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俺の彦星は
七夕というイベントを忘れてたので大遅刻です。
実は初めて書いてみたゆとみずです
お納めください。
「やっと今年の七夕か」
「暑いねぇ、なんか年々気温上がってる感じする」
「うん、てか結構買いすぎたね」
「もうちょっと持つよ、貸して」
今日は七夕。
空の星のどこかにいる織姫と彦星が、一年に一回、天の川を渡って出逢うことが出来る日。
お願い事をしたら叶うかもしれない、そんな日でもある。
そんな七夕は、俺にとっては別の意味で大事な日でもある。
それは、「記念日」
そう、七夕の日は、俺と優斗が付き合ってからの周年を迎える、大事な大事な日でもあるのだ。
ライブをやってた期間中だったか。
それとも少し前だったか。
番組収録の帰り、俺は優斗が運転する車に乗っていた。
元々仲がいいと言われているリーダーとセンターだから、俺も違和感なく出かけて行って。
優斗が連れてきた場所は山の中。そう、満点の星空が見える絶好の穴場だった。
「すっげぇ、、、」
「すげぇな、これは俺もびっくりした」
「なんでこんな場所知ってんの?」
「調べたから」
今思えばとってもベタだったな、と自分でも笑い出しそうになるけど。
「ねえみずっくん、こっち来て」
「え?はい、」
「もうちょっと」
少し近すぎやしないか、と感じる距離まで近づいた俺を、優斗はいきなりぎゅうっと抱き締めてきたのだった。
「ぅわっ、!?」
「みずっくん、俺みずっくんのこと好きだよ」
「みずっくんは俺のこと嫌いでもいいからさ、俺のこと、みずっくんの彦星にしてくれない?」
抱き締められて触れた体はあったかくて。
細い腕も、なんだか心強い気がして。
無意識に言葉が口から出ていた。
「俺も優斗のこと大好きだから。」
あの時の俺は、なんだかわかんないけど、言ってしまっていたんだ。
「俺のこと、お前の織姫にしてよ」
2人とも人混みが好きじゃないから、お家で過ごすのは暗黙の了解になっている。
記念日の時は、珍しく2人揃ってキッチンに立つのも、暗黙の了解。
「おなかすいた」
「盛り付けもうすぐできるから取り皿出して」
「おっけー」
楽な料理しか作らないから出来映えはあまり良くない。
外に食べに行こうと言ったこともあるけど、瑞稀と一緒に料理作れるのが楽しいから、と断られた。
なんでも食べるし美味しいから気にしないでって、
俺たち記念日だよ?笑
「いただきます」
「いただきまーす、、、ん!やっぱ美味い〜」
「そう?」
「うん、マジで美味い!」
優斗はあっという間にデザートまでをたいらげて、テレビを点けた。
俺は食べ終わってない。いつものことだけど。
「みんなお願い事してるんだなー、」
「優斗はお願い事あるの?」
ふと呟いた優斗に何の気無しで聞いてみると、優斗はうーんと唸った。
「えー、迷うな、、、瑞稀はなんかある?」
「俺は、あるけど。」
「そうだよなー、でも俺なー、、、」
やっと食べ終わった。
お皿を片付け、ソファでまだ考えている優斗の隣にちょこんと座る。
あの日と同じあったかい手が、俺の頭をぽんぽん、とした。
「お願い事たくさんあるんだけどさ、、、これ、言ったら叶わないやつだろ?」
「そんなわけないでしょ、俺は優斗の織姫さんなんだから」
「目の前でお願い事聞いてくれるなら、これほどいいことないんじゃね?笑」
思わず笑いながら言うと、そうだった、と笑いを含んだ声が聞こえた。
「じゃあ一つ目。横浜バニラが成功しますように」
「おー。なるほどね」
「二つ目。ジャニーさんが静かに眠ってますように」
「もう命日だもんね、六周忌?」
「うん、もうそんだけ経つんだよな。」
「で三つ目、これ、絶対言わなきゃいけない?」
「えー、俺は聞きたいけど、、、」
「じゃあしょうがないな、」
耳貸して、と言うので、髪を耳にかけて差し出すポーズを取る。
優斗の唇が耳に近付いてきて、囁き声が吹き込まれた。
「瑞稀が一生、俺の隣にいてくれますように」
「三つ目が一番叶えやすいね」
「そ、やっぱそーだよな」
優斗は嬉しそうに笑って、また俺の頭を優しく撫でた。
「瑞稀は?お願い事なに?」
「んー、これは、、、俺も言いたくないんだけど、?」
「いいじゃんいいじゃん、おあいこだよ」
じゃあ耳貸してよ、と優斗に近づく。
差し出された形のいい耳に、そっと、優しく声を入れた。
「優斗の隣が俺だけのものでありますように」
「似たもん同士だな」
「そーだね」
嬉しくて、くつくつと笑いが漏れ出る。
ゆっくり俺の頭を撫でていた手が降りてきて、肩の辺りをぎゅっと抱きしめた。
「俺、瑞稀の彦星だから叶えてあげなきゃだな〜?」
「彦星じゃなかったら叶えてくれない?」
「、、、ごめん、そういうわけじゃないから。言い方悪かったね」
「別にいーよ、優斗はそういうもんだし」
「っおい、それどういうことだよ笑」
お願い事、叶うかな。いや、
叶えてくれるよね?俺の彦星さん。
滑り込みセーフってことにしといてください。