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受験
あの時の君はどんな顔をしていたの?
「ありがとうございました」
五限目が終わった。
ようやく今日は帰れる。
一息ついたら、睡魔が襲ってきた。
瞼が重くなって、意識を失う。
「ーーー?ー!」
「ーーーー!!」
楽しそうに談笑するクラスメイト達。
私は静かに夢の中に落ちる。
しばらく経って、放課後。
誰かが机に近づいた気配がした。
「起きろー」
バッグを持った人が私を起こす。
「んん…ん、?」
「おぁよー」
突っ伏して寝ていたからか、肩が凄く痛い。
「…ねぇ、」
教科書などを詰めていると、声をかけられた。
「んー…?」
適当に返事をする。
「俺がさ、もし違う高校行ったらどう思う?」
「え?」
思考が停止した。
私は一応受かりやすそうなところを受けて受かっていた。
でも、確かこの人は結構上の方を受けていたはず。
「え、受かった、の?」
「…まぁ」
日当たりが良いこの席は、この時間になると窓の方を直視できない。
逆行で顔が、表情が読めない。
「あ、で…んー。」
なんて言うのが正解なんだろう。
「私は、選んだ道を応援する、よ。」
自然とそう口から出た。
「…そ」
太陽に手を翳して表情を見る。
途端に、大きなスプーンで心臓を抉られた感覚が襲った。
これまでになく優しくて、これまでにないほど苦しい表情だった。
そのまま、何も話すこともなく、卒業式を迎えた。
きっと、会いに来てくれるから。
まだまだ続きますが、更新は遅れます!