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激弱勇者の魔王討伐日記 6話
「私達、幼馴染なんです」背の低いリンはカルテの影に隠れながら、僕をじっと見ている。「子供の頃、家が近かったんです・・・リンの家もまぁまぁな名家だったので、交流もよくありました。リンは子供の頃に引っ越して行っちゃったけど、まさかここで会えるとは・・・ねぇリン、どうしてリンは魔王討伐に?」確かにこんな細くてか弱い少女が一人で旅に出るのは不似合いと言っていい。・・・カルテも細いからそんな人を殺せる視線で僕を見ないでください。僕が悪かった。というかあなたは読心魔法でも使ったのか。
「私・・・家宝を、魔王に取られたんです・・・」「「ええ!?」」僕とカルテの声が重なる。「リンのところの家宝って、確か万能薬だよね?代々継ぎ足しされてるあれ・・・」「万能薬?」「はい、どんな傷にも効くし、水に溶かして飲めばどんな病気も治るんです。でもどうして家宝が盗まれたの?」
「お母様が・・・重い、借金を抱えていて。借金を返済できるお金と、万能薬が対価だったと・・・」「そうだったのね・・・」「おかげで、借金はなくなりました。私は、家宝を取り返してくるよう、お父様に言われたので・・・ついでに村の人が奪われた薬も・・・」
「なるほど。・・・じゃぁついてきていいよ!」おいでよ、と僕が差し出した手を、リンは掴んだ。
「あと足りない役職は?」「たくさんいれば居るほどいいと思うけど・・・荷物とか考えると最小限の人数がいいよね。だとしたら剣士とか、火力系がほしいかな、カルテも居るけど、もう一人くらいほしいなと」「・・・ぃ」「別の酒場を探しましょう。もう誰もいなさそうですし・・・」「・・・ぉぃ」「そう・・・だね」「おい!!聞こえないのか!!」「「「え?」」」「今の声、どこから・・・」「あ・・・!」リンが床を指差す。
足元に、弓を背負った狐がいた。
「もしかして、獣人・・・」「そうだ」ふふん、と狐が鼻を鳴らす。「俺は弓兵だ、連れて行かないか」「弓兵か・・・どうして魔王討伐に行きたいんだ?」「そこのヒーラーのお前!万能薬と言ったな?」「え、はい・・・」急に話しかけられて、リンがたじろぐ。「俺は元々森の医者だ!流行り病を治すための薬が必要だ。金はいいから万能薬を一瓶分、対価にパーティーに入れろ!」「・・・そうか。いいよ」「マルさん、良いんですか!?」「うん。森に住んでいる獣人なら色々食べられるものに詳しいし、火力がもう一つ、サブウェポンで欲しかったんだ・・・」
もう一つ言えない理由は、流石に男が欲しかった!!女子ばっかりだと肩身が狭い!
「本当か!?やったぞ・・・!俺は狐の獣人のフウマ、よろしくな」「よろしく、フウマ」
1106文字!
ファンレターありがとうございました!
次は魔王視点の話でもしましょうかね・・・