公開中
ベスタとその残骸たち
まずこの設定の元ネタを解説すると、小惑星ベスタは昔巨大衝突で原始惑星だったのに表面を大きく抉られ、ジャガイモ型になってしまい、その時に吹っ飛んだ破片が今だにベスタと同じスペクトルと成分を持つ「ベスタ族/V型小惑星」として小惑星帯を漂っているんです。V型小惑星にはルンディア、エリザ、ミダス、ペキン、レーピン、フーベイなどがあります。ベスタくんがそんな自分の「残骸」の遠い親戚と偶然あったらどうなるか考えてみました。
「小惑星帯地域交流イベント ワークショップ」
そう書かれた貼り紙が小惑星帯のあちらこちらに貼ってある。小惑星帯では毎月地域イベントがあり、これらの地域イベントの管理は小惑星帯のイベント管理係であるベスタが提案し、出費し、材料を揃えている。役所の近くに行くと、ワークショップで賑わっていた。
「このネックレス、かわいい!誰が作ったのかな?」
「それ私が作ったんだよー」
「こっちには……オリジナルシール?」
「生花の体験もあります~」
多様な人々が多様な作品を楽しんでいる。ベスタは、遠くからその様子を腕を組んで見ていた。
「こんにちは~」
主催者であるベスタに、みんな軽く挨拶をして入場する。すると、ある女性が歩いてきた。ルンディアだ。ベスタは、ルンディアの顔を見て目を丸くする。なぜなら彼女は自分の遠い親戚だからだ、ベスタは日々遠い親戚たちのことを想っている。ルンディアも、足を止める。お互いに見つめ合う。ベスタは涙を流したくてたまらなかった。でも、自分は小惑星帯を管理する一角なのだから、軽々しく涙を流してはいけない、という謎のプレッシャーも襲いかかってきた。ルンディアはベスタに近寄り、握手する。ベスタは涙を必死に抑えて応答するつもりだったが、大粒の涙を一粒こぼし……
「ワークショップへ、ようこそ!」
と、ルンディアを歓迎した。
ワークショップに来ていた事情の知らない人たちは、少し不思議な目でそれを見つめていた。しかし、レーピンは違った。レーピンもベスタに握手する。彼もまた、ベスタの遠い親戚だ。
「……ベスタ!」
レーピンもベスタと固く、固く握手をした、ベスタは自分でもわからないぐらい涙をぽろぽろとこぼしながらレーピンを歓迎した。ベスタの心は、確かに幸せに満ちていた。
まもなく、ベルが鳴った。今日の展示は終わり、次はまた明日という合図だ。大勢の人が帰る、もちろん、ルンディアとレーピンも。ベスタはみんなに手を振った。
そして本日の展示が終わり、ベスタはパイプ椅子に腰をかけて、声も立てずに泣いた。それを見ていた彼の幼馴染で、小惑星帯で高い地位につくケレス、パラス、ジュノーの三人は、ベスタに言った。
「苦労してイベントを考えて、主催した甲斐があったね」と。
ベスタはみんなの目を見て笑った。ベスタは、自分は1人じゃないんだと再認識して、みんなと抱きしめ合った。