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意外 中編
俺、知らなかったよ。
まさかあの子が、あんな顔をするなんて。
いつもみたいに、してただけなんだ。
ちゃんとあの子のことも考えたよ。
あの子もきっとわかってくれてると思ってたのに。
まるで俺が悪いみたいな顔をするんだ。
まさかあの子が、あんなに汚物を見るような眼をするとは思っていなかったんだ。
「君の気持ちには答えられない」
といったときのあの子の顔。
疑惑でいっぱいだったね。
今日は給食のデザートがプリンだったんだ。
俺は甘いものが好きだからね。
あの子がデザート一つ余ったからいる?と聞いてきた時はとてもうれしかったよ。
もちろん、ほかにだれかほしい人がいないか聞いたけれど。
とてもおいしかったよ。
でも、おかしい部分があったんだ。
プリンのカップの側面に、「すきです つきあって」
って書かれてたんだ。
側面だったからかな?少し字はゆがんでいたけれど。
このプリンをくれたのはあの子だ。
間違いなくあの子が書いたと思ったんだ。
告白をされることはよくあるけれど、こんな形の告白は初めてだ。
なんにせよ、ちゃんと断らないとね。
昼休みはあの子は別の友達と話していたから、放課後に話すことにしたんだ。
放課後、俺はあの子に声をかけた。
少々気落ちした様子だった。まさか、勘づいたのだろうか?
「お昼はありがとう。でも、君の気持ちには答えられないよ」
丁寧に、はっきりと、断った。しかしあの子は懐疑的な表情を浮かべた。
「何?なんのこと?」
「え、だからお昼の…」
「今時間がないの。申し訳ないけど、また今度でいい?」
いつも優しいあの子からは、とても冷たい声が出ていた。
俺を何か気が狂った人かのように扱った。
ああ、なんでだろうか。
城崎があんな顔をするとは思っていなかったな。
少し残念な気持ちだ。