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魔王転生 本編2 男らしさとは?
顔を洗いながら私は考えた。魔王である私が勇者に敗北したということは、魔界の者たちも死んでいるのだろうか?その場合、『転生』はしているのか?私やすら、呪いの騎士が今使っているこの肉体はもともと誰のものだったのか?
――疑問点が多すぎる。そもそもなぜ私だけ女の体なんだ。
いま着ているのは寝巻きのようで、レースやフリルが使われた桃色のひらひらしたワンピースのようなものだった。魔王がこれじゃ――
「みっともない。」
声に出てしまった。そこに、すらがやってきて、タオルを差し出しながら私に訊ねた。
「”みっともない”って、なにが?」
「いや、魔王がこんな女らしい服装というのはみっともないと思ったのだ」
「じゃあ、とりあえず着替えようか」
部屋に戻り、クローゼットを開けると、ミニスカートやワンピースなど、ひらひらした動きづらそうな女らしい服しかなかった。クローゼットを開けて固まった私を見て呪いの騎士が「魔王様!?」という。
「なぜ、女らしい服しかない!?」
「それは、元の体の持ち主が女性だったからでは?」
「私は、男だ!」
怒る私をすらがなだめた。
「まあまあ、落ち着こう?」
「しかし…」
「魔王様は、なんでこの服が嫌なの?」
「それは、男の私が女物の服など…」
「でも、今の魔王様は魔王様じゃない。この世界の人だよ?むしろ、魔界では生きることのできなかった生き方ができるんだよ?いいことじゃん。そもそも、転生していなかったらボクたちは今こうして生きることはできないんだよ。魔王様やボク、騎士くんはもう死んでいる。だったら、この世界の人として、生きてみようよ」
「なら、外で呼ぶときに違和感を持たれないためにも名前をつけましょう。」
「いいね〜!じゃあ、騎士くんはナイト!」
「”キラキラネーム”など、死んでも嫌です!」
「え〜?」
「なら、この世界風の名前で、『純夜』は?」
「いいね!」
「魔王様のくれた名前なら何でも構いません」
「ならナイト。」
「え…」
「冗談だ」
「も〜!騎士くんで遊んだら駄目だよ魔王様〜」
「魔王様の名前はどうしましょう?」
「じゃあ〜『まお』とかどう〜?」
「いいですね。『魔王』と響きも近いし、呼びやすそうだ」
「じゃあ、決定〜」
「ちょっ、勝手に決めるな!」
「この名前、気に入らなかった?」
「そういう訳では無いが…」
疑問点は多いが、すらと純夜となら楽しく過ごせそうだ。
そんな思いを胸に、新たな生活をスタートした。
読んでいただきありがとうございます!純夜の名前は、騎士→ナイト→夜、と純粋な心を持っているという意味があるのですが、すらは元の名前から日本人風にするのが難しいので、まだ決めることができていません。なので、よろしければ思いついた名前をファンレターで送っていただきたいです!
※転生した世界に合わせた名前を決めようという流れですので日本人風な名前にしていただきたいのと、任意ではありますが由来も書いていただけると嬉しいです。