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何度でも。
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「悪魔の子!!!貴様を私は許さんぞ!!!!」
冷たさと悲しみが混じった怒鳴り声が、城全体に響き渡った。
「ほう?私は恨まれるようなことをしたかな。」
彼は悪魔の子と呼ばれ忌み嫌われている存在である。
ザクッ、シャッ
ナイフを振り回され、傷だらけになりながら叫んだ。
「わた、、、し、、は、、、ゆ、、るさ、、、、な、、、、、、。」
だんだんと声が弱くなり、やがて何も言わなくなってしまった。
「!!」
「貴様は、私に許さないと言いかけていただろう?途中で逝くでない、、、やるなら、、やり切ってから逝け!!!」
本当は、一人で孤独に包まれながら生きるのが嫌だと考えているような寂しがりでした。
冷たくなった体を抱きしめて、耳元に呟きました。
「せめて、貴様だけは、、光の方へいってくれ。闇へ沈むのは私だけで十分だ、、。」
それから、ゆっくりとその体を地面につけ、背中を丸めて去っていきました。
--- 2年後 ---
私は、あの時確かに殺されたはずだった。
だが、村長の息子として生まれ変われたらしい。
さらに成長してからでないと、あいつは討てない!!
---21年後---
私は、ナイフをかばんに入れ、城へ向かった。
「悪魔の子よ!!」
またあの時のように、怒鳴り声が響きました。
「私はあなたを許さない!!」
悪魔の子は青年を不思議そうに見つめて言いました。
「私は貴様に恨まれるようなことをしたか?」
「、、、、数十年前にもこのような事があった気がするぞ、、。貴様は何を知っている、、!いや、死者が生き返るはずがなかろう、、。」
悲しそうな瞳を見せた後、口を開きました。
「本当にそうお思いになりますか?」
「私は確かに、あの時あなたに殺されました。しかし、強い恨みがあったからこそ、生まれ変われたはずなのに、、、、今は胸の奥が痛んでそんな事できません、、。」
悪魔の子は少し間を開けてから、怒りながら言いました。
「殺すために生まれ変わったのに、今更になって私のことを殺せぬと!?」
「私を殺せぬのなら、帰るが良い!!」
と、後ろに振り返りました。
村からやってきた青年は静かにナイフを取り出しました。
「うわぁぁぁぁ!!!」
急いで振り向くとそこには、涙を流しながら襲おうとしてくる青年がいました。
「、、、!!」
「そんな、迷い刃では殺せぬぞ。」
悪魔の子は、優しい言葉をかけました。
すると、青年はナイフを手から離し、その場に膝から崩れ落ちてしまいました。
「わ、、、私は、あなたの事が好きだった、、、。だが、、、いつの日からか、、あなたのことを嫌うようになってしまった、、。まるで、、お気に入りの人形に飽きたように、、。」
悪魔の子は目を見開きました。
「わ、私のことが、、、好きだと、、!?」
それもそのはずです。
悪魔の子は周りから忌み嫌われ、自分を心から愛してくれるものなど、ずっと生きていて一人も居なかったのですから。
「そ、、そうです、、。しかし、今まで好きだと思っていた、、人使いの荒さや、、ほんの少しの優しさを、、嫌うようになってしまいました、、。そして、、今まで溜めていた自分の中の、全ての気持ちをぶつけるための“道具”になってしまっていたのです、、。」
青年は、たくさん涙を流しながら、精一杯気持ちを伝えました。
悪魔の子はしばらく黙っていましたが、ようやく口を開きました。
「もう、、何も溜め込まなくても良い、、。今だけは、たくさん泣いておけ。」
「、、何でもぶつけてくれていいぞ、、。」
そう言って青年を抱きしめました。
青年はそのまま眠ってしまいました。
---
「私はどれくらい寝ていたのだ、、?」
目を覚ますと、そこには悪魔の子がいました。
「相当疲れておるから、ゆっくり寝ていろ。」
悪魔の子の優しさはそのままでした。
「、、、、、悪魔の子よ。これからは、悪魔の子ではなく何か、、名前で呼んでいいか?」
「私に名前を、、つけてくれるのか?それはありがたい。これからお前と生きていくために、“悪魔の子”という名は捨てねばならぬからな。」
「では、名前は、、シエル・アークでどうだ?虹という意味の言葉だ。」
「良かろう。虹、、か。素晴らしい名前だな。」
二人はそのまま、しばらくは仲良く喋っていました。
そのうち、外が騒がしくなってきました。
「、、、シエル・アークよ。何か、騒がしくないか。酔っ払いが騒いでるのか?」
「いや。違うようだ。村の者どもが、貴様がここに閉じ込められていると勘違いして、襲ってきているようだ。」
「な、、何だと!?」
そう言って、ゆっくりと立ち上がりました。
「、、、貴様、、どこへ行く気だ?」
「まさか、外へ出て村人を沈める気じゃなかろう、、。」
少し笑いながらいいました。
「そのまさかを私はやろうとしているぞ。」
「そんなことをさせてたまるものか!!」
ゆっくりとこう続けました。
「これは、私が自分で決めたことです。心配だと言うのなら、私がピンチの時は助けに来てください。」
「、、、、分かった。必ず助けに行くからな。」
そう言って、城の外へ出ていきました。
「村人たちよ!!これは何かの間違いだ!!」
大きな声で言いました。
しかし、村人たちには逆効果だったようです。
「お前が悪魔の子か!!」
「何だと!!」
「そこをどけ!!」
そう言った声が響き渡りました。
そして、ついには青年を攻撃し始めたのです。
自分たちの村長の息子だと言うことを知らずに。
ザクッザッ
その時です。
「やめよ、、!!!こいつは貴様らの村長の息子だろうが!!」
シエル・アークの叫び声が響きました。
しばらくしてから、村人たちと村長の顔が真っ青になりました。
シエル・アークは青年を腕に抱えながら言いました。
「ダメだ、、。死ぬなよ。絶対に死ぬなよ、、、!」
青年は弱々しく言いました。
「、、、僕は貴方のそばで色々なことを学べた、、。満足している。だが、、。」
「!!」
「だが何だ?」
シエル・アークは涙目になりながら問いました。
「、、、だが、まだ貴方と共に生きていきたい、、。」
青年は二度と目を開けませんでした。
「う、、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
シエル・アークは狂ったように叫び声をあげました。
そして、村人たちを全滅させてしまったのです。
「なぜ、、貴様が死ぬのだ、、。なぜ、、なぜ、、。」
シエル・アークは自分を責めるのでした。
--- 6年後---
シエル・アークは青年の死を深く悲しみ、動かなくなってしまいました。
そんな時、城の扉が開く音がしました。
「なんだ?また村人が迷い込んだか。出ていくがいい。」
シエル・アークはそう言って少年を追い出そうとしました。
その時、少年が言いました。
「シエル・アーク?久しぶりだな。」
少年は全てわかっているような顔をしていました。
シエル・アークは驚いたような顔を見せました。
「本当に、、本当にお前なのか?」
「そうだ!!」
二人は喜び抱きしめ合いました。
こうして、二人は感動の再会を果たせたのです。
「なあ。シエル・アーク?旅に出てみないか。世界各地で世直しをするんだ。」
「そうだな。やはり、この世界の世界観は間違っている。」
しばらく間をあけてシエル・アークは言いました。
「いくぞ。」
「ああ。私は殺されても、何度でも貴方のそばに戻ってくるさ。」
「何度でも。」
そして、二人は旅立つのでした。