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君 が 恋 だ と 気 づ く ま で # 2
「そーれーにー、こうやって君と一緒に過ごす時間の方が楽しいから。私、まさか君と仲良くする日が来るなんて思ってもいなかったもん。ほんと、人生何があるかわからないもんだよ。」
そう話す彼女を見て、僕は気づいた。
あぁそうか、僕らのはじまりは偶然、本当に思いがけないものだったんだと。
約3ヶ月ほど前、僕の元に夜中に突然電話がかかってきた。
表示された名前は…… 母だった。
ちょうどこの日は、母と父が揃って外食に出掛けていたので、どうせ酔っ払いの面倒臭い迷惑電話だろうと思っていた。だから、電話に出た時、正直驚いた。
「…はい」
なぜなら、電話の向こうの相手の声が、明らかに母ではなく、見知らぬ男の声だったからだ。
そして僕は、彼の放った言葉に思わず耳を疑った。
あなたの親御さんが事故を起こし、被害者の方お2人が亡くなられました
「…そうですか」
不思議と僕は冷静だった。
電話を切り、それから、何も考えずに教えられた病院に向かって走った。
走っていると、道路に複数の警察車両が止まっているのが見え、思わず足を止めた。
その瞬間、1人の警察官が僕に近づいてきた。
「…井上幸子さんの息子さんですね?」
「…はい」
「事故の状況をお話ししますから、少しお時間よろしいですか?」
それから僕は、聞きたくもない事故の様子を聞かされた。
でも、それを聞くことは息子である僕の義務であるとも、同時に思った。
深夜1時頃、僕の父が運転する自家用車が、交差点を歩く夫婦に突っ込んだ。検察は、僕の父が信号無視をしたと考えているそうで、どうやら僕は犯罪者の息子になるらしかった。そのせいか、警察は僕に当たりがきつかった。
父と母はもう既に警察署に連行されたらしく、警察官に「君のお父さんはもう帰ってこれないだろう」と言われた。
それまでは正気を保てていたのだけれど、病室に着いて、ベッドの上の被害者と思われる方のあられもない姿を目の当たりにした途端、僕の中で何かが壊れ始めたのを感じた。被害者の方の顔には痛々しい傷が走り、事故の壮絶さを物語る。
痛かったんだろうな。
今まで人と関わることが少なかった空虚な僕の心がはじめて、悲しみや無力感で溢れそうになる。一度死んでしまった者が、もう二度とこの世に戻ってこないことなど十分わかっていたはずなのに。
何もわかっていなかった。
僕は膝から崩れ落ち、ベッドの横で泣き崩れる方に向かって無意識に頭を下げた。
自分の親が、してしまったこと。それは、どんな理由があったとしても、事故だったからといって決して許されないことであり、一生をかけて罪を償ってほしいと強く感じた。
「…申し訳…ありませんでした」
どれくらいそうしていただろうか。
先程まで泣き崩れていた1人の女性が、僕に向かって声をかけた。
「…あなたのせいでは、ありません。…頭、上げてください」
その声を聞いた途端、僕は首がちぎれるのではないかと思うくらいの勢いで顔を上げた。なぜなら、その声にどこか聞き覚えがあったからだ。
僕の顔を見た女性の方も、心底驚いた表情を浮かべているのが見て取れた。
そして、僕は確信した。
「……………森脇さん………ですか、?」
「……井上くん、?」
「………」
女性は、口に手を当てて再度泣き崩れた。
その行動にどんな意味があるのかなどわからなかったけれど、もし自分の両親を殺した人の子供がクラスメイトなら、言葉を失うだろうなと思った。だから、彼女の行動には驚いた。
その女性が、彼女だった。
第二話いかがでしたか❔
相変わらず下手ですが温かく見守ってください^ ^
それでは~