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星に願いを
だいふくさん、あなたの|詩《うた》を執筆させていただき、ありがとうございました!
今回の小説は、だいふくと言うユーザーがつくった歌詞をもとに作らせてもらっています。
ぜひ、その歌詞も見ていってみてください!
深夜二時。冷たい風が吹き抜ける歩道橋の上で、僕は一人、濁った夜空を見上げていた。
「今どこかで、星が流れていたら」
口をついて出たのは、子供じみた仮定の話だ。もしも本当に、この光化学スモッグに塗れた空の向こうで星が流れたなら、僕は一体何を願うのだろう。
--- 何を、願うのだろう。 ---
世界が平和になりますように、なんて偽善は吐けない。
「幸せ」
ただ、その二文字が頭に浮かぶ。
誰かに自分の苦しみを察してほしいわけじゃない。神様みたいな存在に、都合よく願いを叶えてほしいわけでもない。ただ、僕はこうなりたいのだ。幸せになってみたい。それだけなのに。
「……幸せって、なんなんだろうな」
ぽつりと呟いた声は、深夜のトラックの轟音にかき消された。
そもそも、今が幸せなのかな。温かい部屋があって、明日の分の食費があって。でも胸の奥は、ずっと凍りついたままだ。今が不幸か幸せかなんて、僕にも、他の誰にもわかりやしない。
視界の端で、夜空の雲が厚くなる。
遠くの街で、ぽつぽつと雨が降り始めた気配がした。
「今どこかで雨が降っている、それならば」
僕は濁った目を細め、誰もいない夜の底に向かって願う。
--- 「洪水」 ---
すべてを押し流してしまえ。
ピカリと、遠くの空が裂けた。ゴロゴロと、重い雷鳴が響く。どこかのビルか、あるいは木に雷が落ちたのだろう。それならば、僕は願う。
--- 「天罰」 ---
いつからだろう。いつから僕は、こんなに人の不幸のために願うようになってしまったのだろう。
あの雨のように、僕を傷つけたあの人に、不幸が降り掛かったらいいのに。
あのどこかの雷のように、僕を嘲笑ったあの人に、天罰が下ればいいのにな。
激しい憎悪が、一瞬だけ僕の胸を支配する。ああ、醜い。本当に醜い。
激しい雨が、僕のいる歩道橋にも降り出してきた。前髪が額に張り付き、視界が滲む。冷たい水滴が頬を伝う。
……でも、今。もしもこの雨雲の向こうで、本当に、星が流れていたら。僕はやっぱり、願うだろう。
--- 「幸せ」 ---
結局のところ、自分のために「幸せ」を願うことだって、誰かのために「|不幸《天罰》」を願うことだって、根っこにある僕の孤独は何一つ変わっていないのだ。誰かを呪うのは、自分が救われたい裏返しでしかない。
人間は、そう簡単には変われない。
僕も。
僕を傷つけた君も。
世界を動かしている、見ず知らずのあなたも。
誰も、変われない。
激しい雨の音に包まれながら、僕は流れることのない夜空の星に、もう一度だけ、届かない願いを呟いた。
星に願いを END
最後まで見てくれた方に感謝。