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崖っぷち
学タブロックがかかった。もう、こんな時間か。
と一人、眠れない夜。
こんな大盤振舞いの、無料相談の具体例のような電子基盤に夢中になって、現実の体内時計を狂わせて夜まで時を進めてしまった。
どうしよう。明日も――日は跨いだから今日か――学校があるのに。また仮病を使ってズル休みでもしようか。そのためには……。
幼い彼女は、未だネットワークを頼ろうとした。深夜に溶け込むような忍び足で廊下を歩き、リビングに行った。ロックがかかったら、別のロックしていない機器を使えばいい。という浅知恵。親のスマホを盗み取る。
暗いリビングにて。本人と同じような素早い速度で画面ロックを外し、ネットサーフィン。
夜更かしをする私を密かに罰して欲しかった。それがこの日課を始めたきっかけだった。
そんな夜の日課。
いつものように「子供、リョナ」で検索して、リョナグロサイトを閲覧する。彼女と同年齢のものがいいな。ひどい目に遭っているのがいいな。見たくないけど、見なければいけない。そういった不道徳で残酷なものがいいな。
ヤバそうな動画に当たった。イヤホン機能をオンにして、耳の中を密室にする。この静けさが唯一お気に入りだった。動画は、どこかの外国で撮られたようだった。
屋外。ヤシの木が何本か。泥のままむき出しになった地面。先進国のような文明発達の香りはどこにも存在しない。コンクリートなどへったくれもない。湿った低粘質の泥と、トゲトゲした砂利と、その上を自在に歩く裸足。
近くに崖があるようだ。まさに崖っぷち。日焼けした男の集団が女を囲み、逃げ場をなくす。
登場人物全員が服を着ていない。服と呼べる代物ではなく、先住民系の手ぬぐいを頭に巻いている。画質は最悪レベルで、それがモザイクの役割を担っていると解った。
年齢制限に引っかかる姿態だった。
裸、全裸。|艶《なま》めかしさ。
男、男、女、男、男、男、男。
そう、男が多い。
うっすら日焼けた肌の色から、中東かアフリカなどの地方らしい。
何らかの不条理な理由で全裸にならざるをえない女が、ただ地面に寝転がされていた。彼女と同じような格好、背格好も胸の大きさも、似たようなものだった。
画面に映った女は、無理やり地面に押さえつけられて、無理やり足を広げられ、屈強なペニスを入れられていた。
合意なしのセックス。いわゆるレイプ動画だった。女性器に一切の配慮はなく、男たちの精液便所でしかなかった。こんな土管のように大きなペニスが、こんな小さな幼穴のなかに……これが日常生活なのだ、という映像的主張。継続的に、とめどなくなされた。
年配の、屈強な男がペニスを出し入れしながら、彼らは野太い唸り声を出し、身体が震え、しばらくしてからペニスを引き抜く。
とんとん、と女の黒い茂みの上で棒状の突起を叩き拭い、即席のティッシュのように扱った。こんな未開社会にティッシュペーパーのようなものなど存在しないのだ。ペニスについた漏れ精液を、陰唇と陰毛にマーキング。その間、無断で中に出された白濁液がワレメから溢れてきた。
続けてちんちんが交換された。もちろん女は倒れたまま、失神したまま。乱れた行為によって乱れた前髪で、顔の表情は見えない。ガヤガヤと雑音指数の高い不快さがまとわりつくなかで、挿入。
入れる、出し入れする、男による声の破裂、震える、しばらくして抜く。とんとん。入れる……。
代わる代わるちんちんは交代する。その間女は休みなしだ。
女は抵抗する気も起きず気を失っているようで、すると男たちに手足を拘束されて首を絞め上げた。たぶん、女の意識を取り戻すというよりは、膣の締まりが悪くなったためだろう。女の頭を揺さぶるように、首を持ち、ガンガンと。ブンブンと。地面に叩きつけるような腰遣いで、首絞めセックスをした。
その後、首絞め状態でフィニッシュ。突き落とすように、崖から女を墜落させる。
場面は変わって、崖の下に映像は切り替わった。女は当然死んだように放心状態。首と顎の境い目を持ち、ぐいと顔を傾けて、射精したばかりのちんちんを口に含ませる。お掃除フェラの強要、その真似事らしい。エロさよりも先にグロさが目立つ。ここで、彼女の顔をはっきりみた。双眸に血は通っておらず、意思疎通はもう他界していた。男たちは動画撮影者に向かってピースしたりして、それで動画はここまでだった。
動画を見終わって、女の子という年齢の、カタストロフを味わって。
もう一度動画視聴した。その後、名残惜しく履歴を消し、リビングを後にした。部屋に戻り、ベッドに戻り。それで、頭のなかで、先ほどの動画を思い出す。
ひどい。女を女と見ていない。
オナホ扱いされちゃってる……。
それでも、と自分の部分を確認した。
悲しそうに冷たかった。同時に天然の涙で濡れている。違う。悲しくて泣いたわけではない。興奮したんだ。今の心境は、あのようにされたがっていた。道具のように扱われて、道具のように感情を喪失したかった。処女膜喪失よりもずっとずっと先に、それをしたい。
彼女はいつから死んでいたのだろう。行為をする以前からだろうか。でも、首絞めされて膣締めろと、そうされていたのだから、やはり崖に墜死してからだろうか。こうやって考えてしまう。やっぱり悪い子供。
手を動かした。まるでそこは、幽霊に出し入れされたかのように、犯された跡のように、物凄く濡れていた。
てのひらでさする仕草から、指に変わった。入口のひだに埋もれたクリトリスを触り、掘り起こすような手つきになった。声は我慢する。親に気づかれないように。気づかれたとしても、悪夢に襲われてうなされているような、そんな感じに。
そうやって、自分で自分を叱咤してやらないと眠れない。そんな悪いコ、見知らぬ誰かにココを調教してほしい。気持ちはかなり沈んでいたが、今夜はかなり捗った。