刻と、着々と、炎が迫る。炎は遠いのに、何だか僕まで暑くなってきた。全身から汗が噴き出して、背中がこわばり、頭がきつく締まる。
パチッ、火が付いたら一瞬だった。花火は白い閃光と橙色の炎をまき散らして、轟音と共に破裂した。強烈な爆風が僕の上半身を根こそぎ持っていき、そこら辺にボトッと落っこちた。目の前に濁った空が見える。
僕はふと現実に引き戻された。今が戦争中で、さっきまで話していた彼女は僕が生み出した幻想だということを。さっきの幻想は惨い現実を忘れるための逃避行だった。
下半身の感覚がない。いや、そもそも無くなったんだから当然だ。そんな上半身だけになった僕だけども、まだ意識は残っている。
さて、そろそろ僕も現実から身を引ける時がやってきた。先に行ってくるよ、リースベット。ずるいと思われるかもしれないけど、こんな僕を許してくれ。君も自分のペースで行っていいからね。待ってるよ。
そして、また僕は幻想に身体を沈めた。