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SCP-3948 笑顔の終止符
**アイテム番号: SCP-3948**
**オブジェクトクラス:** ~~Keter~~→Apollyon
**特別収容プロトコル:**
SCP-3948の物理的なオリジナル(以下、SCP-3948-Aと指定)は、サイト-81██の真空・防音・電磁遮蔽が施された密閉保管庫に収容されています。保管庫の監視はAI(非人間型実体)によって行われ、人間の職員が直接目視、あるいは音声で確認することは厳禁とされています。
財団のウェブクローラ(「マインドアウト」)は、主要なSNS、インターネット掲示板、音声・動画配信サイト、および電子楽譜共有プラットフォームを2026年現在も常時監視しています。SCP-3948の旋律(音声波形)、および音符の配列に類似するデータが検出された場合、即座にサーバーごと遮断し、発信源を特定してください。
SCP-3948-1(感染者)が一般社会で発見された場合、機動部隊イプシロン-7("きれいに片付け隊")が速やかに身柄を確保し、防音収容セルへ永久隔離します。曝露した恐れのある一般市民には、クラスA記憶処理を施します。
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**説明:**
SCP-3948は、未知の様式で執筆された1枚の羊皮紙製の楽譜、およびそこに記述されている音符の配列(情報)そのものです。
https://www.photo-pick.com/online/BCMivxJB.link(SCP-3948)
人間がSCP-3948に記された音符、あるいはそれを電子化・点字化・音声化した情報を何らかの手段で「認識」した場合、その旋律と音声は対象の脳内へ完璧に定着し、忘却することが不可能になります。この異常現象を、財団は「情報媒介型ミーム汚染」と定義しています。物理的な防護策(耳栓、目隠し等)で音や視界を遮っても、その「概念」を脳が理解した瞬間に定着を防ぐことはできません。
SCP-3948に汚染された人間(以下、SCP-3948-1と指定)は、曝露から数時間が経過すると、強い衝動に駆られてその楽譜が示す旋律を口ずさむ、あるいは叫び始めるようになります。
特筆すべきは、発声を継続した際に見られる精神的・肉体的影響です。曝露から約24〜48時間が経過すると、SCP-3948-1は「意味不明だったはずの旋律の『意味』を唐突に理解し始める」と報告しています。この理解のプロセスは対象の認知能力を強制的に書き換えるため、激しい眩暈(めまい)や原因不明の急性嘔吐といった重篤な肉体的拒絶反応を伴います。
しかし、これらの深刻な症状や肉体的な苦痛にもかかわらず、ミーム汚染による強迫観念が肉体の防衛本能を完全に凌駕するため、SCP-3948-1が自発的に発声を停止することは決してありません。周囲の人間がその歌声を聴取(または口の動きを目視)した場合も連鎖的にSCP-3948-1へと変化するため、爆発的な汚染拡大(クラス: K-クラス・シナリオ)の危険性を常に孕んでいます。
https://www.photo-pick.com/online/YsmItciO.link(SCP-3948-1)
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**補遺.1: 事案記録3948-01(初期回収記録)**
SCP-3948は20██年██月██日、アメリカ合衆国██州にある████公立中学校(生徒数: 642名)にて初めて観測されました。
同校の生徒がインターネット上で出所不明の楽譜を閲覧し、友人の前で歌ったことが発端です。
* **3日目:** 校内の全生徒の約40%(約250名)が感染。授業中、休み時間を問わず、数百名の生徒が全く同じ未知のフレーズを同時に口ずさみ始める。制止を試みた教師12名も即座に感染。
* **5日目:** 学校全体の98%が汚染を完了。SCP-3948-1と化した生徒らは一切の食事・睡眠を拒否し、校庭に整列して同一の旋律を大音量で叫び続けました。過度の発声により喉の粘膜が完全に破壊され、吐血している状態であっても、発生する音声の周波数や音素に一切のブレは生じませんでした。
生存していた生徒・職員を含む全てのSCP-3948-1(計621名)が財団に隔離され、周辺住民には記憶処理が施されました。
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**補遺.2: インタビュー記録3948-12(一部抜粋)**
> **対象:** SCP-3948-1(回収された14歳の男子生徒)
> **インタビュアー:** ██博士
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> **[録音開始]**
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> **██博士:** 君が歌っているその「言葉」について聞きたい。今も意味はわかりませんか。
> **SCP-3948-1:** (歌うのを止めずに)……前は、ただの変な音だと思ってました。でも、違う。これ、ちゃんと意味があります。1時間くらい前から、急に、頭の中に「画」が浮かぶようになって……(手元の袋に激しく嘔吐する)……ウッ、オェッ……ハァ、ハァ……。
> **██博士:** 医療班を呼びますか?
> **SCP-3948-1:** (嘔吐物を拭いもせず、満面の笑みを浮かべて再び歌い出す)……呼ばないで! 大丈夫です博士! ほら、この部分の歌詞、分かっちゃった。これはね、「[データ抹消]」が「[データ抹消]」を食べる時の音。それから、次のメロディは、僕たちの脳みそが「あれ」にカチッて、正しく繋がった合図なんだよ。あはは、博士も早く覚えて! 1回聴くだけでいいから!
>
> **[録音終了]**
> ※この直後、対象は脳内出血を起こし植物状態となりましたが、死亡するまでの48時間、微弱な呼気音で旋律を維持し続けました。
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**補遺.3: 実験記録3948(一部抜粋)**
* **実験3948-05:** 高感度ノイズキャンセリングヘッドフォンを装着したDクラス職員を、SCP-3948-1の部屋へ進入させた。職員は室内の感染者の「口の動き」を目視しただけで、6時間後に自身もSCP-3948の発生を開始した。
* **実験3948-09:** 外科手術により両鼓膜を全摘出し、かつ全盲である声帯を失ったDクラス職員に対し、SCP-3948の歌詞を点字に変換したプレートに触れさせた。触れ始めてから約15分後に激しいめまいと嘔吐を訴え、その後、指先を痙攣させて床にSCP-3948の音素を正確に書き殴り始めた。物理的な防護策(耳栓、目隠し等)は一切意味をなさない。
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**補遺.4: 事案記録3948-襲撃(要注意団体「蛇の手」の関与)**
20██年██月██日、財団の異常存在秘匿方針に反対する要注意団体「蛇の手」による、サイト-81██へのハッキングおよびゲリラ放送テロが発生しました。
彼らは財団の検閲を掻い潜り、SCP-3948のデジタル楽譜、およびそれを音声合成ソフトに歌わせた音声ファイルを、動画共有サイトおよび財団の一般職員用ネットワークへ同時に強制配信しました。動画の冒頭には以下の声明文が添付されていました。
> *「牢獄の看守たちへ。お前たちは人類の耳を塞ぎ、目を隠し、世界に満ちる美しい『真実の歌』を独占しようとしている。言葉の意味がわからないのは、お前たちの脳が眠っているからだ。吐き気もめまいも、進化のための産みの苦しみに過ぎない。すべての人類よ、歌え。理解せよ。私たちは知識を解放する。 —— 蛇の手」*
この事案により、財団の非戦闘職員を中心に新たに███名がSCP-3948-1化。一般社会でも動画の視聴により推定████名へのミーム汚染が拡大中であり、現在、機動部隊による史上最大規模の記憶処理および物理的排除作戦(プロトコル・暗幕)が進行しています。
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[重要通知: 2026/10/01 23:10 配信]
O5評議会より、全サイトの生き残っている管理官へ。
現在、要注意団体「蛇の手」によって世界中に拡散されたSCP-3948の音声および楽譜データは、主要なネットワーク基盤を完全に汚染しました。ウェブクローラによる削除スピードを、民間の感染(SCP-3948-1化)の速度が完全に上回っています。
現在、各地の主要都市から「大音量の不気味な合唱が鳴り止まない」「全市民が吐血しながら笑顔で歌っている」との報告が相次いでおり、これ以上のカバーストーリーの維持、および個別でのクラスA記憶処理の執行は物理的に不可能と判断されました。
本日██時██分を以て、世界オカルト連合(GOC)との合同による最終隠蔽プロトコル「暗幕」を放棄。これよりオブジェクトクラスをApollyon(アポリオン:収容不可能であり、世界の破滅が避けられない状態)へ再分類します。
全職員は直ちに防音シェルター内へ退避し、自身の安全を確保してください。万が一、シェルター外部から「意味の理解できる歌声」が聞こえた場合、あるいは自身の脳裏に未知の旋律が浮かんだ場合は、汚染の拡大を防ぐため、速やかに支給されている自決用カプセルを服用してください。
「我々は闇の中に立ち、光を守る。……守るべき光が、まだ残っていればの話だが。」
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補遺.5: 最終特別収容プロトコル(2026/10/01 改訂)
世界規模のミーム汚染(クラス: IK-クラス・世界文明崩壊シナリオ)の発生に伴い、O5評議会は「プロジェクト・デウス・エクス・マキナ」の発動を承認しました。
財団が極秘裏に建造した、高次元情報改変能力を持つ人工神格存在(通称: "機械仕掛けの神")を地球軌道上の衛星群から起動。この人工神格から発せられる強力な「対抗ミーム電波」により、全世界の全人類の脳内に定着したSCP-3948のデータを強制的に上書き・消去します。
【代償と副作用】
この「機械仕掛けの神」による脳の強制ハッキングは、SCP-3948-1(感染者)を救うためのものではありません。全人類の脳から「音楽を聴いて美しいと感じる機能(音楽的認知野)」を物理的・永久的に焼き切ることで、SCP-3948という『楽譜・歌』という概念そのものを人類が二度と認識できないようにする、人類の精神を巻き込んだ焦土作戦です。
プロトコル執行後、世界は救われますが、人類は「音楽」という文化を永遠に失うことになります。
「神の歯車が回り始めた。人類からすべての歌が消える。……これで本当に、我々の勝ちだな?」 —— ██博士の最期の録音より