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2話
りあ💤
墓地を出て、れるは黙ったまま歩いていた。
こえはその隣を、静かに並んで歩いていた。
誰にも気づかれない。
けど、れるにはちゃんと感じられる。
確かに、隣にこえがいる。
腕のあたりに、ほんのり温度みたいなものを感じる。
💫🎨「……なぁ」
ぽつりと、れるがつぶやく。
❣🌸「ん?」
💫🎨「このあと……、こえくん家、行くんやけど」
こえは足を止めた。
❣🌸「僕んち?」
💫🎨「……うん、その、……命日やし……ご家族に、花だけでも渡そうかな、って。……あ、別に、無理に一緒に来いとか言うつもりはないんやけど……」
💫🎨「……でも、もし……一緒に来てくれたら、ちょっと……、ご家族も嬉しいかなって思っただけで……」
こえは静かに微笑んだ。
❣🌸「うん。行く。……僕も、久しぶりに、行きたい」
その返事を聞いて、れるの目にじんわり涙が浮かんだ。
こえはもう、この世の存在じゃない。
でも、「一緒に行く」って言ってくれたその言葉が、何よりも嬉しかった。
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バスに揺られて、こえの家まで向かう。
れるの隣にこえが座っている。
けど、車内の誰もこえに気づかない。
❣🌸「ふふ、なんか、透明人間になったみたい」
こえが冗談っぽく笑う。
💫🎨「笑いごとやないやろ。こっちはまだ、頭こんがらがってんねん」
❣🌸「……ごめん」
💫🎨「……でも、なんやろな。こうして喋ってると、やっぱりお前が死んだなんて思えへん。いつもみたいでさ……」
れるはそっと、こえの手に触れてみた。
ふわりと、指先にぬくもりが伝わってきた。
💫🎨「あ……やっぱり、触れられるんやな。れるだけ触れられるんや」
❣🌸「うん。れるちだけ。……不思議だね」
💫🎨「不思議どころちゃうわ、もう全部おかしい」
でも、そのおかしさが、愛しくてたまらなかった。
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こえの家に着くと、れるは深呼吸をしてインターホンを押した。
こえの母親が出てきて、れるの顔を見て一瞬表情を和らげた。
「……れるくん。暑い中、わざわざありがとうね」
💫🎨「いえ……ほんま、急にすみません。これ、花……置いといてもらえたら」
こえの母は花束を受け取り、優しく微笑んだ。
「こえもきっと喜ぶわ」
その言葉に、れるの胸がぎゅうっと締め付けられた。
隣には、本人が立っているのに。
その声も姿も、届かない。
こえは母親の顔を見て、微笑みながら小さくつぶやいた。
❣🌸「お母さん……久しぶり。元気そうで、よかった」
れるだけが、その声を聞いていた。
れるだけが、こえの寂しそうな横顔を見ていた。
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こえの家を後にして、ふたりで帰る途中、
こえが、ぽつりと言った。
❣🌸「……やっぱり、僕、もう死んでるんだなって。……実感した」
💫🎨「……うん」
❣🌸「会えてよかったけど……見えてるのが、れるちだけってのが、逆につらいな」
れるはこえの手を握った。
ぎゅっと、強く。
💫🎨「れるが見える限りは、こえくんは生きてるのと同じや。こえくんがもし消えるとしても、消えるまで、ちゃんと一緒におるから」
その言葉に、こえは目を見開いたあと、静かに頷いた。
❣🌸「……ありがとう」
そして、ほんの一瞬、手をつなぎながら、
ふたりは静かな夕暮れの中を歩いていった。
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